待ち焦がれた夜明け
夜明け、と言っても太陽が顔をみせたときではなくて、夜がいよいよ終わろうとして地球と空の境目がうっすらと緑色に光り始めたくらいの空の色が好きだ。
そんな空を撮ろうと思って早起きしてみたが、日の出の時間のほうがどんどん早くなっていて、空はもう赤く染まりだしていた。
ああもうすぐ夜が明けるのね、と元バンパイアは呟いた。
夜明けがこれほどまでに待ち遠しいものになるとは一体だれが想像できただろう。闇は急速に箒で掃き出されるようにして世界から退場していく。
弱くて頼りない人間たちが夜明けを待ち焦がれるのがわかるような気がした。そうだ、今日からわたしも弱くて頼りない人間なのだ、とその元バンパイアは微笑した。
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