4K60p…で撮るの?
最近のカメラの性能を見ていると、4K60pで撮ることを一つの標準にしようとしているように見える。また、ウェブの口コミやYoutubeなんかで4K60pを求める声が大きいように感じる。
4Kはともかく、なぜ60pで撮るのか、なぜそれほど60pを求めるのか。
60pというのはフレームレートのひとつである。60という数字は1秒間を60枚の画像で構成するという意味である。端折らずに書けば60fpsとか、[f/s]という単位がつく。フレームズ・パー・セカンドである。
30fpsは現状の地上波テレビがそうである。24fpsは映画と同じである。映画をフィルムで撮影していた時代に1秒間を24コマで撮影していたのでそうなった。
60pのpというのはプログレッシブの頭文字である。日本語で言うと順次走査という。なんでそんなものがあるのかと言えば、昔は順次走査ができなくて一行飛ばしのスキップ走査だったからである。これをインターレースという。インターレースは動いている画の場合は気にならないが、静止画を移すと画面がチラチラして見づらい。
コンピューターの画面がグラフィカルになるととてもインターレースでは見ていることができなくなった。そこでコンピューターのモニターはノンインターレース、今でいうプログレッシブに進化したのである。
やがて技術の進歩があって、動画の世界もプログレッシブが標準になったのであった。インターレースというのは妥協の産物というか限られたリソースの中で実現するための知恵なので、できることならプログレッシブのほうが良いに決まっているからである。
さて、60pに話を戻すと、本当に1秒間に60枚も画がいるのかということである。
理屈で言えばフレームレートが高いとそれだけ映像が滑らかに動く。しかしそれは理屈の話であって、実際に人間が映像を見たときに区別出来なければ意味がない。
100年以上前から映画は24pである。今でもそうである。しかしそれで映像がカクついて見づらいという意見を聞いたことがあるか。ぼくは寡聞にして知らないし、自分で見てもわからない。
30pはテレビの都合であるだけである。テレビはもともと60i(地上波は今でも)だったので、プログレッシブにすると30pになっただけのことでる。
テレビで放送することを前提としていない限りあえて選ぶ意味はない。
ぼくは以前はテレビが納品対象だったので30p以外で撮影したことがなかった。おかげで5フレ切ってとか15フレでOLとかそういう感覚がすべて30pベースにおける意味合いとして肌身に刻まれてしまっている。
60pにしてなにが困るのかと言えば、編集時のデータ量が増大することである。それが目に見えて劇的な向上を期待できるなら頑張ってやろうという気にもなるが、24pと違いが分からないのであれば時間とストレージの無駄である。
ちょっとぐらい滑らかに動いたからといってそれが一体なんになるんだ、と思う。
メーカーはカタログスペックを盛るために4K60pを声高にアピールするし、そこに価値を見出すひとも多いが、ぼくは特別な要望がない限り24pで撮影する。
8K放送は120pでやるそうです。果たして目から鱗が落ちるでしょうか。
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