今年「も」夏用時計を買う
アンティークウォッチが好きなので手持ちの時計がアンティークウォッチばかりになってしまう。そうするとゴールデンウィークを過ぎたくらいから十月の頭くらいまでにする時計がなくなってしまう。それはアンティークウォッチが非防水で汗に弱いからである。
そういう理由で昨年夏用時計としてセイコー5を購入してひとまず落ち着いたはずなのに、今年もどういうわけか夏用時計が必要になってしまった。いや、まあ、しまったというか自らそうしたというかつまりはこういうわけである。
夏用時計として購入したはずなのに革ベルトをつけてしまったのである。手持ちのベルトにとっかえひっかえして合わせてみたら、この黄色いベルトと時計本体がマッチしてメタルのブレスレットより数段かっこよくみえてしまった。さて時計とベルトの組み合わせとしては大変満足いく結果となったが、革ベルトのため汗でぐちょぐちょになるのは避けたい。という誠にご都合主義というか仕方がないというべきか、とにかくこの時計とは別に夏用時計が必要になってしまったのである。
ここらで一丁チタン外装の時計など手にしてみたいものだなあといつもいつも思うのだが、大きすぎたり高すぎたりしてなかなか手頃なチタンの時計はあらわれない。シチズンがそのうち手頃な価格で薄くて軽いチタン機械式時計を発売してくれるのではないかと期待しているのだが、とりあえず今年はなさそうなので今一度セイコー5で行くことにした。
それで購入したのがこの時計である。ぱっと見ロレックスのデイトジャストを彷彿させるデザインである。もちろんよく見れば、いや、よく見なくても時計好きが見れば似ていないというだろうが、かなりの部分でエッセンスは真似していると感じる。だから、この時計を眺めていると時計の価値とはなにかを考えさせられるのである。価格で言えば1/50、1/60である。それでいて精度はほぼ同等だろう。デザインはロレックスのほうが洗練されていると思う。どちらもロゴを隠して見せられたとしてもぼくはロレックスのほうが好ましいと感じるはずだ。しかしこれはセイコー5の問題というより日本メーカー全てに通じる問題である。スイスの時計メーカーのほうがはるかに美しい時計をデザインする。
デザインの比較は置いといて、この時計はぼくの好きな要素が結構詰まっている。まず針はシンプルなバーハンドだ。ぼくはバーハンド、ペンシルハンド、ドフィーヌハンドといったシンプルな形状が好みで、矢印型やいびつな形状の針が好きではない。秒針も(かろうじて)インデックスに届くほどに長くて好感が持てる。直径は37ミリでギリギリ許容範囲内だ。本当は34,5ミリがベストであるが、いまどきそんな時計はほとんどない。
ベルトは巻ブレスでシャラシャラして軽いが、この軽さがよい。なによりこのシャラシャラ感がたまらないではないか。長さ調整がしにくいことを除けば無垢ブレスレットよりも好きである。
セイコー5の種類は非常に多いが、いいなと思う時計が廃盤だったり売り切れだったりしてなかなか在庫ありにたどり着くことができない。そんな中で今回は見事自分好みの時計を入手することができた。壊れるまで使おう。
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