予算3万円で選ぶ、初めての機械式腕時計【4選】
はじめに
私の時計好きの情熱が伝わったのか、時計にまったく興味がなかった友人がどうやら機械式腕時計に惹かれはじめたらしい。その友人のリクエストにより永井が選ぶ初めての機械式腕時計4選をご紹介したい。予算は3万円以内。時計を趣味にしているものならば、なかなかに厳しい金額であるが、初めて買う立場を考えれば3万でも躊躇してしまうだろう。だからあえて3万円以内に挑戦して選んでみたい。すべては永井の趣味趣向が反映された時計である。本当は5選のほうが響きがいいのだが、どうしてもあとひとつ選べず4選となった。
機械式腕時計を買うにあたって
機械式腕時計は一生モノ。よくそんなふうに表現され既にご存じかもしれないが、初めて買うあなたにとってとりあえずこの「一生モノ」という概念は忘れて頂きたい。一生モノには二つの条件がある。ひとつは壊れても修理し続けられる性能をもつこと。もう一つは精神的に手放せなくなる魅力を持つこと、だ。
3万円の機械式腕時計は残念ながら世代を超えて受け継いでいけるような性能を有していない。それは部品の耐久性であったり、交換部品の入手性だったり、メーカーの修理補償だったりするが、そういうことを気にするのはもっと時計にハマってからで遅くない。
もうひとつ、思い出や絆として時計があなたにとって一生モノになる可能性はありうる。しかしまだ出会っていない時計にそれを求める理由はない。それは追々これもまた時計が好きになってから考えればいいことだ。
よって、「機械式腕時計は一生モノ」をすっかり頭から消したところから時計探しをはじめよう。
さて、一刻もはやく4選がみたいだろうが、その4選を紹介するまえに言っておかなければいけないことがある。それは紹介順がオススメ順ではないということだ。すべては並列であり、紹介順は気分で決めた。だから4選を一通りみてご自身の好みを見つけていただければと思う。もちろんこの4選にあなたの好みがない可能性も大いにある。好みというのは多様性を極め、また個人の中でも変化し続けるものだから今の自分が求めるものを探して欲しいと思う。
それでは永井の考える予算3万円で買う機械式腕時計4選を始めたい。
セイコー セイコー5(ファイブ)
低価格な機械式腕時計といってまず最初に浮かぶのがセイコー5だ。私も一時持っていたこともあり(写真の時計)紹介しやすい時計だ。セイコー5の最大の魅力は膨大なラインナップにある。国内で販売されているものから逆輸入品まで一体何百種類あるのかわからないほど数が多い。そして価格も8,000円から3万円台まで幅広い。時計のジャンルも通常のタイプからスポーツタイプ、ダイバーズウォッチまで選びたい放題だ。
ダイバーズウォッチというのは時間経過を計るための回転ベゼルを備えた防水時計のことである。たとえダイビングしなくても夏になると人気がでるジャンルの時計で、汗や突然のゲリラ豪雨だってへっちゃらだ。セイコーがエライのは低価格のダイバーズウォッチでさえ、きちんとした防水性能を備えている点である。
セイコー5のダイバーズウォッチはセイコー5の中では高価(3万円台)だが、防水性能に惹かれるなら悪くない選択になろう。また、これはセイコー5ではないが、その親戚みたいなものでセイコー・プロスペックス・ダイバーズというシリーズもあって価格帯も似ているのでダイバーズが気になるひとはそちらも検索してみてほしい。個人的にはミニタートルの愛称で呼ばれる時計が好みである。
ダイバーズのことばかりを書いたがべつにダイバーズ押しではない。シンプルな時計もセイコー5は個性的なデザインが揃っている。まさに玉石混交だが、時折これは!という逸品が見つかったりするのもセイコー5の面白さのひとつだ。
セイコー5はネットでも大量にその写真を見ることができるが、ヨドバシカメラでもたくさん陳列しているので実物をみて選びたい方はそうした量販店を覗いてみるといいだろう。
シチズン クラブ・ラ・メール
機械式腕時計をしばらく製造していなかったシチズンがかつてのブランドを復活させたのがこのクラブ・ラ・メールだ。低価格で機械式腕時計の良さを知ってほしいという思いがこのブランドに込められているらしい。シチズンは商品としての機械式腕時計こそ販売していなかった時期があったが、子会社であるミヨタは時計の機械(ムーブメント)の製造を外販向けに続けてきたので性能的には申し分ない。当然このクラブ・ラ・メールにもミヨタのムーブメントが搭載されている。
クラブ・ラ・メールのラインナップの中でもとくにブルーの文字盤をもつ時計が個人的には美しいと感じる。しかも機械が見える穴が空いていないシンプルなヤツがいい。これもヨドバシカメラに展示してあったのでわりとどこでも実物の確認が可能ではないかと思う。ぜひ気になった人は自身の目で確かめてほしい。定価は3万2000円だが、実売価格は3万円を下回っていると思います。
ブルー文字盤は金属のブレスレットがついているが、これを革ベルトに変えてやればとても上品な顔つきになるに違いない。そして今は裏が防水加工された革ベルトが色々と出回っているからそれらを使えば季節を問わず使用することができるだろう。
ブルー文字盤ばかりを押したが、他のラインナップもいろいろあるので自身の目で検討されたし。そして実物と写真では雰囲気が異なるため可能なら現物を確認したほうがいいでしょう。
オリエント バンビーノ
※海外向けの商品のため、英語サイトの表示になっていますが、日本でもアマゾンやヨドバシなどで普通に入手可能です。アマゾンで「オリエント バンビーノ」で検索してください。そっちのほうが見やすいです。
セイコー、シチズン、と来てオリエント。ここまで全て日本のメーカーである。この価格帯で永井が惹かれる時計はどうしても日本企業が強い。機械式腕時計なのにスイスが出てこないなあと思ったあなた! 予算が5万円以上になればスイス製も視野に入ってきますよ。
話を戻してオリエントのバンビーノである。この時計は海外向けに企画されたもので、国内には逆輸入という形で入ってきている。それゆえにネット通販が多いが、実はヨドバシカメラにも置いてあるのをみたことがある。ヨドバシヨドバシ言っているのは実際に見たのがヨドバシカメラだけで、ビックカメラにも売っているかもしれないが未確認なのでヨドバシカメラ「など」と書かないだけである。
バンビーノも非常におおくのラインナップがあるのでどういったデザインが好みか探してみてほしい。個人的にはシルバー色のケースに、金色のローマ数字と金色の針があわさったモデルが好みだ。
バンビーノはケース径に対して針が短いのが欠点だが、初めての時計にそういう細かい指摘は気にしないでおこう。ただ将来時計の趣味にハマった時、この言葉の意味に思いを巡らせられるように記しておくだけである。
バンビーノは価格が1万5000円程度と予算の半額というものうれしいポイントだろう。ただし予算を3万円と決めたのなら値段を判断基準にはしないほうがいい。クラブ・ラ・メールとバンビーノを比べて半額のバンビーノを選ぶような選び方はあとで後悔するからだ。
OXYGEN(オキシゲン)レジェンド シティ40
※日本法人サイトがないので本国サイトですが、国内で普通に手に入ります。アマゾンで「オキシゲン レジェンド40」で検索してください。そっちのほうが見やすいです。
最後はフランスメーカーの登場だ。1950年代に存在した時計メーカーだがその後倒産し、2003年に他社がブランド名を買い取って復活させたブランドである。ちなみにその手のブランド再興はたくさんあって枚挙にいとまがない。むしろ創業時から途絶えずに存続している会社のほうが少ないかもしれないので、気にしないでいこう。
この時計に搭載されているムーブメントはシチズン傘下のミヨタ製なので安心であるし安価なのもそのおかげである。スイスメーカーのムーブメントを載せるとあと数万円上乗せになるからだ。
レジェンド40もブルーの文字盤が美しい。見た目にも価格的にもサイズもクラブ・ラ・メールと真っ向から対立するモデルである。あとはブルー具合の好みの問題だろう。ただし文字盤のデザインはまったく異なっていて、レジェンド40はドイツのいわゆるバウハウスデザインを踏襲したものとなっている。そのため時計からフランスぽさは感じられないし、この先時計の世界に飛び込むと多くの類似品を目にすることになるが、シンプルで美しいデザインであるとも言える。ちなみにレジェンド40の40は時計の直径が40ミリだからである。ちなみにブルー以外のカラーもあるのでご確認あれ。
まとめ
さていかがでしたでしょうか?永井の選ぶ初めての機械式腕時計4選。多様なラインナップを誇るセイコー5以外はどれもデザイン的にはオーソドックスで似たような時計が並びました。それはひとえに私の趣味趣向が反映された結果だからです。この他にも様々な時計が存在しますので、これを機に時計探しの旅に出るのも一興です。が、最初のひとつはあまり好みを追求せずにまずはとにかく買ってみることをお勧めします。実際に日常で使ってみることで見えてくる世界というのがあります。そのとき改めて自分がほしかったものがわかるかもしれません。やっぱり電池で動くクォーツ時計のほうが便利でいいと思うかもしれません。スマホやタブレット、PCに囲まれた生活の中で、電気を一切使わない機械式腕時計の魅力を発見できるかもしれません。どんな感想を持つにせよ、使ってみなければわからないのが機械式腕時計です。機械式腕時計は腕時計がなくても困らなくなった現代において、あなたの人生をちょっぴり豊かにしてくれる存在になるかもしれませんよ。
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