ついに夏用時計を手に入れる
手持ちの時計がアンティークばかりになってしまうと、夏につける時計がないというのが懸案事項になる。私の所有する時計で唯一の現行品といえばチプカシF-91Wであるが、もともとデジタル表示は好まない上に、チプカシで時計焼けするのが、なんかイヤだ。
それで時計をしない生活を送っていたが、スマホがあるとは言え、腕時計がないというのはやはり不便なものである。だいたいスマホは時刻こそ正確でもそれをポケットから取り出して見るという行為は百年古い。
夏用の時計を買おう。そう思って探していたが、やはり機械式でこれはと思う時計は値段もなかなかである。それで夏は割り切ってクォーツ式にしようと思ってある時計に目をつけた。その時計は22,500円のプライスタグがついていた。微妙な価格帯である。どう微妙なのかと言えば、その価格帯で機械式もなくはないからである。
横幅35ミリ、10気圧防水、カレンダーなし。文字盤もインターのMarkXIを10発くらい殴った感じでシンプルなのが特徴だ。付属のベルトがダサいがNATOベルトに交換すればだいぶ見栄えも違うだろう。もういいか。これにするか。悩んだ。1ヶ月くらい悩んだ。そして……、やめた。
私は自分の腕に乗ったクォーツを想像できなかった。やはりクォーツではない。やはり私は機械式腕時計が好きなのだ。やめると決めると案外あっさり振り切れるものである。そのクォーツ時計をすっかり忘れて私はまた夏用時計探しの振り出しに戻った。
まず、条件を緩めようと考えた。カレンダーなしにこだわらない。なんならデイデイトでもいい。10気圧防水にこだわらない。とりあえず最低限の防水性能を有していればいいことにした。それで見る目をフレッシュにしてもう一度探してみたのである。
私にとって絶対に譲れないポイントはサイズである。手首回り16センチと華奢なほど細い腕だからでかい時計はだめである。できれば35ミリ以下が望ましいが、そこにこだわると選択肢が一気に減ってしまうから37,8ミリまでは許容する。
夜な夜な時計探しにネットを徘徊する。あれでもない、これでもない。そして、ついに、出会ってしまった。その時計はセイコー5。星の数ほどあると言われるデザインの中からついに自分好みの時計を発見してしまったのである。横幅37.4mm、厚さ10.7mm、縦の長さラグからラグまで43.1mm、ラグ幅18mm。全てノギスを使った実測である。お値段9500円。最初に買おうとしていたクォーツの半分以下だ。
細かいことを言い出せばきりがないが、値段を考えれば上出来である。とくにミドルケースの出来がいい。全面ヘアライン仕上げだがメリハリのある造形に好感が持てる。ブレスは巻ブレスでシャラシャラとして安っぽいが軽くていい。このシャラシャラが味というひともいるだろう。長さ調整に若干手間がかかるが、調整できてしまえばその後は問題ない。
写真を見てこれはと思ったが、むしろ実物のほうがかっこよくて安心した。よしこの時計を夏用として壊れるまで使おうではないか。夏用時計ひとまず決着。
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