オトシブミの黄昏
キミは虚空を見つめ、なにを思うのか。
届かぬ空に、どんな思いを募らせるのか。
エゴツルクビオトシブミは、その細長い首を伸ばしてその視線は宇宙を超えた。
風が吹き、枝を震わし、葉をはためかせても、オトシブミはただじっとその身を揺れるにまかせていた。
よく見ると、何匹も、何匹も、風に吹かれるままに空を見上げていた。
体長5,6ミリの小さな身体に細長い首がつき、その上に小さな小さな頭をのせて、決して瞬きすることのないその目で見上げる空はどんな空なのか。
永遠に空を見つめているかと思われたオトシブミは、その長い首をさげるとくるりと反転してぱっと飛び立っていった。ぼくの目には一瞬硬い甲冑の下に隠されたオレンジ色の背中がきらりと見えて、ああなるほど太陽と同じ色だ、と思った。
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