機械式時計をあげてはいけない
15年以上前に両親にプレゼントした二つのレビュートーメンがほぼ同時期に動かなくなったといってぼくの元へ帰ってきた。壊れたから返すというわけである。
5年毎にオーバーホールしていれば一生使えたんだよと言っても、その都度何万円かかかると知ったら結局やらなかっただろう。それどころかそんな金のかかるものをなぜくれたんだと逆に文句を言われたかもしれない。
機械式時計に興味がないひとにとって、機械式時計は単なる煩わしい存在でしかない。使わなければ止まってしまうし、精度も期待できない。それよりも使いたいときにいつでも使えて、時刻調整の必要がないクォーツ時計のほうが圧倒的に便利というわけだ。
クォーツ時計なら短くても3年に一度くらいの電池交換で済むし、電池交換代も安い。腕時計が趣味でない限り、普通のひとにとって時計と言えばクォーツで決まりなのである。
ぼくが両親に機械式時計をプレゼントしたのは完全にぼくのエゴであった。ぼく自身が満足したいばかりに両親に不便を強いたとも言えるだろう。ぼくは摩耗しきって停止した二本の機械式時計を前にして深く反省したのであった。
レビュートーメンはぼくの大好きなブランドであった。その他大勢のブランドがそうであるように、レビュートーメンもまたブランド名だけが人の手を渡り続けていて、現在のレビュートーメンにかつての面影はない。この二本のレビュートーメンは身売りされる前のMSR本家時代のレビュートーメンである。かつては日本でもさかんに販売されていて、マルイの時計コーナーにたくさん並んでいたものであった。
ムーブメントはどちらもETA製で、メンズの方は2824-2の刻印がシースルーバックから見ることができる。レディースの方はソリッドバックなのでわからない。ほとんど装飾などされていないムーブメントだから、メンズもソリッドバックにしてほしいところである。個人的には、特別な技工が施されていない限り、裏蓋はソリッドバック派である。
さて、この二本を修理してもらったら、一体いくら掛かるであろうか。メンズのほうは直ったらぼくが使うつもりでいるので、とりあえずこちらから修理に出そうかな…。
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