僕の邪な考えが『紙様』と出会った話 ~僕にとってのテキトーフォーミー~
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「やらない善よりやる偽善」
基本的に、昔から僕はこの考えを持っている。ぐだぐだと御託を並べて何もしない人より、偽善でも行動している人の方がマシだ。
冒頭から偉そうな講釈を垂れているが、僕は典型的な「やらない善」タイプの人間。
やりたいけど、やらない。理想を掲げたところで何も行動していなければ、何も考えていないのと同じ。ボーッと生きているという表現がしっくりくる生活を、半世紀以上続けてきた。
ある日『紙様』と出会う
ある日、X(Twitter)で株式会社藤沢製本の「よめ」さんの書き込みをふと見つけた。なんでも、製本で出た紙の切れ端『紙様』を譲ってくれる企画があるそうな。
よめさんとは、僕の所属する「ライターゼミ」で『#私にとってのテキトーフォーミー』というテーマで勉強会を開いていただいた縁で知り合った。ライターなのに気の利いた褒め言葉が出てこず、月並みで恐縮だが、よめさんはとても魅力的な方だ。
藤沢製本に住んでいるカバの妖精「かばおさん」をモチーフにした『テキトーフォーミー』というブランドを立ち上げ、製本会社の枠を大きく飛び越えてパワフルに活動されている。
話は変わるが、僕の妻と娘は幼稚園・保育園で働いている。製作やらなんだかんだで、色画用紙を相当量使うらしい。しかし、思うような色画用紙はあまりたくさん手に入らず、いつでも不足している状況とのこと。
この二つが僕の中で一本の線となり、偽善の心が騒ぎ出す。ちょっとワクワクする何かができそうな予感がする。このときは、考えるより先に身体が動いた。
思いのままに動いてみる
思い立ったが吉日と、無礼を承知でよめさんにDMを送ってみる。
「幼稚園と保育園で使いたいので『紙様』を分けてもらえませんか?」
いま思えば、無視されても仕方ないほど不躾なお願いなのだが、よめさんに「子どもたちに使ってもらえるなら『紙様』も本望です!」とご快諾いただいた。なんと子ども好きで男前な性格なのだろうか。
かくして、我が家にやってきた箱いっぱいの『紙様』。それを見た妻と娘は「紙質、めっちゃええやん~」「まるで画用紙の宝石箱や~」と、どこかで聞いたようなセリフで大喜びしている。それを見た僕も、誰かの役に立つことができそうだと単純にうれしく、ワクワクが抑えられなかった。
命を吹き込まれた『紙様』
『紙様』が届いたのは、夏真っ盛りの頃。運動会やら遠足やらといった、秋の行事が終わるまで製作をする時間があまり取れなかったそうで、涼しくなるまでゆっくり休んでいた『紙様』。
ようやく芸術の秋になって、子どもたちに命を吹き込んでもらえたよ!
これは、僕の中に眠っていた「やる偽善」を具現化できた話でもある。当初は「こんなことすれば、誰かが僕を褒めそやしてくれるかも」といった、邪な気持ちはなかったと言えばウソになる。しかし、きっかけなんてどうでもいい、結局はやるかやらないかだと気づいた。
株式会社藤沢製本の所在地は、滋賀県だ。滋賀を発祥とする近江商人には『三方よし』という考え方がある。「売り手、買い手、世間の三方が満足する商売をすべし」という経営哲学。これは経営だけではなく、人間生活すべてに通じるところがある。三方よしの考え方で日々過ごすことができれば、誰も損しないで平和に暮らせるものだ。
僕にとっての「テキトーフォーミー」
今回の一連の出来事は、よめさんとの出会いとご協力による部分が非常に大きい。よめさんには、感謝してもしきれない。この場を借りて、お礼を申し上げたいと思う。
よめさん。本当にありがとうございました。『紙様』、幼稚園で大切に使われているそうです。
僕にとってのテキトーフォーミーは「やらない善よりやる偽善」。偽善の心で始めたことでも、やってみると清々しい気持ちに置きかわり、邪な心も消えていくものだ。
僕の表も裏もすべて知っているかばおさんが、こう言ってくれている気がする。
「テキトーでも偽善でもいいから心のままに動いてみれば、何か変えられるんじゃない?」
おしまい。
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