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時計の針が深夜2時を指す。 いつもよりも早く家に着いて、時計を見ると0時前だった。 早く寝ようとしていたのに、いつの間にかいつもと同じ深夜2時。 布団に入る前、換気扇の下で煙草に火をつけた。 初めての煙草はキャスターマイルド。 同級生がくれた銘柄だった。少し大人びて見えた彼を、あたしは密かに好きだった。 優しくて頭もいいけれど、先生に不遜な態度をとる彼に、幼いあたしは惹かれていた。 罪悪感のままに吸う煙草は、とても苦い。 幾度か吸っていた銘柄はもう覚えていない。覚えている
いつもの最終電車は何故かとても空いていて、楽に座ることが出来た。 ただ座った時、自分の体の重さを感じた。 初めて歩く道はとても新鮮で、何だか旅をしているようだとワクワクしたりするけど、それに慣れたりすると、普通を見失ってしまう。 その気持ちを忘れてしまう。 それだけではなくて、慣れたあとの気持ちが「普通」だと思ってしまう。忘れてしまう。きっととても大事なものだったとは思うのに。 その道とわたしとあなたに、しっかりした距離があったことを忘れてしまう。 わたしはいつもせめ