人生で一番あかんかった日
忘れもしない。あれは18年前の12月のこと。世間は年末ムードで、花の女子大生だった私も例にもれず、すっかり浮かれ調子で連日忘年会をはしごしていた。
ある週末、その日も忘年会と言う名の集まりたいだけの飲み会に参加した。が、車でしか行けない場所に用事があったため、お酒なしで参加した。
その帰り道、やけに道が混んでるな、と思ったら、前方で検問をしている様子だった。
「なるほど~年末だから飲酒運転の検問ね^^」
生まれて初めてひっかかる検問にワクワクドキドキしていた私。
そのうち私の番がやってきた。
警1「検問でーす。ご協力ください」
私「はーい^^」
警1「お酒飲んでないですね」
私「もちろんです^^」
警1「OKですが、免許証だけお願いします。全員確認しているので」
私「了解しました(^◇^)ゞ」
私「・・・・・」
ゴソゴソ…
警1「・・・・?」
私「財布がないんです」
警1「あらそうですか、ではこちらに」
丁寧に案内されたのはバスの中・・・。
すでに何人かの人達がおり、みんな気まずそうな顔で取り調べを受けていた。
警1「こちらのかた免許不携帯でーす」
警2「はい ここ座ってね。」
私の身柄は速やかにおっさん警官に引き渡された。
私「財布を落としたんです」
おっさん警「ほーーー このタイミングで財布を落としたんだね。免許証はその中にね。でもそれね駄目だよねー はい色々聞いていくね」
おっさん警官は私を軽くあしらいながら取り調べを行っていく。
そこに伸び切った金髪のチャーラーヘッチャラー♪な感じの兄ちゃんがやってきて「だからー財布なくしたんやってー」と言っていた。それを見ながらおっさんはニヤリと笑い「おんなじこと言うてるな」と言った。お腹の奥に熱いものが込み上げてきたが、すんでのところでぐっと我慢した。
ひと通り私の個人情報を聞き出し、おっさんは私を開放した。私は帰ろうと立ち上がろうとした。
その時、一人の若いイケメン警官がやってきて
イケ警「財布なくしたんやってなー かわいそうに。署の方に電話してきいてあげるわー」
私「信じてくれるんですね( ;∀;)お願いします」
一瞬で好きになりかけた。
警察署に電話するイケメン警官
イケ警「あーー はいはい そうですかーなるほどー・・・・」
私「ドキドキ」
電話をきったイケメン警官は
イケ警「よかったねー 財布あがってたよ^^」
私「よかった!! ありがとうございます」
「やっぱり落としてたんやー 財布見つかってよかったわー」
おっさん警官に聞こえる様に大声で言って、バスを降りた。
イケメン警官に
「帰りにもし検問にまた遭ったらこれ見せてね。財布とりに行くときは運転したらあかんよ」
と言われ、通行許可書的な紙を受け取って、帰路についた。
財布落として、検問かかるとかちょっとないわー。でも財布も見つかったし良かったことにしよう。当時「あなたは絶対運がいい」を愛読していたのでプラス思考に転換した。
家に帰りついて、このついてない出来事を家族に面白おかしく伝え、浄化している時に、なんと今度は携帯電話が無いことに気づいた。
「あはは~財布の次は携帯!?(笑) ポケットかな!?かばん??」なんて笑っていたら、気を利かせた姉が
姉「私が鳴らしてあげるわー」
と言って私に電話をしてくれた
・・・・・着信音は鳴らない。
姉「誰か出たんやけど・・・」
私「ええええええ~~~もしもし私の電話ですか??」
なんてトンチンカンな事を言っていたら、なんとさっきのイケメンだった。
イケ警「あのー〇〇さんですか? バス降りたところに携帯落としてましたよ」
「ほんで 言いづらいんですけど、画面がバリバリに割れています」
プラス思考はどこか彼方に吹っ飛んで、私は泣き崩れた。
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