見出し画像

風俗に人生救われた話。


何度人生をやめたくなったかわからない。

何度救ってほしいと願ったかわからない。

自分よりも辛い環境に在る人なんて星の数ほどいるに違いないが、20歳と少しの短い人生の間に何度も何度も思ってしまう程に自分には居場所がなかった。

複雑な家庭環境で、自分には見向きもしない家族。
いい点数を取ろうが、何かの賞を貰おうが、だから何?といった様子だった学生時代。
何をしたら褒められるのだろうか。愛されるのだろうか。

ひとりっ子だったら愛されたのかなぁ、なんて思うが きっとそんなことは無いんだろう。

自分を反面教師にして育ったきょうだいは社交的で空気も読めて素晴らしい人間だと思う。

だからこそ嫉妬なんてしない。
しないんじゃなくて、できない。

この記憶を持ったまま人生をやり直したとしても、自分はきっときょうだいのような出来た人間にはなれない。

そんな人生だった。

愛されなくてもいい、必要とされたい。
自分を否定しない場所がほしい。

いつでも逃げ込めるような、そんな温かくて優しい環境がほしい。

だけど、そんな上手い話なんてあるわけがない。
そう思っていた。

20歳を過ぎて、ずっと気になっていた風俗業界に足を踏み入れた。
恐怖はもちろんあったが、どうするか考え込んでいた約半年の間に一度も気持ちが揺らいだことはなかった。

これが答えなのだろう。

自分を愛してほしかった。
源氏名の自分でいる間だけでも、必要とされたかった。

この業界の漫画はいくつか読んだことがあるので、ある程度は現実を知っているつもりだった。

お店は店舗型で、かなりの大手グループらしい。
先程も書いた約半年間の間にいろんなお店を調べてみたが、1つのお店に目を奪われ そこにしようと決めた。

もうすぐ初めて1年が経つ。

掛け持ちも何度か考えたが、未だに出来ていない。
それ程までに自分にとって居心地が良すぎるのだ。

18歳の頃に出会えていたら、もっと明るい人間になれたのかもしれない。
その頃は毎日のように人生に疲れきっていたなぁ。

ふとした時に愚痴や楽しかったことなんかを共有できる友達がいたらまた違ったのかもしれない。
自分はきっと、生きるのが不器用なんだ。

やっと見つけた自分の居場所。
いつまでここで過ごせるのかは分からないが、さよならなんて考えたくないな。

ここを卒業したら、私はどこにいけばいいのだろう。
何をして生きればいいのだろう。

そう言ったら怒られるだろうな。

家族に甘えたことがない私が甘えられる場所。

何かにつけて怒られることはいくらでもあったが、叱ってもらったことはなかったな。

だめなことはだめと教えてくれる場所。

もう少し甘えたかったが、目立たずひっそりと卒業した小中高。

夢に向かって自分なりに進んでみたが、担任に毛嫌いされ陰湿な嫌がらせなどを受けて中退した専門。

その頃に『周りの大人』への期待を捨てたのかもしれない。

何度も何度も自傷などを繰り返し、結局人生を辞められなかった自分だが、やっと幸せになれるかもしれない。

嬉しい楽しいことよりも、辛くて苦しいことの方が多いこの業界。

やり甲斐は正直よくわからない。
何が正解なのかも。

そんな自分でも、会いに来てくれる本指名様がいる。
会える日を楽しみに仕事を頑張っているよと笑ってくれる本指名様がいる。

こんな幸せなことはなかった。

スタッフさんもすごく温かい。
いろんな年齢のスタッフさんがいる。
父と兄が増えた感覚。

ずっとここにいたい。


現実から目を背けたくてずっとここにいたくて仕方がない。

ここから出た自分には何も無くて、いつからか名前すら呼んでもらえなくなった。
源氏名でいいから呼ばれたくて仕方がない。

いつか源氏名すらも呼ばれなくなった自分には何が残るのだろうか。

そう思うと胸が締め付けられる。

その時に終わらせよう。全部全部。


その時までは、ここで生きようと思う。


人に愛されたくて風俗嬢になった、なんて言ったらどんな目で見られるのだろう。

きっと信じてもらえないだろうな。


いいなと思ったら応援しよう!