彼と初めて会った日【マッチングアプリで恋人ができるまで③】
彼は2人目にアポした人だった。
初回の人とは、なんか上手くいえば進展しそうに見せかけて、こちらが好意を見せれば本気にしてしまうタイプだったので、1回でお別れコースに。
その日は仕事終わりのアポで、化粧直しを済ませて待ち合わせ場所に立って5分ほど、彼はやってきた。
笑顔がいい、好青年だ、というのが
私の第一印象だった。
メッセージでやり取りしていた時のギャップも
少なくて、本当にそのまま。
飾らないけど本人の雰囲気を駄目にしない服装も好印象で、
「なんかこういう同級生いたよな!?」
と初対面なのに錯覚した。
本当に、久しぶりに会った同級生か?と疑うくらい、彼との会話は楽しくてあまりにスムーズだった。
12月の繁忙シーズンということもあり、店は予約していたが2時間で追い出された。
楽しい彼と出会えたのに、
たった2時間で帰るには勿体なさすぎる。
私は、その日どうしてもラーメンが食べたかった。
その2日前、会社の忘年会があって、その帰りに
最寄り駅のラーメン屋に寄るか迷って結局行かずじまいになってしまったからだ。
それにしても凍てつく寒さのなのだから、
ラーメンは食わずにはいられなかったのだ。
店に入る前から仄めかしまくっていた私は勢いづいて言ってしまった。
「あのっ、よかったら〆のラーメン行きませんか?」
彼は驚いて、でもどこか嬉しそうに、
「え?いいんですか?行きます?」
と、スマホで近くのラーメン屋を探し始めた。
お店を出て会計を済ませた後、
彼が見つけてくれた、鶏だし塩ラーメンのお店へ。
そう。おわかりだろうか。
私、めっちゃ可愛くない女じゃん。
初対面でラーメンがっつくとか、横暴すぎでは。
そんな気持ちをよそに、
2人並んでラーメンを啜る時間が
あまりにも居心地良すぎた。
彼もずっと満足そうに、
「まさかラーメン行けるとは思ってなかったなぁ」と、笑みをこぼすものだから。
私もつい、「一緒に食べれて嬉しい」なんて、
柄にも合わない台詞をこぼしてしまった。
お酒が入っていたから、そりゃ楽しいのは
当たり前なんだけれど。
マッチした理由もよくわからず、
正直メッセージの段階では印象激薄だったのに(ごめん)
こんなにも楽しい人だったんだ…!と
私の中に、彼への興味がどんどん湧いてきたのだ。
この人なら、2回目も3回目もありだわ!
25にもなって、初恋のような甘酸っぱいゴングが寒空の中響き渡った。
つづく。