Mくん①
これは私の青春時代。
出会いは友達に誘われたイベントで。
100人ほどの規模だったが
彼の存在は誰よりも輝いて見えた。
誘ってくれた友達が
たまたま顔見知りで
話すきっかけをくれた。
ただ彼とは連絡先を交換することも無く
名前すらも知らないまま、
イベントは終わった。
その日の夜。
イベントに参加した全員の
グループLINEがあることを思い出す。
ただ100人もいると、
どれが彼なのか検討もつかないまま
探すのを諦めた。
次の日。
彼から連絡がきた。
夢かと思った。
探してくれたみたい。
分かりやすい名前にしてて良かった。
何より嬉しくて、友達にすぐ
連絡したのを覚えてる。
彼との距離はその後すぐに縮まった
2人でお昼デートしたり
手料理振舞ったり
彼の職場の同僚達と遊びに行ったり。
一緒にいる時間は多かった
でも心の距離は埋まらない。
「 2人はどんな関係?」
何度も周りに聞かれたけれど
決まって彼の答えは「女友達」。
たまにsexもする関係。
喧嘩もいっぱいした。
それでも完全に離れる事はなかった。
それは周りの友達が
支えてくれていたからかもしれない。
それでもこの曖昧な関係が
心痛くて。
彼の彼女になりたい。
そんな風にいつしか思っていた。
彼は仕事もできて英語も話せて
メディアにも取り上げられて、
私にとって手の届かない存在に
なっていくような気がした。
自信が無くなっていってた。
皆の知らない彼を
近くで感じられることの幸せが
いつか消えることへの不安もあった。
それと同時に、
彼に見合う女になりたい。
そんな思いがふつふつと湧いていた
何もかもが中途半端な自分に
苛立ちと焦りで胸が痛かった。
自分は何をしたい?
どんな自分になりたい?
自分と向き合う度に
彼と離れて自分を高めたいと
思うようになってた。
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