『なんで官僚目指したの?』→かっこつけでした。 国家公務員編#03
3.受験までの葛藤
なぜ、国家公務員総合職試験を受験しようと思ったのか?
その理由は複数ありました。
1 事故ったら民間行けるしダメ元で受けてみるか、と思った
2 自分の実力を試してみたかった
3 純粋に公務員という職業に興味があった
4 民間辛くなった時の保険にしようと思った(総合職は合格記録が5年有効)
5 国民全体のために働けるというところにある種の憧れをもっていた
適当に見えるかもしれませんが、「官僚になってから考える」という方も多いようですし、結果的に官庁訪問に行かなかったため、空いている椅子があるはずなので許して…。
大学1年生になりたての頃、いまだ脳みそが受験戦争のPTSDを背負っていた私は、地方大学であることに引け目を感じていました。
そのためか、いわゆる「意識高い系」の行動を取っており、コロナの影響でオンラインになっていた省庁説明会に単身で参加したのがきっかけだと思います。
確か、環境省の技術系採用説明会でした。
結論を言うと、まあとにかく、かっこよかった。
国を背負っていることにプライドをもっている若手職員の話は熱意にあふれており、いわゆる官僚と呼ばれる方々と画面越しではありますが直接対話し、その頭脳明晰さと優秀さに圧倒されました。
なるほど、この人たちが国を動かしているのなら安心だ、と思うくらいには。
官僚に対する批判はよく耳にしますが、それは主にZ省やS省の話で、しかも文系に限るんじゃなかろうか、なんて思うほどには、目の前の職員は優秀で誠実でした。
市役所の窓口でだるそうに仕事をする市職員とは雲泥の差。国を守るという高いモチベーションとそれをカタチにできるだけの能力、こちらの要領を得ない質問にも的確に答えてくれるコミュニケーション力。世間一般に聞く「権益目当ての腹黒官僚」の姿はそこにはありませんでした。いやまじで、メディアってとんでもねえ切り方してるんだなと痛感しましたよ。(彼らをテレビに出した方が、よほど国と政府に対する信頼が爆上がりするだろうに。)
キャリアパスも非常に豊かです。入庁後数年で海外の大学院に行き司法や政治の専門教育を国費で学べるほか、当然現場にも行き地方との繋がりを作ってリアルな日本を知るなど、国のエリート集団にふさわしいレベルの教育も受けられます。
理系の方々は基本的に専門技術者である前提があるため、学歴や派閥についてあまり不安視する必要はありません。(もちろん、事務次官を目指すなら多少の努力は必要かもしれませんが。)
それに、今は所属確認以外で試験で大学名を聞かれることはありませんから、全国どこの大学を出ていようがまとめて「大卒程度」扱いです。(裏を返せば東大生や京大生と同じ土俵で殴りあうことになるけど。)
近年の少子化の影響もさることながら、給料改善・働き方改革などで、国家公務員は非常においしい職になっていることは間違いありません。
技術官ともなると、さすがに国交省や環境省はダイレクトに国会対応があるでしょうが、その他省庁の営繕担当なら納期前後以外はまともな生活が送れるようです。リストラもありませんし、退職後の年金も保証されています。そういう意味では、民間よりよほど良いかもしれません。
建築系は単純にライバルが少ないというのもあります。私が受けに行った二次試験会場では、理系学生は全員同じ部屋だったのですが、建築学生は私一人でした(建築学生・都市工学専攻学生のみでかい製図用紙が配られるのですぐわかる)し、そもそも棄権者が非常に多かったように思います。まじめに大学受験に取り組んだあなたなら、おそらく国家公務員試験も十分対応できるでしょう。
さて、衝撃を忘れられなかった私は、2年経って夏のインターンを終えても、国家公務員総合職という選択肢を消せずにいました。さすがに、いつまでも迷っている暇はない。どうしようか。民間も、一社しか受けていないので事故が怖い(結局杞憂だった)。
結局私は、11月頃開催された、総合職希望者向けの地元での説明会で進退を決めることにしました。
ほど近い某帝大からとりあえず行って来いと言われたであろう私服の大学生たちに交じり、環境省や国交省などの説明会に参加し、今度は対面で職員と話し合い、大量の資料を渡され…。私は渋い顔をしていたと思います。この時までは、「わーやっぱ大変そうだな、やめよっかな。」なんて考えていたと思います。
資料を片付け、さて次はどの省庁を見学に行こうかと考えていた時のことです。私は自分の人生何度目になるかわからない幸運に恵まれました。
「あのう、」と声をかけてきた男子学生。聞けば、タイムスケジュールを見逃してしまったので知りたいという。どこかで聞いたことのある方言だったので聞いてみると、なんと彼はたまたま同じ大学の理学部でした。
説明会が終わってから流れで男二人でファミレスに行き、身の上話をするうちに、さすがに「進退を決めるために来た」とは言えず、これも縁だと一思いに「自分も国家公務員試験を受けようと思って」と応えたところから、私の国家公務員総合職受験記は始まったのです。
帰宅後、まずは情報集めからだよね、と、改めてネットで試験内容を確認しました。そして思わず、その量と難易度に「嘘だろ!?」と叫んでしまったことを覚えています。11月も中ごろ、試験本番まで半年を切った、肌寒さを覚える日のことでした。
ではまた。
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