国家公務員総合職受験記ダイジェスト。 国家公務員総合職編 #04
さて、お待ちかね、国家公務員総合職、工学区分の試験内容とその対策についてです。
長くなりそうなので、まずは全体的な解説、次に一次試験当日の流れ、最後に二次試験から合格発表、その後まで別の記事で順々に書いていこうと思います。そのうち、発掘出来たら私の解答も載せようと思います(怒られない範囲で)。
特に、国交省の建築専攻で合格された方(旧七帝卒の方)の連絡先を教えていただき、実際にどの教材を使ったかも教えていただきましたので、そちらも紹介します。
まあたいていの情報は環境省の「内定者の声」に書いてありますが、残念ながら建築系の情報はほぼありませんでした。閲覧できるぶん全てさかのぼって確認した私が言うのだから間違いないです。資料も作ってたので、ほしい人いたらあげようかな。コメントくださいな。
※先に断っておきますが、昨年2023年に試験方式が大きく変動したため、昨年以前のブログやネット、「合格者の声」は参考にしないほうがいいです。
前回、国家公務員試験の試験内容を確認した私は、その難易度にひっくり返りました。
・出題範囲が非常に広い
・最低でも院レベルの専門的な知識も出題され、しかも製図まである
・政策論文という実質小論文を書かされる
・かなり具体的に答える必要がある面接試験
さすが、国のエリートコースなだけはあります。
試験内容について紹介すると…
一次試験として:
・多肢選択式基礎能力試験(2時間20分)
・多肢選択式専門試験(3時間30分)
二次試験として:
・記述式専門試験(3時間)
・政策論文試験(2時間)
・人物試験
これらに加えて、外部英語試験での加点があります。
みんな気になると思いますので、先に私の点数を公表します。
平均点はググれば出てきますので、それを見てください。
自分のスコア/満点 の表記をしています。
基礎多肢:20/30
専門多肢:12/40(足きりギリギリ)
製図:210/240(建築のみ満点が30点、換算で8倍補正:ボーダーは152点)
政策論文:8/10
人物試験:B評価, 132/167
英語加点:最大点, 25 (TOEIC 855)
基本的には、当たり前ですが、足きり点さえ下回らなければよいです。(点数によって席次(順位)が決まり、基本的にはそれに従ってどこの省庁に行くか有利に決まるはずです。)
我ながら、予備校にも行かず、半年独学の割にはいいスコアだと思います。
順番にどんな内容なのか、またどのように対策したか紹介します。
なお、私はTOEICのスコアが855だったので、英語加点は最大の25点でした。 まあ、これからの時代、英語の資料を読めるのは前提条件になりますし、我々は英語の論文も普通に読むので、君たちも大丈夫でしょう。…国家公務員総合職は最低限このレベルですよ。
1.多肢選択式基礎能力試験
文章理解という名の現代文と英語長文、数学のフリをした数的処理とかいうクイズ、あとは高校受験で使う全教科、さらに時事問題から出題という感じです。 いずれも過去問をある程度こなして、パターンを覚えるしかありません。 過去問〇年分みたいなのを1冊購入して、何周かすれば良いと思います。 文章理解は慣れれば簡単なので満点を目指し、数的処理もできるだけハイスコアを狙いしょう。 その他の教科は範囲が広すぎるし、時事問題も勉強するにはタイパが悪いです。 通学途中でその手のまとめ動画を聞いたりしてみましたが、多少政治に詳しくなった以外メリットはなかったです。いや、でも、これが最大のメリットだったかも?
足切りさえ避ければいいので、半分以上さえ取れるようにすれば十分だと思います。 実際本試験でも、一回解いたことがあるような問題も出ましたし、逆に意味不明な問題もありました。時事問題についてはニュースとか見なさすぎてめちゃくちゃ困りましたが気合で乗り切りました。
1時間で文章理解、1時間で数的処理、残りでその他を片付けるくらい割り切りましたが、結果的にそれがうまくいったように思います。ていうか、基礎能力とかついてるような試験なので、これくらい余裕でこなせなかったら無理だと思います。理系だからまだ社会系問題に疎い人同士で多少の減点も誤魔化しあっているけど、文系だとこの比ではない倍率と点数争いをしていたはずです。まあググってください。
まとめると、
文章理解は比較的簡単なので、しっかり時間をかけてでもパーフェクトを狙うこと。
数的処理は知っているパターンや簡単なものを確実に解く。そのためには、初めにざっと全体を見てみることが大事。
その他はぶっちゃけ運なので、当たったらラッキーくらいで行きましょう。国公立に受かっているのなら大丈夫です。大学までの自分を信じてください。
2.多肢選択式専門試験
工学区分の建築選択で受ける場合、大学入試と同等かそれ以上の数学と物理、および1級建築士クラスの建築知識問題が出題されます。 人事院で過去問のPDFが閲覧できるので、自分で見てみるのが一番です。
多肢選択の前半は数学と物理です。ほぼ大学入試レベルだった気がします。選択式なのが不幸中の幸いです。センター試験、もとい共通テストのように答えから逆算するのも手です。その辺は「工学の基礎」というテキストがあるのでそれ一択です。全然わからないと思いますが、最低限雰囲気に慣れましょう。何周かしたほうがよいですが、私は途中で挫折して一周もやらず、結果点数が足切り寸前だったので、皆さんはまじめにやりましょう。
念のため言っておきますが、このテキストのレベルは国家公務員一般職レベルです。本番はこのテキストよりも難しい問題が出ます。地方大学の建築学生諸氏は電気関係で痛い目を見ると思いますが、基本公式で何とかなる問題もあるので、できるだけ捨てないでほしい。
数学では行列など我々建築系がほとんど知らないものも出てくるので、得意を伸ばすか苦手を克服するかよく考えてください。ちなみに行列は簡単なので、諦めないでほしいです。
建築に関する選択問題は、建築士試験の簡単版のようなものが出ます。
できるなら建築士試験まで見据えて、建築士試験の過去問をメルカリなどで購入してしまうのが、一番手っ取り早く、かつトータルで対策できると思います。 どうせ建築の道を進むなら建築士免許は必要なので、その先取り学習だと思いましょう。
市販の過去問でも良いかもしれません、私はメルカリで日建の2級のテキストを購入して、一通り、一周くらいは目を通しましたが、全然身につきませんでした。法律だけちょっと分かるようになりました。 それにそもそも、2級では対応できないレベルの問題だったような気がします。 恥ずかしい話ですが、全然わからなかったので、専門試験は最初の1時間半くらいで解き終わって(解けるところがなくなって)しまい、あとは爆睡していました。
点数は足切り寸前の点数でした。あと一問間違っていたら落ちていました。
それでも、何とか通過したのでセーフです!終わりよければ全てよし!
まとめると、
「工学の基礎」と「一級建築士対策レベルのテキスト・問題集」をしっかりやり込むしかありません。 うぬぼれではないですが、私はその場の対応でギリギリ合格点を確保しましたが、普通の地方大学生なら純粋に知識量が足りずに詰んでいたと思います。
テキストを立ち読みしてみて、「こりゃ無理だ」と思ったら、諦めて民間に行くのも一つの手です。…でも、それで本当にいいの?
3.記述式専門試験
ここから二次試験であり、一次試験通過者しか受けられません。
全体的に長丁場で、トイレに行けるタイミングが制限されていたりします(国会出席を前提とした身体的問題の検査が目的ではと勝手に妄想しています)。ですので、食事と体調管理には気をつけましょう。詳しくは後程書きます。一応、最初に性格の確認試験?みたいな、よくわからないアンケートのようなものを書かされますが、よっぽど知的に問題があるレベルでなければ困るものではないと思います。自動車教習所の性格診断試験と近いものを感じました。
建築専攻にとって一番やばいと思うのが、この記述式専門試験です。
都市計画と建築設計から選ぶ必要があります。ほぼ一級建築士試験の問題と同じ内容ですが、試験時間がほぼ半分という冗談みたいな試験です。エスキスもそこそこに、手を動かしまくるしかありません。
厄介なのは、文章記述がめちゃくちゃ多いところです。おそらく図面が未完でもそれを多少許すためだと思いますが、普通にかなりの時間を持ってかれました。図面は年によって違うらしいですが、基本的に平面図各フロア、1階に配置もまとめる感じです。
「断面図を描け」という指示を見落としてて間に合わず、死んだかと思いました。減点としては1問ミス扱い(建築は30点満点で、それが8倍されるという謎のシステム)だったので、採点基準がよくわかりません。みんな断面図を書き忘れた説?
「一級建築士 製図試験 独習合格テキスト」というテキストが最強です。もう正直、テンプレート暗記のほうが早いです。基本6*6、6*8とかで柱を書いて、適当に壁を書いて部屋割りをして什器を書いて、とやったらもう時間切れです。 時間がなさすぎて、全部フリーハンドでした。いろいろガバがあったとは思いますが、結構甘めの採点をしてくれたと思います。詳しくは長くなるので後述します。
いやあ、大変だった。人生で一番頭を使ったんじゃないかってくらい頭を使いました。
4.政策論文試験(2時間)
日本語、日本語、英語の3つの資料を読んで、示された課題に従った政策論文を書く試験です。テーマは年度によって異なります。論文と書いてありますが、その実は小論文です。1時間かけて構成し、骨子を作成して、あとはアドリブで文字を足しながら書き上げるという感じです。数千文字を手書きするというのは予想以上に時間がかかるので、一度確認しておくことをお勧めします。綺麗かより、時間内に書き終わるかのほうが大事です。
必ず資料に絡めて書くことが求められますが、それ以上に「視点」が重要です。「政策」を国として提案するような内容であるため、明確な論理と意図が必要です。私は10点満点中8点でしたので、よほど大幅な減点はなかったのだろうと推測します。これもいかに減点を回避するかが重要です。なお、思想が偏っていると、その時点でアウトです。まあ資料を読んでいれば、どう書かせたいのか見えてくると思うので、不安視しなくても大丈夫です。
ただ、普段からある程度文章に慣れていないと厳しいかもしれないと思うくらいには、難易度は高いです。特に英語資料は、普通に難しくて5割くらいしか分かりませんでした。それでも、分かる部分を切り取ってきて、なんとか言語化することが重要です。分からないものを知った風に書いてミスると、大幅減点されると思います。
個人的には非常に面白い試験でした。全体の中立者でなければならない国家公務員の立場と考え方を理解できているかを問われたように思います。私の代のテーマは少子化で、政府がどう考えているかが透けて見えて、にやにやしながら問題を解いていた気がします。書き終わった時点で「これは行ける」と自信があったくらいです。
5.人物試験
総合職試験における唯一の「面接」試験です。個人的には、ここで「官僚」に適性があるかを判断されているのではと思います。質問が非常に細かく、具体的です。内容は別記事で書きます。試験開始までは意外とみんなリラックスして時間を過ごしていたような気がします。1対3の個人面接方式で、朝にまとめて集められ、順番が遅いとその日の17時頃まで待たされるらしいです(私は一番手だったので最速で帰れましたが、悪く言うと試験官が一番厳しかったような気もします)。
面接官は、役職は明かされませんが現役職員らしく、ぱっと見でも部長クラスだろうと思われる貫禄のある係官で、厳しかったです。とにかく質問内容が細かく、個人的には民間よりもよほど厳しかったです。どれだけきちんと官僚になるための覚悟をし、勉強してきているかを問われます。私は専門分野に関する質問はほとんどありませんでしたが、別日に受けた友人はそうでもなかったようです。試験官によって質問内容が大幅に違うというとんでもない試験でした。
とにかく、めちゃくちゃ対策が必要です。勉強ではなく、公務員としての意識とかの方です。また、分からないものは「分からない」と言ったほうが良いです。こちらは学生なので、入庁後の細かいことなんか知るわけないので「入ってから勉強します!」の一点張りでなんとかなるはずです。インターンに行ってその経験などを語ると強いのでしょうね。私は行っていませんが、地方自治体でのボランティア経験を語り、「地方の限界を感じたから国単位で政策に関われるのに興味を持った」みたいなことを言いました。詳しくはまた後程書きます。
ひとまず、試験に関してはこんなところです。
殴り書きしてAIに清書させましたが、なんか日本語変やな…。
次からは長くなるぞ~~~!
ではまた。
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