音楽ニュース:今年の『音楽の日』(Tag der Musik)、6月21日
ドイツの『音楽の日』(Tag der Musik)は2009年に始まりました。
ドイツの文化・教育行政は地方主権なので、連邦(国)は直接の経営の母体ではありませんが、『音楽の日』は連邦の支援のもとに、ドイツ音楽評議会が中心となって組織しています。
開催にあたっては当時連邦議会議長ノルベルト・ランメルト(Norbert Lammert)、当時は蔵相で現連邦議会議長ウォルフガング・ショイブレ(Wolfgang Schäuble)、Linke党の元党首ザラ・ヴァ―ゲンクネヒト(Sahra Wagenknecht)が多大な支援をしました。
ちなみにランメルトやショイブレ、そしてメルケル首相をはじめとする政治家は、コンサートやオペラでよく見かけます。
初回は2009年6月12日~14日、ドイツ大統領ホルスト・ケーラー(当時)の後援を受けて開催されました。これには、ジャンルを超えた9万人の音楽家やアーテイストが1500以上の催しに参加し、56万人の聴衆・観客が集まりました。
2019年からは毎年6月21日の開催となり、今年はフランスの『 Fête de la Musique』(音楽フェスティヴァル)と協力しました。これには世界中で540の街が参加、ヨーロッパでは300、ドイツでも50の街が参加していました。しかし今年はコロナ対策で通常の開催はできませんでした。
6月21日、ケルンのフィルハルモニーで行われた『音楽の日』のコンサートに行きました。ケルン市のオーケストラ、つまりケルン・オペラのピットに入るオーケストラであるケルン・ギュルツェニヒ管の演奏で、指揮はギュルツェニヒ・カペルマイスター(同管の主席指揮者をこう呼びます)兼ケルン・オペラ音楽総監督のフランソワ=グザヴィエ・ロートでした。
ロートはスター指揮者の一人で、日本にも登場しています。日本では『ロト』という表記になっていますが、『ロート』と発音します。
この日のコンサートは管楽器演奏(17時)と弦楽器演奏(20時)の2回に分かれ、それぞれ60分以内でしたが、私は後半のみに行きました。というのはプログラムにマーラー≪交響曲第5番≫の『アダージエット楽章』があったからです。ギュルツェニヒ管は1904年、この作品を世界初演しました。
ここではホールの内外の様子を写真でご案内します。
https://www.koelner-philharmonie.de/de/
コンサート・ホールであるケルン・フィルハルモニーはケルン中央駅のすぐ横、ケルン大聖堂の隣にあります。『ローマ・ゲルマン博物館』、現代美術で有名な『ルートヴィヒ美術館』とも隣りあわせです。
聴衆は氏名と連絡先の登録のためにソーシャル・ディスタンスをとって並んでいます。
登録が終わり開場を待っていますが、それほどソーシャル・ディスタンスをとっているようではありません。
向かい側はホテルのビヤガーデンですが、ホテルがまだ閉鎖中なので、こちらも閉鎖しています。
手洗い場は『GESPERRT』(使用禁止)の部分もあります。『ソーシャル・ディスタンスのため』ということです。
トイレも同様です。すべてが使えるわけではありません。
コンサート前の(音響チェック)リハーサルが行われています。指揮者のロートは普段着です。
ブルーのテープが張られているところは使用禁止です。
ステージ全面です。指揮台とオーケストラの間に透明の仕切りが設けられています。
コンサートではフランス人のロートがドイツ語とフランス語の両方で挨拶しました。ARTE(独仏文化共同チャンネル)で視聴可能です。
guerzenich-orchester.de/livestream
Foto : ©Kishi