オペレッタの記録:バイエルン州立オペラ、ヨハン・シュトラウス作曲《こうもり》(1月4日、ミュンヘン・ナツィオナールテアター)
1月4日、ミュンヘンのナツィオナールテアターで、ヨハン・シュトラウス作曲《こうもり》を観ました。
2022年最後に観た公演はウィーン・フォルクスオーパーの《こうもり》でした。
https://note.com/chihomikishi/n/nff0a8f40c7c1
2023年、私にとって最初の公演も《こうもり》。こちらはミュンヘンです。
ドイツ、オーストリアのオペラ劇場では年末年始に《こうもり》を上演することが恒例になっています。
色々な《こうもり》が観られると言っても、演出にそう大きな差があるわけではありません。そもそもオペレッタであること、題材が割と他愛ない話で、演出コンセプトをあれこれ考える作品ではないからでしょう。
しかし第三幕の刑務所の看守フロッシュ(蛙)がクダを巻くシーンではかなりどぎついネタ、政治・社会ネタが展開されます。
この場面は現地の方言がわかり、政治・社会状況を知っている「現地人」でないと理解が厳しい。
周囲で爆笑しているのに、笑えないのは結構辛い。
ミュンヘンでは一つ「救い」がありました。
それは牢屋に入っているアルフレートが「歌うな!うるさい」と看守フロッシュに言われ、ヨーデルを歌います。
ここで観客は拍手。
看守のフロッシュがそれを真似てヨーデルを歌う。ちなみにフロッシュ役は女優兼カバレティストで歌手ではありません。
それなのに、ヨーデルが結構うまく、観客はさらに大きな拍手。
(彼女はモーツァルト《魔笛》の夜の女王のアリアも歌い、大喝采を受けていました。)
拍手が止んだら、今度はオーケストラ・メンバーがみんなでヨーデルを歌う。
うまくはないけど、このサプライズに観客は大喜び、大爆笑で、もっと大きな拍手。
さて、こちらは客席、オーケストラ・ピット、ステージ。
プログラム。
現在のバイエルン州立オペラの《こうもり》は1997年12月22日が新制作初日でした。もう四半世紀も続いているプロダクションです。
ちなみに《こうもり》の世界初演は1874年4月5日、ウィーンのテアター・アン・デア・ウィーンでした。
ミュンヘン初演は1875年7月10日、ゲルトナープラッツ・テアターでした。
バイエルン州立オペラのオーケストラ、バイエルン州立管は権威ある国際的なオペラ専門誌《オーパンヴェルト》年鑑で、専門家50人が選ぶ『最優秀オペラ・オーケストラ』の常連です。『最優秀オペラ・オーケストラ』に選ばれたシーズンは、
2008/09
2011/12
2013/14
2014/15
2015/16
2016/17
2017/18
2018/19
2019/20
2021/22
つまり2013年以降、この10年はずっとトップの座を守っています(20/21はコロナでロックダウン中でした)。
《こうもり》は最初から最後まで、音楽が本当に素晴らしい!
極端に言えば、ストーリーや意味がわからなくても音楽だけで楽しめる。
これほど素晴らしいナンバーが揃っている作品は他に《魔笛》、《カルメン》でしょうか。
そして、極上の音楽を、極上のオーケストラで聴くのは、極上の楽しみです。
FOTO:©️Kishi
以下の同オペラのHPに《こうもり》の綺麗なステージ写真がたくさん出ています。
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