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旅の話:ドッビアーコ(トープラッハ)②、グランド・ホテル
ドッビアーコを訪れたもう一つの理由は『グランド・ホテル』です。
最近は『グランド』でなくても、特に日本ではグランド・ホテルという名前をつけているホテルも多いようですが、ここでテーマにしたいのは19世紀から20世紀にかけて建てられた大規模なラグジュアリーホテルのことです。
さて、グランド・ホテルの歴史は18世紀に遡ります。
1774年コヴェントガーデンに建てられたホテルが最初のグランド・ホテルとされています。
19世紀末になるとヨーロッパの大都市だけはなく、海辺やクアなどの保養地、風光明媚な場所にも建てられるようになりました。
これには鉄道網の発達が大きく関係しています。
鉄道は私企業によって運営されていることが多く、鉄道会社は駅前にグランド・ホテルを建てて鉄道を利用してもらうようになりました。
ドッビアーコ駅前に建てられたグランド・ホテルはその典型的な例です。
その歴史を簡単に説明しますと、1877年、オーストリア=ハンガリー二重帝国の南鉄道会社が『ホテル・トープラッハ』の建設を始めました。それ以前1871年にはプスター峠を越える路線が開通していました。ホテルは1878年完成。
その後、ヨーロッパの王侯貴族が集まる人気グランド・ホテルとなりました。大金持ちや文化人も多く集まり、グスタフ・マーラーもその一人です。
しかし第一次大戦で、その華やかな時代も終わりを告げます。
被弾したトープラッハ・グランド・ホテルは病院として使われました。
1939年にはファシスト党が持ち主になります。
1988年から修復が始まり、1999年、カルチャー・センターとして再開、『マーラー・フェスティヴァル』の中心となっています。
現在はホテルの他、ホールや音楽教室、ユースホステルとなっています。
以下、パンフレットです。ドイツ語、イタリア語、英語で書かれています。
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歴史の説明。
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私が泊まったのは『ゲストハウス』というホテル部分で、左側の大きな建物です。
天井も高く、広さもあるのですが、設備はラグジュアリーではありません。
でも清潔で、特に布団カバーは良いものを使っていました。
また、ヨーロッパの格式あるホテルは、部屋が画一的ではないので、もちろん、いろいろです。私が泊まった部屋はスイートではないし、以前は『使用人用』だったのかもしれません。
廊下やホールは100年前を偲ぶ雰囲気があります。
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敷地は広大ですし、駅前で便利もいい。それなのに、街の中心部とは駅を挟んで反対側にあり、静かです。
21世紀のラグジュアリー・ホテルになる可能性は大いにあると思うのですが、そうなると、料金もとんでもなく高くなることでしょう。
FOTO:©️Kishi
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