Gärtnerplatztheater 17.06.23 ミュージカルの記録:ミュンヘン・ゲルトナープラッツテアター 《マイ・フェア・レディ》
ミュンヘンのゲルトナープラッツテアターで6月17日、ミュージカル《マイ・フェア・レディ》を観ました。
このプロダクションの初日は2018年2月13日、51回目の公演でした。
ほぼ売り切れ、満員です。
オペラやオペレッタ、コンサート、バレエやミュージカルにはよく足を運ぶのですが、どの公演もびっくりするほどよく入っていて嬉しい限りです。
キャスティング表。
あらすじが英語でも出ています。
カーテンコールの最初は写真を撮ることができたのですが、この後、スタンディング・オーヴェーションになり、全く写真が撮れませんでした。
FOTO:©️Kishi
《マイ・フェア・レディ》はよく知られています。
元々はバーナード・ショー原作の《ピグマリオン》。そして上演に至るまでの歴史はかなり複雑です。
個人的にはオードリー・ヘップバーン主演の映画《マイ・フェア・レディ》が最初ですが、ミュージカルの方がずっと古い歴史があります。世界初演は1956年3月15日、ニューヨークでした。
以下の写真はプログラムに収められたものです。Foto: Marie-Laure Briane
最初のシーン。
イライザたちがいるのはコヴェントガーデン(ロイヤル・オペラ)の前。ワーグナーの《ローエングリン》が上演されている、という設定です。
私の席からは壁に貼られたポスターの文字がよく見えず、登場人物が《ローエングリン》という発音ができないことがテキストで出てきて、やっとわかった次第です。
ロンドンの労働者階級の生き生きした踊りのシーン。
ヒギンズ教授邸の内部。
アスコット競馬に集う上流階級は石のように硬直しています。
労働者階級と大きな対比です。
ヒギンズ教授の母親役、ギゼラ・エーレンスペルガーは今年80歳。
40年以上にわたり同劇場の専属役者です。
彼女のオーラ、台詞回し・・・ステージが締まります。
そして、彼女の存在とセリフが『鍵』です。
フレディ。この日はダニエル・グートマンが演じました。
大成功を収め、大喜びで乾杯するヒギンズ教授とピッカリング。
左端でそれを眺めるイライザ。召使たちは硬い表情です。
このプロダクションの最後はヒギンズ教授の邸宅に戻ってきたイライザが階段を上がる姿をヒギンズ教授が下から見上げる、というシーンでした。
《マイ・フェア・レディー》、《ピグマリオン》のプロットは例えばシェークスピアの《じゃじゃ馬ならし》などにもあるものです。
イギリスに根強い階級社会。
下層階級の女の子を上流のレディに仕立て上げられるかどうかを賭けにする男性。
ジェンダーのみならずヒューマンの観点からかなり問題を含んでいるし、当然テキストにそれが表出しています。
ただ、音楽はやはり素晴らしい。
とりわけ、〈運がよけりゃ〉や〈踊り明かそう〉など不滅のナンバーは下層階級によって歌われます。
オペラ作品もそうですが、名作は弱い者の味方です。
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