ドイツ、メルケル首相、イースターの休日措置を撤回して謝罪。『スーパー選挙年2021』
ドイツは22日のコロナ・サミットで、4月18日までのロックダウンの延長とイースターの対策を発表しました。→
https://note.com/chihomikishi/n/n13894828b24f
今年のイースターは4月2日(聖金曜日)、4日(復活祭・日曜日)と5日(復活祭・月曜日)が、いつもの通り、祝休日となっていました。
しかしコロナ感染拡大対策措置として4月1日と3日も休日にして1日から5日まで『スーパー・ロックダウン』することが、コロナ・サミットで22日(23日未明)、決定したのですが、これに対し、各界から大きな批判が上がっていました。
本日24日、メルケル首相が「すべての責任は私にある」として、1日と3日を休日にする措置を撤回し、公式謝罪するという例のない事態になりました。
もちろん決定は首相一人ではなく、州首相、担当大臣等も交えた決定です。
今日、午後の連邦議会でのテレビ中継を見たのですが、メルケル首相の声は嗄れ、めずらしく言いよどむ場面もありました。
感染者数が増加する一方で、国民の我慢も限界に近くなっている今、今後どのような措置がとられるのか、先行きがまだまだわかりません。
さて、ドイツは今年『スーパー選挙年』です。
9月26日の連邦議会選挙の他、ドイツ16州の内、以下の州議会選挙があります。
・3月14日 バーデン=ヴュルテンベルク
ラインラント=プファルツ
・6月6日 ザクセン=アンハルト
・9月26日 メクレンブルク=フォアポメルン
ベルリン
テューリンゲン
3月14日のバーデン=ヴュルテンベルク州とラインラント=プファルツ州議会選挙では、それぞれ緑の党とSPD(社会民主党)が第一党の座を守りました。
メルケル首相が所属するCDU(キリスト教民主同盟。党首はアルミン・ラシェット)は議席数を大きく減らしました。これにはコロナ対策への不満、そしてCDUと姉妹党のCSU(キリスト教社会同盟)の議員2人がマスク供給に関する汚職で議員辞職し、所属政党から離党するというスキャンダルが影響したものとみられています。
バーデン=ヴュルテンベルク州は前々回の選挙2011年で、初めて緑の党が勝ち、初の緑の党の首相ヴィンフリート・クレッチュマン(72歳)が誕生しました。
この誕生は、実は、日本が大きく後押ししたと言われています。選挙直前に東北大震災、そして『フクシマ』が起こったからです。
この後、ドイツは大きく脱原発に舵を切りました。ドイツの原発時代は来年で終焉を迎えます。
今回もクレッチュマン首相の人気と環境問題への意識の高まりもあり、緑の党が第一党となりました。ちなみにバーデン=ヴュルテンベルク州の州都シュトゥットガルトにはドイツの重要な企業(ベンツ、ボッシュ、ポルシェなど)の本拠があります。
ラインラント=プファルツ州の女性首相マル・ドライヤー(SPD、60歳)の人気も高く、続投が決まりました。
この州の州都マインツには、コロナ・ワクチンの第一人者バイオンテック社(ファイザー社と共同)の本社があります。ワクチン開発のバイオンテック社代表を務める夫妻については以下をどうぞ。https://note.com/chihomikishi/n/na673716d4aee
問題は秋の連邦議会選挙です。
メルケル首相は今年9月限りで引退します。
彼女の所属政党CDUの党首は今年1月からアルミン・ラシェット(ノルトライン=ウェストファーレン州首相、60歳)ですが、評価と人気がいまいち高くありません。
連邦首相候補としてめきめき名前が挙がっているのがCDUの姉妹党CSU党首マルクス・ゼーダー(バイエルン州首相、54歳)です。
ただ、過半数をとれる党がないので、連立は必至と見られています。
政治ニュースを見ると(聞くと)政党名を色でいうことが多くありますが、これは党のシンボルカラーを使っています。選挙結果の棒グラフも色分けで一目瞭然です。つまり、
CDU:黒/CSU:青
SPD:赤
FDP:黄
緑の党:緑
たとえば、『信号連立』、『ジャマイカ連立』という言葉が使われます。
『信号連立』は信号が赤・黄・緑なので『SPD・FDP・緑の党』の連立を意味します。
『ジャマイカ連立』はジャマイカの国旗の色が黒・黄色・緑なので『CDU/CSU・FDP・緑の党』の連立を意味します。
環境問題への意識の高まりから、連邦議会選挙でも緑の党が大躍進する予想が出ており、『信号連立』の可能性も出てきました。
そうなると、史上初めての、緑の党出身の連邦首相誕生という可能性もあります。
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