コンサートの記録:クリスティアン・ティーレマン指揮ザクセン・シュターツカペレ・ドレスデン(9月10日)、エッセン・フィルハルモニー。 そして・・・ティーレマン、何処へ?
9月10日、クリスティアン・ティーレマン指揮ザクセン・シュターツカペレのコンサートを聴きました(エッセン・フィルハルモニー)。
これは元々モスクワ、エッセン、ハンブルクと回るツアーだったそうですが、コロナ禍でモスクワがキャンセルになり、エッセンとハンブルクだけになったそうです。
プログラム。
グリーグ《ピアノ協奏曲》ソリストはデニス・マツエフ
ベートーヴェン《交響曲第8番》
エッセン・フィルハルモニーはオペラ劇場のアールト・ムジークテアターと共に広大な公園の中にあります。エッセン中央駅からは歩いてすぐです。
写真の奥に見える白い建物がアールト・ムジークテアター。
大ホールは、エッセンの鉄鋼王クルップ家の当主アルフリート・クルップにちなんで名付けられています。
入り口から階段を上がって左側は小ホールです。パーティー会場としても使われます。
コンサートが始まる前。
休憩で外に出ました。
21時過ぎにはもう暗くなります。
客用入り口と楽屋入り口は隣合わせています。
休憩にはオーケストラの人たちも外に出ています。最近では特に建物内でのマスクが義務なので、外に出てくる人も多いようです。
待機しているメルセデス・ベンツはマツエフ用と言っているのが聞こえました。
突然「Konbanwa」と声をかけられました。
オーケストラ・メンバーの1人でした。日本ツアーやマスタークラスの指導者として、何度も日本に行っているそうです。日本が大好きなのだそうです。
彼:日本のコロナ感染状況はいかがですか?
私:ワクチン接種は遅れているし、オリ・パラもあって、なかなか難しい
ようです。
彼:でも日本人はお行儀がいいでしょう?」
(ちゃんとマスクもするし距離も取るから、という意味でよく訊かれます。)
私:コロナははるかに強いですから・・・
彼:では!
コンサート後、拍手に応えるティーレマンとオーケストラ。
ベートーヴェン8番は16型でした(第一ヴァイオリンが16人)。管楽器はそれぞれ2。
ベートーヴェンでもピリオド奏法がほぼ主流になっている現在、非常に珍しい解釈演奏でした。
以前、ドイツの大抵のレストランには『ドイツ・ペッパー・ステーキ』という胡椒を粗挽きしまぶして焼いたステーキがあったのですが、最近はあまり見かけなくなりました。
演奏中、それを思い出していました。
ティーレマンについては好き嫌いの両極端に分かれると思いますが、唯一無二の個性を持つカペレとの共同作業はやはりとても面白い。
ですが、ティーレマンのシェフの契約は延長されず、2024年夏で終了することが今年5月発表されました。
理由は「将来に向かって新スタートを切る」とされているだけで、何があったのかわかりません。オーケストラ・メンバーからの怪文書の影響もあったなど、メディアも色々書いていますが、それも真偽はわかりません。
ティーレマンの前にはファビオ・ルイジが「追い出された」ような形でカペレを去り、その後は客演指揮にも招ばれていません。
私自身、これまでティーレマンがベルリン・ドイツ・オペラの音楽総監督を務めていた頃(1997ー2004)から、彼が指揮するコンサートやオペラをたくさん聴いてきました。
最近の鮮烈な記憶は、2018年のバイロイト・ワーグナー祭《ローエングリン》、これはおそらく私の人生最高の《ローエングリン》演奏でした(演出は大問題!)。
その折、ドミンゴ指揮《ワルキューレ》も観たのですが、ドミンゴ指揮の酷さに気が遠くなりそうでした。猛暑ということもあったのですが、同じくらい暑いのにティーレマン指揮ではそんなことはなかったのです。
2019年のバイロイトでは開幕プレミエの《タンホイザー》を観たのですが、演出も歌手も素晴らしかったのに、ゲルギエフの指揮がとうてい及びではなかったのが、大変残念でした。もっとも、これも想定内でした。
続く《タンホイザー》公演で、ゲルギエフがドタキャン、ティーレマンが飛び込むということがありました。そのアナウンスがされると、客席から歓声と拍手が起こったそうです。
しかし、今、ティーレマンとバイロイトの関係も微妙になっています。
ティーレマンよ、何処へ行く???
FOTO:©️Kishi