ドクターストレンジ マルチバースオブマッドネス
監督
サム・ライミ
出演者
ベネディクト・カンバーバッチ
エリザベス・オルセン
キウェテル・イジョフォー
ディズニー+にて鑑賞。
ヒーローの大義
冒頭より、別次元のドクターストレンジとアメリカ・チャベスが怪物に追われるシーンから始まる。
怪物を封じ込めようとするストレンジだが、力が及ばず魔法が破れそうになった時、ストレンジは大義を理由にアメリカ・チャベスの力を奪おうとし、彼女を犠牲にしようとする。
「こうするしかない」
「マルチバースという壮大な尺度では、君を犠牲にするしか」
一方、現次元でのストレンジは、元恋人であるクリスティーンの結婚式で、医師の同僚であるウエストと再会しこう言われる。
「(自分が塵となって消えた5年間に)猫2匹と兄が死んだ」
「これしかなかった?他に方法は?」
世界を守るためという大義を理由に、ヒーローは行動や選択をする。
しかし、世界を守るという大局的な結果を導く過程では、実は個々人の人生においては様々な犠牲を伴っている。
ヒーローが大義で行うことの裏には、強いられた個人の犠牲があることを、ストレンジは突きつけられた。
自分への嫉妬
マルチバースの存在しない単一世界の中では通常、嫉妬は他者へ向く。
しかし、マルチバースが存在し、現次元で辛い経験をしている自分が、別次元の自分は幸せな生活を送っていることを知ってしまった時、嫉妬は別次元の自分に向くことになるだろう。
ましてや、ワンダのように別次元の自分と入れ替われる力を手にしてしまっていれば、嫉妬に囚われてしまっても不思議ではない。
もしもこんな自分になっていたら、なんて想像は誰しもするが、それは別次元の存在など考えもしないからこそ、憧れや空想で終わらせることができる。
それが、別次元の望むべき自分になれる力を手に入れれば、ワンダでなくとも、どんな人間だってその力を使おうとするだろう。
良かったシーン
冒頭で怪物の目玉が取れた時、「キュポン!」と音がしたのは笑った。
また、ワンダがカマータージを襲撃し、戦士達の心を操ろうとした時、ウォンが「心を強く!」と戦士達を鼓舞したが、それだけでワンダの攻撃は防げないだろとやはり笑ってしまった。
そして最後に、ストレンジがクリスティーンに言った
「全ての宇宙で君を愛している」
というセリフは、マルチバース世界が存在するからこそ成立する素晴らしいセリフだった。
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