ザ・バットマン
2022年
監督:マッド・リーブス
出演: ロバート・パティンソン
ゾーイ・クラヴィッツ
ポール・ダノ
ジェフリー・ライト
コリン・ファレル
109シネマズIMAXにて鑑賞。
恐怖の化身
本作の主人公であるブルース・ウェインはバットマンとなってからまだ2年目で、ゴッサムシティの犯罪者に恐怖のトラウマを植え付けるかのごとく、過剰な暴力を行使していた。
暗闇から重い足音だけが鳴り響き、徐々に近づいてきて、ゆっくりと姿を現すその様は、まるで恐怖という概念が化身となって現れたかのようだ。
チンピラ相手だろうと容赦なく、憎しみを全面に出して過剰なまでに暴力を振るう。
本作のバットマンのアイデンティティは、恐怖であった。
イカれたコスプレ野郎
バットマン映画ではしばしば、バットマンが「イカれたコスプレ野郎」などと揶揄されるシーンがあるが、筆者は一度もそう思ったことはなかった。
これまでのバットマン映画では、ヴィランの方がよほど派手で個性的なキャラクターだったため、「こっちの方がイカれたコスプレ野郎だよ!」というツッコミが成立していた。
ところが本作では、明らかにバットマンの存在だけがゴッサムシティの中で浮いており、彼だけが異様な存在として立ち回っていた。
それ故本作では初めて、バットマンって現実世界にいたらイカれたコスプレ野郎と言われても仕方のない存在なのだなと思わされた。
四六時中、コウモリのコスプレをして、事件現場に出入りし、チンピラをボコボコに殴っていたら、そう思われても仕方がないだろう。
ゴッサムの犯罪者
本作の敵であるリドラーは、孤児という出自で、自分を助けてくれると信じていたウェイン家に裏切られたことへの憎しみから生まれた存在であった。
2019年の「JOKER」でも、精神障害で生きづらさを抱えながらも、社会的な援助を受けられず、社会への諦め、恨みを募らせた結果、ジョーカーという存在が生まれてしまっているが、
リドラーもジョーカーも、社会から手を差し伸べられなかったごく普通の市民が、ヴィランという仮面を纏い変貌してしまっている。
そして、リドラーやジョーカーになる可能性のある同じ境遇に置かれている人も、ゴッサムシティには多数いるはずである。
貧困、孤児など、社会から虐げられた者から生まれた犯罪者は、同じ境遇の者からの共感を呼び、フォロワーを生む。
バットマンは、これからもゴッサムという街によって生み出されてしまった犯罪者と日々立ち向かわなければならない。
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