シン・ウルトラマン
監督
樋口真嗣
企画・脚本
庵野秀明
キャスト
斎藤 工 長澤まさみ 有岡大貴
早見あかり 田中哲司 西島秀俊
公開初日 IMAXにて劇場鑑賞。
後日、通常劇場で2回目鑑賞。
オープニング
エヴァンゲリオン新劇場版で、オープニングにスタジオカラーのロゴと同時にウルトラマンの変身音が流れるのを観てきたが、今回、満を持して、この変身音で始まるに相応しい映画をついに観ることができた。
水に垂らした絵の具が回転する画が流れた時、来た来た来た!オリジナル版でウルトラQの文字が出るやつだ!と思ったのも束の間、シン・ゴジラの文字が現れ、途端に頭はパニックになった。
その後は、畳み掛けるかのように、現在までの禍威獣の出現とその対策の状況説明。
そしてパンフレット購買促進の為かと思わせる程の読ませる気のない字幕の多さに、早くも庵野映画の世界に引き摺り込まれた感覚だった。(筆者はまんまと映画終了後、パンフレットを買いに走った)
アングルとディテール
序盤で印象的だったのが、1シーンごとの
多岐にわたるアングル、一台詞ごとに切り替わるカット割である。
禍特対メンバーが、出現した禍威獣ネロンガについて分析するシーンで、ただでさえ専門的な用語満載の難しい台詞が展開される中、一台詞ごとにカットが切り替わり、かつそのアングルは、物と物の隙間から喋っている人物を覗くようなものだったり、下からその人物を見上げるような視点だったりと、あらゆる角度から目まぐるしく撮られており、話の内容と目からの情報を同時に処理し理解するのに必死だった。
一方で、ネロンガが変電所の前に現れたシーンでは、画面いっぱいに映し出された変電機越しにネロンガを正面から捉えており、壮観なアングルであった。
米国機がガボラにミサイルを落とす際は、機内のミサイル降下の機械構造が見え、そのディテール描写にテンションが上がった。
奇天烈なウルトラマン
ネロンガの前に降着した謎の銀色の巨人(ウルトラマン)が起き上がる際、眼のアップになるが、角張った眼の線が、この時はまるで充血した血管のように見え、謎の銀色の巨人は有機的ななんらかの生命体であるかのような印象を抱いた。
ウルトラマンの動きは、多彩だけども一方でオリジナル版通りの戦い方を踏襲していた。
ガボラの目の前に、逆向きに飛来してきたウルトラマンが高速回転し、そのまま蹴り上げるシーンでは、そういう戦い方もあるのかと意表を突かれたと同時に、少し可笑しさもあった。
またガボラの光線を胸で全て受け止め、最後はワンパンで倒してしまうウルトラマンはとにかくカッコよかった。
赤色の巨人となり僕らの知っているあのウルトラマンとなった姿は美しく、力強かった。
外星人との遭遇
外星人(ザラブ星人)と遭遇した時の不穏で不気味な映像、演出がオリジナル版と同じ感覚で再現されていたことに驚いた。
ニセウルトラマンに奪われてしまった浅見を取り返し、落下してくる浅見をフワッと受け止めるウルトラマンには人間味が感じられ、ウルトラマンの中に神永がいることを思わせた。
そしてなんと言っても、対ザラブ星人戦では、夜空を飛ぶウルトラマンのカッコよさに尽きた。
オリジナル版を踏襲しながらのザラブ星人とウルトラマンの空中戦には見入ってしまった。
やはり夜空とウルトラマンはよく似合う。
狭間の存在
今作のシン・ウルトラマンは、ウルトラマンの正体が知られ、ウルトラマンは人類を、人類(禍特対)がウルトラマンをどう理解し、受け入れるかの物語だ。
個で生きていけるウルトラマンが、群れないと生きていけない人類のことを知っていく。
対メフィラス星人戦では、メフィラスと対峙するウルトラマンのカッコよさ、そして
ゴングがなる前の静けさに痺れた。まさにウルトラファイト開始だ!
何故ウルトラマンが好きなのか
今回、シン・ウルトラマンを観て、何故ウルトラマンに惹かれるのか、カッコいいと思うのかわかった。
引かない。諦めない。立ち向かう姿勢。怪獣の光線を全て受け止める。メフィラスの光線でエネルギーが尽きるギリギリまで戦う。ゼットンに勝てないとわかっていても向かって行く。
こんな姿に勇気を貰えるから、大人になってもウルトラマンに魅力を感じるのだ。
シン・ウルトラマンには、私が幼い頃から好きだった、憧れのウルトラマンが変わらずそこにいた。
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