「Carry On」すること
今回のアルバムは録音に半年もかかりました。ジャズの録音期間では異例の長さでしょう(おそらく)。今年はアルバムをつくるのは無理だと思いました。2月にスタジオに入ったら身体が全く言うことを聞いてくれなくなったのです。そして心も少しずつ弱っていきました。何もできない不甲斐なさ。世界も自分もこわれていくのをただ見つめるだけです。
せめて録音をし始めたアルバムを少しでも納得できるものにしたいのに、ピアノを弾くとかそれ以前に、身体も心も音楽を拒絶していました。わたしは誰なのでしょう。誰でもありません。そのままグレーの毎日。
7月でした。身体と心に光が差してきました。何かできるかもしれない、希望が湧いてきました。やっと夏だと気づきました。蓮の花がはち切れんばかりに咲いていました。桃太郎が生まれてきそうなつぼみ。それを包むように波打つ、蓮の葉の柔らかく青みがかった緑。
8月に入って、NY便に乗り気絶するように眠って、よろよろと頼りない足取りでスタジオに向かいました。8月のNYは眩しくて天国みたいだった。神さまっているのかもしれないと思った瞬間です。身体は相変わらず不調だったのですが、最後まで諦めずに粘り、8月終わりまで録音やミキシングをして、ご関係者皆様の厚いご協力おかげでアルバムが作れました。製作の遅れで多くの方々に迷惑をかけました。発売がツアーギリギリになってしまったのはわたしの責任です。申し訳ございません。
アルバムは自分には子どものような存在。生まれてきてくれてありがとう。録音したら沢山演奏してさらに大きく育てたい。
音楽の表現の自由だって平和や優しさ、尊敬、そして安心と健康なしには成り立ちません。誰もが一緒に生きられる世界をずっと守るために、小さな小さなネジとなって音楽をする、これがわたしの続けること。「Carry On」のくれた答えです。ツアーもできてすごく嬉しい。感謝の気持ちでいっぱいです。各会場で皆様にお会いできますことを心待ちにしています。
産経新聞記者の石井健さんのによる記事。
10/9発売の新作「Carry On」に込めたわたしの気持ちを深く汲み記事にしてくださいました。この場をお借りして心から御礼申し上げます。ぜひお読みください。https://www.sankei.com/article/20241006-WBN5C4TI6FLD3LVER62DFGO3TA/
2024年ライブの予定です
10/10富山オーバードホール中ホール
10/11、12ブルーノート東京2days
10/13カルッツ川崎
10/14ビルボードライブ大阪
10/15名古屋スターアイズ
10/19 水戸 ザ・ヒロサワ・シティ会館
10/25 宮崎・延岡・延岡総合文化センター野口遵記念館ホール
11/2 金沢 もっきりや
11/3 鈴鹿 どじはうす
11/4 京都 亀岡ジャズフェスティバル
11/9 東大和市民会館ハミングホール
11/16 静岡市清水文化会館マリナート
11/17 京都 ボンズロザリー
11/24 岐阜・大垣市 日本昭和音楽村
11/30 埼玉・神川町中央公民館ホール
12/7 札幌シティジャズ
12/15 静岡・焼津 大井川文化会館
12/21 名古屋 緑文化小劇場
12/22 群馬・桐生ビレッジ
12/26東京コットンクラブ
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