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気球に乗ってどこまでも

私が文章を書くモチベーションになる人がいる。その人の書いた作品を読むと、むくむくと書く気が起こってきてしまってすごく張り切るのだが、書くのにその人に50倍くらい時間がかかるので、途中でへろへろになってしまう。とっくに時間切れになったマラソンを走っているような虚しさ。なんでこんな無謀なこと、書こうなんて思ったことにひたすら自己嫌悪になる。行くも千里、戻るも千里、的な状態というわけだ。その人の書くものは、色濃い恋愛模様が多く、こんな話どこで思いついたの?!と驚愕してしまう。その人のパワーにあやかって、恋愛的な要素の濃いものを書こうとしていつも大失敗する。気球について書かれたことを真似ようとして、玉ネギのことしか書けなかったというくらいの差だ。
 書いていたらなんだか自分の玉ネギっぷりに目にしみてきた。見える風景が違いすぎる。筆力が違いすぎる。もう夜もふけてきた。玉ネギを放り出して寝ることにします。玉ネギは気球じゃない。乗れない。どこにも行けない。涙が出るのは一緒かもしれないけど、涙の質と成分が乖離しすぎた。気球に乗ってどこにも行けない。ではおやすみなさい。

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