![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/162380779/rectangle_large_type_2_3627ff9cd4f7b2a02dddb90569a95d67.png?width=1200)
Photo by
kana58kana
みちくん
SNSに制限時間を設けている。どのプラットフォームも15分使うとアプリが終了されるように設定した。これ以上SNSに時間とエネルギーを費やしたくない。「私生きてます」基本そのお知らせだけ。
とくにYouTubeのロバート秋山の動画は絶対にクリックしない。すぐに15分を超えて何回も何回も制限時間を解除して見続けてしまう。そして一旦見るとまたどんどん見たくなる。
先日のコンサートでオーケストラのラプソディー・イン・ブルーの力強い響きが大きなホールいっぱいに鳴る中、ロバート秋山の奇妙な合言葉が脳裏をかすめた。ドアトゥードア、ケースバイケース、ブラックアンドホワイト、ホワイトアンドホワイト。チノアンドジーンズ……
その瞬間、雑念を引き裂く強い視線を感じた。
視線の方向を見ると、舞台客席最前列中央。ピアノの真ん前の席の母がまばたきもせず、ピアノを弾く私をガン見していた。劇団えんきんほうもびっくりの遠近法を無視した存在感。母の方がピアノよりずっと大きく見えた。みちくんはすっと姿を消した。
いつのまにか曲が終わり私は拍手に包まれていた。ピアノの横に立つ私を目力鋭く凝視している母が視界に入る。母の合言葉は一つ。
「プラクティスオアダイPractice Or Die」