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新海監督作品との出会いは失恋だった

こんにちは。桜田です。
今回は僕の大好きな新海誠監督作品との出会いについてお話ししようかなと思います。

満月珈琲店が出てからは食べ物や飲み物のイラストがメインでお仕事させていただくことが多いのですが、それまでは新海作品のような絵が描きたいと思っていて、空や海のような風景を中心に描いていました。

10年ほど前に描いたイラストなのですが、この辺がたぶん新海作品に一番影響を受けていた時期だと思います。(似てる似てないは別として)
桜や空の色、雲の形、光の入り方などなど見様見真似ではあるのですが、こんな絵を描きたい!と思い続けて今なお絵を描き続ける日々です。

「空の記憶」という秒速5センチメートルまでの背景美術が収録されている本があるのですが、それを膝の上に置いて食い入るようにして見て絵を描いていました。僕の人生のバイブルの中の一冊です。

膝の上に置いていた画集。作業するのにカバーが邪魔で取っていたのですが
どこかへ行ってしまったという……。

そんな僕が新海監督作品に初めて出会ったのは高校生の頃でした。

初めて見たのは「雲のむこう、約束の場所」です。友達の家でDVDで見ました。絵がすごく綺麗でこの作品が気になったことを覚えています。
ただ当時作品を見た感想としては絵が綺麗でちょっと切ない話だったなと思うぐらいに留まります。

底のない沼に足を取られてしまったのは、それから5年後のこと。

当時、大学生だった僕は片思いだった人に失恋してしまいます。
情けない話なのですが、それまで僕はあまり恋愛というものに縁がなかったのでこの気持ちを処理するのにめちゃめちゃ苦労します。

お酒が全く飲めないのにも関わらずビールを飲む。朝まで友達に家にいてもらったり、部屋の隅っこで小さくなって失恋ソングを聞くなど、とても分かりやすく感傷に浸る毎日を過ごしていました。当時僕に付き合ってくれた友達たちには今でも本当に感謝しています。

そんな中で出会ったのが新海監督の「秒速5センチメートル」です。
古本屋のバイト終わりに夜中までやっているレンタルビデオ屋さんによく通っていたのですが、そこで面陳されていた秒速のDVDが目に入ります。内容はなんとなく知っていたので、切ない恋愛ドラマが今の自分を慰めてくれるかもしれないというよくわからない理由でレンタルしてみたのですが、その結果、慰めるどころか心をえぐられます。
エンドロールが流れる頃には口をぽかんと開けて画面の前から動けなくなっている自分がいました。
時間は真夜中、あまりの衝撃に僕はどうしていいかわからず、もう一度最初から秒速を見ることにしました。

結局、その日は朝になっても寝ることができず、揺れに揺れたこの感情をどうしていいかわからなかった僕は大阪日本橋(当時、大阪府富田林市で一人暮らしをしていました)にDVDを買いに行くことを決意します。

こちらが特別版のDVD。サントラがついてきます。「想い出は遠くの日々」は必聴!
個人的に新海作品を語る上で音楽の話は避けて通れないと思っているのですが
長くなってしまうのでまた別の機会に。

これはもう本当に勝手な僕の妄想なのですが「秒速5センチメートル」を見て僕は自分のことを肯定してもらえたような気がしたんですよね。

いつまでも女々しくウジウジしてはいけないと思い、一刻も早くこの気持ちを忘れるべくあれこれ試していたのですが、この作品を見て「そういった気持ちも忘れずに抱えたまま生きていたっていい」ということを教えられた気がするんですよね。それで少し立ち直れたような気がしました。

見たことも会ったこともない新海誠という人が僕のことをわかってくれるような気がして、一気に虜になってしまいます。その日から僕は新海監督のファンです。

集めに集めた新海作品関連商品(一部)です。

作品を見ただけで会ったこともない人が自分のことをわかってくれているというのは今思うと結構痛いなぁとは思うのですが、当時はわりと真剣にそう思ってました。

この作品に出会ったことで「自分もこういう作品を作りたい!」という強い気持ちが芽生えて創作活動に没頭するようになりました。ロクに就活もせず朝から晩まで研究室に籠って作品を作っていたのですが、他のことを忘れて何かに没頭できるというのは当時の僕にはとても救いになりました。

僕は大学を卒業してから10年ほど会社員をしながら同人即売会に出たりWEBで作品を発表するなど創作活動をしていたのですが、忙しい中でもコンスタントに作品を作り続けられたのは新海作品をはじめとする憧れのクリエイターさんたちの新作の発表があったことは大きいと思います。

それから何年かして、運よく僕自身もイラストレーターとして、自身の創作物で生計を立てていくことが出来るようになりました。

満月珈琲店の風景や食べ物のイラストは僕なりに新海監督の絵を見ることで培われた技術がたくさん詰まっていると自負しています。

風景のイラストはそのまま満月珈琲店の世界に活かせています。
シロップの光沢やホットケーキの焼き加減なんかは雲の描き方を応用しています

おこがましい話ではありますが、僕の作品も誰かのそういうものになれていたのであれば作家として本望です。


「ほしのこえ」から「天気の子」までのファンアート。
「すずめの戸締り」も追加したい。
グランドエスケープをイメージしたFA
こっちは「愛にできることはまだあるかい」をイメージしたFA


最後に自慢なんですけど、ご縁がありまして実は新海監督にはSNSをフォローしていただいています。DMもいただいたこともありまして、今でも締め切り前の辛いときは監督のくださったメッセージを見て自分を鼓舞しています。

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