事業会社で活躍するデザイナー育成/自己成長のための「デザイナーラダー」と目標設定
こんにちは。BASEのProduct Design Section マネージャーの小山です。
今回は事業会社で活躍するデザイナーを育成するために、昨年作成したグレード表とスキル指標を見直し、デザイナーのスキルラダー(以下「デザイナーラダー」)を作成・運用し始めたので、デザイナーラダーの紹介と活用方法について紹介します。
組織・マネージャー目線では育成についての話ですが、メンバー目線では自己成長をどうやって実現していくかという話にもなっているので、いろいろなデザイナーの参考になれば幸いです。
事業会社で「活躍する」デザイナーとは
私が考える「事業会社で活躍するデザイナー」とは、主体的に課題提起から改善の提案・実行を行いながら事業や組織に対して影響力を発揮し、一人では生み出せない成果をチームで出すことができるデザイナーです。
事業会社のデザイナーは長く同じサービスを続けることで事業やユーザーの理解を深め、双方にとって最適なデザインを提案することが期待されていますが、ハイレイヤーになっていくにつれ、プロダクトの先を見据えたデザイン提案や企画の立案が求められるようになります。
さらに、組織全体の目標達成に向けた戦略的な視点やリーダーシップが重要となり、デザインの領域だけでなく関連領域への染み出しや組織を越境したコミュニケーションも必然的に必要となっていきます。
デザイナー育成で感じていた課題
ジュニア〜ミドルのデザイナーは、業務で経験を増やしていけば目標などを意識しなくても自然と成長していくことができます。
しかし、ミドルの一定レベルに到達すると、安定して業務を行うことはできるものの、成長を意識せず淡々と業務をしていると新たなスキル習得やレベルアップが難しくなり、成長が鈍化していきます。業務は順調なのに達成感や自己成長感を感じにくい、もしくは評価が上がらないと感じる人はこの状態に陥っているかもしれません。
BASEのデザイン組織では、これまでグレード定義とスキルの指標のみを運用していましたが、それだとメンバーがどのスキルをどこまで伸ばせば次のグレードに上がれるのかがイメージしにくく、成長目標が立てづらくなり、成長実感を得にくい状態になっていました。
そこで昨年新たに作成したのが、デザイナーのスキルをレベル分けして定義し直した「デザイナーラダー」です。
新たに作成した「デザイナーラダー」
今回作成したデザイナーラダーは、1年半ほど前に執筆した「BASEのデザイナー評価と新たな「シニアデザイナー」への期待」の中に出てくるグレード定義とスキル指標をアップデートしたものになります。
デザイナーラダーの目的
成長の方向性確認、評価のズレの解消、採用時の期待調整の3つを目的に作成・運用しています。
BASEのデザイナー職がどうあるべきかを段階的かつ職種別に定めたラダー定義を作り、成長の方向性を明確化する
ラダー定義から目標設定やフィードバック面談・組織配置などで、マネージャーとメンバー間で期待値と評価にズレが起こらないようにする
採用活動時に候補者の評価をラダー定義を用いて共通認識出来るフォーマットとしてラダーを活用する
BASEのデザイナーラダー
デザイナーラダーでは、6つの評価指標(スキル)を6段階のレベルに分けています。
レベルが上がるにつれて求められるスキルのレベルも高くなり、主体的な行動が求められるように設計されています。
デザイナーラダーを活用した目標設定
ここからはデザイナーラダーを活用した目標設定の方法について紹介します。
①スキルの現在地を知る
デザイナーラダーを活用する時は、まずメンバーとマネージャーでデザイナーラダーを見ながら現在地を確認します。
メンバーに評価指標ごとの自己評価をしてもらい、マネージャーが組織から見た評価を話しながらすり合わせを行います。この時に、前職などで発揮していたスキルや経験ではなく、現職で発揮できているスキルとして認識のギャップをすり合わせていきます。(初めてラダーを使う場合、ラダーの解釈が違うこともあるので、ラダーの意味も合わせて確認します)
②成長の方向性を決める
評価指標の中でもレベルが高いものはそのメンバーの強みであり、逆にレベルが低くなったものは弱みになります。メンバーの長期的なWillも踏まえて強みを伸ばして成長していくか、弱みを補強して成長していくかをマネージャーと一緒に考えることで、メンバーそれぞれに合わせた成長の方向性をすり合わせます。
③行動目標に落とし込む
成長の方向性がすり合ったら、伸ばしていきたい評価指標の現在地と次のラダーのギャップを考え、どういった行動をすればそのギャップを埋められるのかを行動目標として決め、1on1や評価フィードバックなどのタイミングで定期的にその行動が実行できたか、成果が生まれたかを確認していきます。
(BASEでは行動目標とは別に担当しているPJやタスクごとに成果目標なども設定していますが、今回は割愛します)
行動目標は「いざ明日から行動しよう」と思った時に何をすればいいかがわかるレベルまで具体に落とし込むことが重要です。
いざやろうと思った時に「何をしよう」と考えてしまう場合は具体アクションまで落とし込めていない状態になります。アクションの抽象度が高いとすぐに行動をしたり意識することができなくなってしまうので、組織で行う場合はマネージャーがコーチングをしながら具体アクションまで落とし込むサポートをしていきます。
④目標の振り返りと軌道修正
目標は作って終わりではありません。目標達成のためには目標を意識して行動を変えていくことが重要です。
私のチームでは毎週30分で実施している1on1の中で定期的に進捗や達成具合を確認しています。定期的にアクションできたことをマネージャーと一緒に確認することで得られた示唆に気づいたり整理することができます。アクションが実行できていなかった場合でも、定期的に確認の場があることで強制的に意識することができるので、忘れて何もできなかったということがなくなります。
目標としていた期日までに達成が困難そうだと感じた時は目標の軌道修正を行います。高すぎる目標は達成期日の見直しや目標を分割してマイルストーンを立てるなど、無理のない目標に設計し直すことで無理なく着実に達成していくことができます。
おわりに
私が考える事業会社で活躍するデザイナー像と、デザイナー育成に必要なラダーと目標設定について紹介させていただきました。
今所属しているチームにラダーがなかったり、個人で成長を考えている場合などでも、自分がどうなりたいかを言語化することで目標を作ることはできると思うので、自己成長に悩んでいる方は自分の現在地と理想の状態のギャップからどんな要因をいつまでに解消すれば成長できるかをぜひ具体的な目標に落とし込んで実行してみてください。
成長意欲はあるけど成長実感が持ちにくいと感じている人、メンバーの評価や育成に悩んでいるデザイン組織の参考になれば嬉しいです。
最後に、BASEでは一緒に働くデザイナーを募集しています。
この記事を読んでBASEのデザイン組織に興味持っていただける方がいましたら、カジュアル面談も実施していますのでぜひご連絡ください。