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心の中に喜びがなくて「もう無理だわ」

夫の両親と一緒に働くこと、知らない土地での新しい生活全般。

現在の自分の環境に適応することに、精神的な限界を感じた私は、夫に打ち明けた。

「ごめんなんか、ここのところ気分が落ちて落ちて仕方ない。もう、自分ではどうにもならないわ。精神科に行ってみる」

夫は、悲しそうな顔をした。

自分の両親が原因だとわかっているからわたしに申し訳ない気持ちもある一方で、それでも自分の両親だけが悪いのでもないと思いたい。そんな表情。

わたしと自分の両親の関係がしっくり行ってないことについて、彼はずっとそう言っていた。彼自身もパワハラは受けているのにどうしてわからないのか、もどかしい気持ちも相当あったけど、実の親子関係には立ち入れない。

あの人たちは、自分たちに非があるなんてまったく考えてもいないよ。

そしてわたしは、自分も悪いのかもしれないと思いつめて心の調子を崩してる。

もうね、そういうの毎日につかれた。

歩み寄れと、あなたはそれしか言わないけど、

歩み寄ったら、人生ごと飲み込まれてしまう。

踏み込んできて、わたしとあなたの人生を思い通りに動かそうとするよ。

またそのうち何か自分たちに都合のいい物件を探していきなり命令してくるよ。

あの家を買え、そこに住め、ああしろ、こうしろ。

わたし、絶対にそれだけは嫌だ。

あのね、人って、歩み寄りたかったらそうするよ。それをしてもらえないのは自分たちに原因があるのかもしれないと、省みることができる人たちだったら、こんなことに初めからなってないよ。

息子の嫁には何をしてもいい、何を言ってもいいなんてこと、あるわけないんだよ。

自分たちは好き勝手なことをして人の心を傷つけておいて、それを我慢するのが相手のつとめだなんて。そんなバカなこと、絶対許しちゃいけないんだよ。

どんなにムッとされようが、夫にはあなたの両親には疑問だらけだと最初から断言してきた。何でも言うのが夫婦だと思っているわけではないけれど、自分なりに考えて、いくら夫の実親だろうが嫌なものは嫌だという方がいい、と判断していたから。

夫の両親にいい顔はしていない。

夫にも、嫌なものは嫌だと言ってきた。

いい人ぶって我慢なんて一切していない。

言いたいことを飲み込んで無理に笑ったりしていない。

それでも、精神的な限界はきた。

自分の心のどこを探しても喜びがなくなるっていう状態を知った。

わが身を救う行動をとりたい。気分が落ちて仕方ないけどなんとかして、何かの力を借りて、強い気持ちで、グイっと前を向きたかった。

とある秋の日、自転車で行ける距離にある精神科のクリニックを予約できた。
当時のわたしはパート扱いで、毎週水曜日の午後は休みだった。

天気のいい日で、強いひざしを浴びながら、ドキドキしながら自転車をこいだ。



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