この町で続ける理由 1
何から話したら良いかわからないので、思いついた順に。
私の暮らす古殿町は、人口が5000人ちょっとの町です。
林業が盛んで、町のほとんどの土地に杉が生えています。
花粉症の私にとって春は地獄の季節ですが、それを除けば田んぼや自然がとても美しくて気持ちの良い町です。
福島県の主要都市である郡山、白河、いわきから車で約一時間の場所にあります。
ポツンと一軒屋に出てきそうな町です。(実際2つ隣の町が出ていました)
コンビニは町に2件。小さなスーパーが1件 (個人の商店は数件ありますが)
こども園、小学校、中学校はひとつずつ。
6歳の長女の学年の児童は39人
3歳の次女の学年は17人です。
町全体で、です。
そう、ここはまさに過疎の町。
きっと日本中に、こんな町がたくさんあるのだと思います。
そんな町にある吉田写真館は、夫のおじいちゃんが初代、父親が二代目と引き継ぎ、夫で三代目になります。
おじいちゃんが作った昔ながらの写真館。
しかし、東京にある写真の専門学校を卒業後、渋谷のスタジオで修行をして後を継ぐべく帰ってきた三代目カメラマントモカズは、危機感を抱きます。
進む過疎化と少子高齢化。
世間で流行りだしているおしゃれなカジュアル系スタジオ。
もうすぐ三十路になるのに独身彼女なしの自分。
少しずつ、確実に老いていく両親。
もういろいろやばい。
このままではやっていけなくなる。
そして一念発起して作ったのが、吉田製作所という新しいスタジオ。
(スタジオなのになぜ製作所なのか、という話はまた今度。)
トモカズ青年が新しいスタジオをつくろうと決意した頃、私はまだ遠くに住む友人だったので、その頃のことはよく知らないのだけど
「そんなところにスタジオ作って誰が来るんだ」
みたいな声も、少なくなかったようです。
それが、約8年前。
今でも言われます。
「郡山にお店出せばいいのに。」
そうなんです。郡山市は人口約33万人。
集客、売り上げの向上。一緒に働いてくれるスタッフ探し。
どれを取っても、都市部に出た方が良いのは明らかです。
でも、それをしなかった。これからも、今のところその予定はない。
それはなぜか。
もちろん、「古殿町が好きだから」というのは前提にあるし、理由はいろいろあるのですが
私にはあるひとつの願いのようなものがあって
こうなったらいいな
と思う未来があって、そのために、この町で写真館を続けています。
長くなってしまいましたし、ここからも長くなるので、
この続きはまた次回。
読んでくださってありがとうございます。
photo by tomokazu yoshida
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