Poem1
肌触りの悪い夜だった
きみの歌は気に入らないし
わたしと世間の温度差と
無視したい不快感がちょうど
寝室の窓の結露として這って垂れた
きみのことすきだけどきみの爪がきらいよ
きみが自身で気にしている歯並びの悪さより癖毛のうねりより
きみが気づかないままわたしの軟さに立てる
その爪の先がきらい
そんなこと起こりそうにもなかったのに
物語として知ってはいたし
あの主人公の熱の引き際を
その笑えるほどの速さを
あのときわたしは分かった気でいたのに
多分、わたし
爪を整えても
流行りの歌をやめて
きみが往年の名曲を歌っても
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