15_育成をサボっちゃいけない
派遣社員から正社員へ雇用転換したメンバーの育成は、気を抜きがちになるのだなと、マネージャーSさんを見て気付きました。
正社員にと望まれるくらいだから、ひとりで2人分くらいの仕事はできる人だし、組織へのカルチャー・フィット感も高いんですよ。
派遣社員で働いていた期間に、その組織固有の事情に対する理解が進んでいるので、仕事を任せるにも安心感があります。
なまじ『良い具合』にできているから、マネージャーも『まぁ、そこまで育成の手をかけなくても大丈夫そうだな。』と思ってしまうんですよ。
そこが落とし穴。
派遣社員として働いたことしかないメンバーは、派遣社員としての働き方は身についていても、正社員としての働き方は『経験していないから分からない』のです。
例えば、ある案件に3人をアサインして、リーダー役として正社員転換したTさんを据えたとします。
Tさんはタスク進捗管理のために、他の2人に対して進捗管理表のステータスを都度更新するよう指示します。そのステータスが正しいかどうか、Tさん自身がチェックをします。
このとき他の2人がステータス更新を忘れていたら、どうするか?Tさんが気付いて、更新を促すメッセージを送ります。
たまに更新漏れがあるくらいなら、Tさんの負荷はさほど増えません。
では、この2人が毎回のように更新を忘れていたら、Tさんはどうするでしょうか?
2人の仕事の進捗を追うために、Slackや作業ファイルを1つひとつ見に行って、実態がどのステータスであるのか逐一チェックすることになります。
この確認作業に、1日のうち2時間も3時間も費やすことになります。
ひとりで2人分の仕事ができてしまう人だから、その延長上で、ひとりで3人分の仕事をしようと頑張るのです。
もしマネージャーが、雇用形態に紐づく働き方の違いを理解して、定期的な1on1で部下の困りごとに耳を傾ける時間を設けているなら、この状況の解決策を教えることができるでしょう。
「1日1回、本人たちにチェックをさせること。自分で仕事の抜け漏れに気付くように仕向けることが根本解決になります。Tさんのチェックは週1回の頻度で構いません。」
正社員であれば、上司や先輩からこうした仕事の進め方を学ぶことができますが、派遣社員はその機会が極めて少ないのです。
育成はサボっちゃいけませんよ。
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