14_マネージャーだから出来ること
『マネジメントなんて、誰がやっても同じやん?』
自分のチームが有機的に動いているのを見て、そう思うことがあります。
『あなたじゃないと困ります。』部下やグループ会社の経営陣からそう言われても、いまいちピンとこなかったりして。
日常の多岐にわたる実務を実行しているのは部下たちであって、私ではない。
そりゃあ、チーム全体のパフォーマンス最大化のために、チャレンジの機会になる新しい仕事を取ってきたり、育成カリキュラムを考えたり、複雑な仕事を実運用できるように業務フローを構築したり、ということはしているけれど、マネジメント職にある人は当たり前にそれくらいするよね?
この前提に立つと、最初の言葉に戻っていくわけです。
ところが先日、私だからできること、マネージャーじゃないと出来ないことがあるのだな、と考えるきっかけになる出来事がありました。
私のチームは、正社員、派遣社員、アルバイトで構成しており、私と各メンバーで定期的な1on1を実施しています。
アルバイトAさんと1on1をした時のことです。
簡易な事務業務を他部署の庶務チームへ移管していく流れのなかで、Aさんが担っていた業務の半分ほどが手離れしました。
手の空いたAさんは忙しいふりをするでもなく、サボるでもなく、他のメンバーそれぞれに対して「1日あたり〇時間くらい手が空くようになったので、お手伝いさせてもらえませんか?」と声をかけたのです。
私は1on1でAさんに、その行動に出た理由を尋ねました。
なぜなら半年前の面接で初めて会った時は、素直な人柄である反面、指示待ちタイプだったので、今回の行動は真逆に思えたからです。
Aさんは、当たり前のように答えました。
『私の空いた時間で皆さんの仕事を引き受けることができれば、皆さんが新しい仕事に挑戦する余力ができると思いました。』
こういう考えに至らない正社員も社内でちらほら見てきたので、正直すごいなと感心しました。
同時に ”環境が人を育てる” という言葉を思い出しました。
指示待ちタイプAさんの行動が変化した一因は、チームの環境(カルチャー)にあります。
私は『カルチャーは個々の従業員の行動に表れる』という考えを持っているため、メンバーの行動を観察する癖があります。
チームのパフォーマンス向上に繋がると判断した行動に対しては、行動の主体がどの雇用形態であろうと関係なく、意識的に皆の見ている場で、理由とともに褒めるようにしています。
チームが機能するために、何が正しく、何が間違っている行動なのかを明示しています。
これを繰り返し続けていくことで、チームのカルチャーがメンバー個々人に刷り込まれます。そしてカルチャーは、自然と個々人の行動を規定するのです。
褒める役は、マネージャーが適しています。
人の感情として、同列の人に褒められるのと、一段高いポジションにいる人に褒められるのでは、やはり受け止め方が違うんです。
マネージャーだからこそ、チームのカルチャーを創っていけるのです。
私は事業をゼロイチで創造することはできませんが、事業の成長を支えるチームを創ることはできます。
あなたじゃないと困ります、そう言われる背景には、こういった理由もあるのかもしれません。
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