新しい家
ある日から住むことになった母と母の彼氏との家。
日当たりが悪くて階段や踊り場も薄暗いアパートだった。
どうやら私たちは、書類上はそこに暮らしているのではなく母の実家に暮らしていることになっているようだった。
だから、友達に住んでいる家のことを話せなかったし、内緒にしなきゃいけないと言われていた。
このアパート自体も苦手だったが、やはり母の彼氏は苦手だっだ、というか嫌いだった。
見た目や職業なんかどうでもいい。
雰囲気や、性格が怖くて偉そうで自分勝手で嫌いだった。
暴力こそなかったが、すぐ不機嫌になったり怒ったり、コミュニケーションに問題がある人だった。
また、母とは毎晩のように大喧嘩をしていて、かなり近所迷惑だったと思う。
仕事が終わって家に帰ると必ずお酒を飲む人で、酔うと余計に怒りやすくなる性格がとても嫌いだった。
怒鳴り声が毎晩のように響き、母も交戦的な性格だったため、火に油を注ぐようなやり取りが繰り返され、私たち子どもは疲弊していた。
掴み合いの喧嘩もあったし、時には包丁を持ち出すような喧嘩もあった。
母が怪我をするんじゃないかという恐怖と、怒鳴り声の恐怖に毎晩怯えて家は安らげる場所ではなかった。
でも、前の家には戻りたくない。
ここにいるしかない。
それが辛かった。