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罪咎

私のいない教室はいつも通りでしたか放課後の喧騒もくだらない会話も 購買のフラペチーノも化学の先生の愚痴もいつもと変わらない平坦な日常でしたか古典の小テストも学校から歩いて15分の海岸もただそこにあるだけでしたか

10分遅れで来る電車も少し青みがかった夕焼けも吊り革が揺れる帰り道も目が痛くて読めない文庫本も家に帰った時の張り裂けそうな胸の痛みも朝が来てしまった絶望感もそしてそのまま続く次の日の学校も今はログアウトしていてもう一回手に入れたいけど明日から手に入れられるけど弱い私にはあと二年なんて無理かもしれない どっちにしろ生きるのは辛くて それでも生きていかなければならないんだろう 私にはもっと勇気があると思っていたもっと簡単に死ねると思っていたドアノブとロープがあればすぐに向こうにいけると思っていたでもそんな勇気なんて私にはなかっただから生きるしかないんだと思う、逃避行とかしたかったけど普通に金欠だし現実がただそこにあるだけで耳を塞いでも目を閉じても眠っても、起きればそこにただ日常があって世界があって私は真っ当に人生を生きていけるわけがない

どうしてみんなは学校に行くのが苦痛じゃないんですか心をすり減らさないんですか勉強をしていて吐きそうになったことはないのですかたった一言のすれ違いで涙を流したことはないんですか辛くて辛くて課題ができなくて先生に謝るのも億劫で四階の誰も使わないお手洗いで2時間自傷を繰り返したことはないのですか

ずっとずっと分かっている全部自分のせいだということ優等生だった私に固執しているということ現実から目を背けてたどり着いた先がこんな文章を書くという気持ちの悪い行為だということ

もうよくわからない私が生きている意味もわからない生きる意味なんて考えても意味なんてないと思うけど考えてしまう私がいなくなっても何も変わらないそんなことはずっと前から知っている、燃え殻さんがエッセイで言っていた、世界は誰がいなくなったって変わらず回り続けるそれは希望でもあり絶望でもあると、確かにその通りだと思うだけど考えてしまうどうしたらいいのだろうかずっとずっと心に矛盾を抱えている人間なんてみんなそうだと思うけど、ずっと暗闇の中で彷徨っているこの瞳で朝の光を受ける時は来るのだろうか前は本気で来なくてもいいと思っていたけど、淡い光がないと生きていくことなんてできない気がする

私には好きな人がいる、好きな人というのはどういう意味なのか自分でもよく分かっていないけどとにかく好きで、その人の感性というか心というか多分全部が好きだったでもこんな感情を抱いたところでどうしたらいいかわからない感情なんかいらない 雨の夜のゴミ捨て場にでも捨て去ってきてしまいたいこんな感情なんか泥に塗れて誰かに踏みつぶされてしまえばいい

明日私が学校に行ったらどんな目で見られるだろうか誰にも気づかれないだろうか先生は他人事のような口調で体調を心配してくれるだろうか小テストを受けなければいけないのだろうか海を見に行くことも許されないのだろうか結局怒られるだけだろうか心をすり減らすだけだろうか全部傷つけられてそれで家に帰ってくるだけだろうか それとも劇的な何かが起きるだろうか大切が私の身に降ってくるだろうか

ずっと何もしていない日々を送っている本当は青いネクタイを締めて少し校則を破ったスカートを揺らして海側の階段を駆け上っていきたい自分が苦しくたって笑顔を振りまいて教室の中にいたい耳栓なんかせずに窓際の席からグラウンドを見渡していたい

だけどだけど私にはもう全てが分からない、この先歩いて行ける気がしない全員殺したいと思ってたけど死ねばいいのはただ自分一人だったそれに気づいてしまった、今でも布団の中でこんな文章を書き綴っているこれも全部罪だと思う、死ねばいいと思うけどどうすることもできないし気持ち悪いし吐きそうだし汚い部屋でただの涙を流すだけの人間に何の価値があるのかわからない、この罪はどうやって償えばいいのかな、今日も何も生み出せなかった気味悪い文章しか書けなかった誰の心も癒せなかった誰にも優しくできなかった

全てが終わっている気がする15年生きただけでも褒めてほしいと思う高校生が辛いのは分かっていた一番辛い時期なのもわかっていただけどもうどうしたらいいかわからない大人になったら大丈夫になるのかもしれないだけど、そこまで生きていける気がしない生きても何もないと思う親の病気も治らなくて毎日何も食べない生活を送っていて人並みの日常を送ることができない いつも気味の悪い言葉を並べているこんな文章誰も読まないのに何のために書いているんだろう何のために公開しているんだろうそんなの考えたくもないな

おとぎ話みたいな何かが起きると心の隅で信じてしまっていたのかもしれない、私はもっと綺麗な文章を書けると思っていた誰かの心を震わせるような物語が生み出せると思っていたそんなのが全て夢想だということも私が一番わかっていた

全部、全部、全部、全部、全部、全部どうしたらいいのかわからなくて、もう死にたくて気持ち悪くて、全てを投げ出したい破壊したい、吐いても吐いても感情の渦はおさまらない全部を殺したい、明日の朝海岸に行くから、そしたら私の骨でも撒いてほしい、ああでもやっぱり違うかもしれない、心のどこかで青い空を眺めたいと思ってしまった誰か傍にいてほしいと思ってしまったひとかけらでもいいから愛が欲しいと思ってしまったさっきまで散々あんなことを言っていたのに我儘でごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい、


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