ほんぽの第4回ちはやふる小倉山杯レポート
みなさん、こんにちは。ちはやふる基金代表のほんぽです。
今年も嵯峨嵐山文華館にて、第四回ちはやふる小倉山杯が開催されました。
会場に足を運んでくださったみなさん、YouTubeで観戦してくださったみなさん、そして何より素晴らしい試合を見せてくださった選手のみなさん、今年も本当にありがとうございました。
あらためてちはやふる小倉山杯は、名人・クイーンを含む、その1年間に特に優秀な成績を残した選りすぐりの選手の皆さんにお集まりいただき、男女混合で勝者を決める、いわばかるたのドリームマッチです。
2020年の第一回を皮切りに、全日本かるた協会、嵯峨嵐山文華館、そして私たちちはやふる基金の三者が中心となって開催しています。
私たちがこの大会の実施を通じ何よりも強く望むことは、かるたの面白さ、美しさを、もっともっとたくさんの人に知ってほしい、一流の選手たちの圧倒的なかるたを見てほしい、ということです。
あいにく第一回から世界的なコロナウィルスの流行に翻弄され、ある年はやむなく無観客開催となったり、また別の年には観客席の席数を絞ったりなど、さまざまな制限の中での実施が続いていました。
そんな中今年はついに、会場いっぱいにかるたファンの皆様をお招きすることができ、まずは何よりもこのことを、本当に嬉しく思っています。
ちはやふる小倉山杯の新しい取り組み
加えて私たちはこのちはやふる小倉山杯を、歴史と伝統を重んじるかるたの世界で、かるたを愛するみんなのための新しいチャレンジができる場所にしたいと考えています。
たとえば本大会は当初から、優勝した選手に100万円、準優勝の選手には50万円をはじめとした賞金を贈呈してきました。
このような賞金システムはこれまでの競技かるたの大会では前例のないことでしたが、「頑張って強くなった選手に少しでも報いたい」という末次由紀の強い意向を関係者のみなさまがご理解くださり、実現に至りました。
今よりもっとたくさんの人に、長くかるたに親しみ、愛し続けてもらうために。
守るべき伝統を守りながらも、新しく挑戦できることはきっとあるはず。私たちはそう考えているんです。
ありがたいことにここ数年はそんな私たちの思いに賛同し、「新しくこういうことをやってみたい!」と現役選手の方からお声を寄せていただく機会も増えました。
今年のちはやふる小倉山杯で新たに取り入れた「パブリックビューイング席」もその一つです。
選手の声から生まれた「パブリックビューイング席」
かるたは静寂を必要とする競技です。
そのため、試合会場では観客のみなさまにもご協力いただく必要があり、残念ながら小さいお子様や、赤ちゃん連れの方には来場いただくことができません。
それでいて、選手の動きは、瞬きをすれば見逃してしまうような、ほんの一瞬です。
「今、何があったの?!」「どうすごいの?!」という観客のみなさんの疑問にお答えしながら、子どもから大人まであらゆる人に「見るかるた」の楽しさを、一流選手たちの凄さを、味わってほしい。
そんな選手の皆さんの願いから、今年新たに設置したパブリックビューイング席。
ここではなんと全日本かるた協会企画部長の北野嘉文さん、元クイーン荒川裕理選手らに司会としてご登場いただき、客席の皆さんとの活発な掛け合いを行いながら、試合を観戦していただきました。
今まさに試合を終えた出場選手のサプライズ登場もあり、解説とはまた一味違う一流選手たちとの交流の機会に、観客のみなさまにも大変ご好評いただきました。
余談ですが、この会場では全日本かるた協会近畿支部の皆さんがサポートしてくださいました。
来場してくださった観客の皆さんにとお茶とお茶菓子のおもてなしをご用意したり、みんなでかるたを盛り上げていこうという共通の思いを感じ、思わず胸が熱くなりました。
かるた界を支えてこられた石沢さん
ちはやふる基金は、設立から4年目を迎えました。
代表として関係者の皆さんとお話させていただくたびに、どの方も心からかるたを愛し、かるたに人生を捧げてこられたのだと実感します。
そんな中に突然、外の世界から飛び込んだ私自身はというと、『ちはやふる』を通じてかるたの世界に魅せられ、「見るかるた」の素晴らしさを知った一人です。
かるたファンの一人として、かるたの素晴らしい世界をもっと多くの方に知ってもらう、そのお手伝いをさせてください、とお伝えしてきました。
皆さん暖かく迎えてくださいましたが、中でも特に私たちを信じ、早くから力を貸してくださったのが、大津あきのた会の石沢直樹さんでした。
さまざまな大会になくてはならない裏方として常に奔走され、ちはやふる小倉山杯にも初回から多大にご尽力くださった石沢さん。
そんな石沢さんが昨年、特に長く力を注いでこられた高校選手権の翌日に、その様子を見届けるかのようにして、ご病気のためご逝去されました。
まだまだ石沢さんに教えていただきたいことがたくさんありました。
これまでのお礼だって十分に伝えられていません。悔しさ、悲しさが込み上げる一方で、かるたに人生を捧げてこられた、これ以上ないほど石沢さんらしい最後に胸を打たれました。
これからも、かるたを愛するみんなのために
石沢さんという強力な仲間を欠いて迎えることとなった今年のちはやふる小倉山杯。たくさんの不安もありましたが、多くの方のお力をお借りしながらなんとか乗り越え、無事に終えることができました。
けれども、ほっとしてばかりいるわけにもいきません。夏には高校生選手権も控えています。
かるたを愛するみんなのために。
選手の皆さん、関係者のみなさん、かるたファンの皆さんとともに、これからも私たちにできることを続けていく。
それが、石沢さんへの唯一の恩返しでもあり、私たちが受け取った使命だと思っています。
石沢さん、どうか見守っていてください。
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最後に、ちはやふる小倉山杯の素晴らしい試合の模様を惜しくも見逃してしまったという方は、YouTubeに動画がアーカイブされていますのでぜひそちらからご覧ください。
また、ちはやふる基金はみなさまからの寄付で運営されています。私たちの思いに共感していただきましたら、競技かるたの未来のために、ぜひご寄付をお願いいたします。
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