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【新連載記念】末次由紀スペシャルインタビュー(後編)|初心者に優しい世界へ
こんにちは。
ちはやふる基金スタッフです。
今回は末次由紀スペシャルインタビューの後編をお届けします。
競技かるた界についてや基金の発起人としての想いを聞きました。
それではどうぞ!
※前編をまだお読みでない方は、下記よりお読みいただけます。
末次由紀スペシャルインタビュー|後編
初心者に優しい世界
—続編でライトが当たる「教える」側面ですが、現実の競技かるた界でも課題になっていますね。
末次:今、かるたを教えることが難しくて、初心者に対する受け皿が足りないというのをいろんなところで聞くんです。
先日、とある先生の小学生向け体験教室へ取材に行きました。
10〜15人くらいの小学生が参加している中で、先生がどんなふうに教えているのか見させていただきました。
そこの先生は日本一子どもにかるたを教えるのが上手で、その場をあたたかくするのがうまいと言われる方でした。
1時間半ほど見学させていただいて、ああなるほど、先生が日本に100人いたら、かるたやってみたい子たちが1万人増えて、幸せな経験をもらえるだろうなと感じました。
でも、その先生は100人いないから、その一部でも私が伝えらたらどんなにいいだろう、と図々しくも思いました。
その思いが私に漫画を描く力をくれています。
『ちはやふる』だと千早や新のレベルがすごすぎて、最終的には小学生にはちょっと遠すぎる展開になりました。
小さい子は畳に座ってるのも難しいこと、年上の子に負けたら泣き出すくらい悔しいこと、そういうところを丁寧に描いてあげたいです。
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最初に出会う親切が大事
—スモールステップ、ちょうどいい段差で積み重ねていくことは大事ですよね。
末次:やっぱり楽しくないと!というのを強く思いました。
あの頃楽しかったな、という思いや、始めた頃丁寧に教えてもらって先生によくきたねって言ってもらったことが嬉しかったな、とか。
「かるた楽しいな」というのの手前で、誰とどこでやるのが楽しいのか、というのが絶対に大事だと思うんです。
「かるたが好きだな」ってところに戻って行けるような、あたたかい思い出みたいなのを小さい頃に作ってもらうことって、すごく意味があると思っています。
大学生から競技かるたを始める人もとても多いので、大学スタートにも入りやすい「場」があるというのは現場の皆さんの頑張りのおかげです。
どの時代でも仲間が作れるという豊かさを、その片鱗でも描いていきたいです。
—強くなることだけがやってる意味になってしまうと、負けたら続かないですもんね。
末次:やっぱり自分がいていい場所があるというのはすごく大事なことですよね。
部活動が居場所になって、言いたいこと言える友達ができて、お前馬鹿だなあとか悪口言い合える場があって・・・そんな部員の一瞬一瞬を百人一首が見ている、そんな空気を描けたらと思ってます。
他のこともできたんだけど、かるたがその時自分に出会ってくれた。
千早は自分の意思と熱意で進んでいきましたが、続編の主人公・凛月はもっと宿命というか運命というか、大きな流れのなかにいる気がします。
運命と考えると重いですが、シンプルにかるたを好きになって、そこに好きな友達がいたらもう没頭してみたらいいんじゃないって思いますね。
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親切の一歩を軽率に
—読者の中には実際に競技をされている方も多くいらっしゃいます。続編で伝えたいことはありますか?
末次:自分の身の回りから、自分のかるた会から、自分が強くなることから一歩進んで、若い子や自分より年下の子に「最近どう?」「どこに悩んでるの?」「練習付き合おうか?」「大会一緒に行こうか?」といったプラスアルファの動きがちょっとでもできるといいなあと思います。
他人に聞かれて初めて「本当はここで悩んでたの」って言えることもあります。
「なにか手伝うよ」と言ってもらえてやっと「これ困ってたの」と言えるということもあります。
もうすでにやっていらっしゃるとは思うんですけれど、みなさんがちょっとだけ周りのこと、自分以外の人のことに働きかけられるパワーが生まれると、助かる人は劇的に増えると思うのです。
そういう行動を軽率にぽろっとしちゃうようなきっかけに、一度でもなれたら幸せです。
でもすでにみんな頑張ってる、頑張りすぎている人もいっぱいだと思います。努力してる人はそれだけで尊いので、私は描いて応援したいです。
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頑張る栄養を与えられる基金
—続編に続き、基金も節目を迎えるわけですが、基金の発起人としての想いを聞かせてください。
末次:頑張りきれない人を支えたいという思いがちはやふる基金にはあります。
自分も限界までやっているし、これ以上助けてって周りの人にも言えないよという人が、助けてって言えるところにしたい。
競技かるたのなかでやりたいことを抱えている人の後押しができるようにといつも思っています。大会支援や運営・広報のお手伝い、競技かるたに関する表現活動の窓口になるなど、みなさんのおかげで基金が存在する意味も広がり定着してきました。
これからも競技かるたを頑張る栄養を出せる基金でありたいです。
—5年目、パワーアップしたいところはありますか?
末次:このnoteを始めているのもそうなんですけれど、基金がやっていること、ビジョンを丁寧に頻度高く伝えていけるといいなと思います。
取り組みをアピールすることが、基金として応援してもらうことにもつながると感じています。
—私もスタッフとして頑張ります…!
末次:お願いします。私は漫画しか描けないので・・・。
—最後に、ここまで読んでくださった読者の方にメッセージをお願いします。
末次:漫画は漫画で単純に楽しんでほしいというのが第一にあって、読んでもらえるだけで満点の幸せです。
その漫画の楽しさを受け取ってくださったら、いろんな競技かるたのYouTubeを見てほしいですし、お時間のある時に本当の競技かるたを見にきてほしいです。
だって本物は漫画よりすごい迫力なんですから。
そして競技かるたを軽率に始めてほしいとも思います。
みなさんの「競技かるたの世界もっと知りたいな」という思いや、私が見ているかるたの現場で頑張ってる人たちの優しさや素晴らしさを漫画にいっぱい込めたいと思っているので、これからも読んでもらえると嬉しいです。
そしてちはやふる基金の活動noteもよろしくお願いします。
—先生、ありがとうございました!
いかがでしたか?
続編とともに、私たち「ちはやふる基金」も、気持ち新たに走り出そうと思います。
今後とも活動をご支援・応援いただき、競技かるたを愛する方にお力添えいただけますと幸いです。
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