見出し画像

ちはやふる小倉山杯出場選手インタビュー 粂原圭太郎選手

競技かるた会のトップ選手が集う ちはやふる小倉山杯
出場選手のこと、もっと知りたい!ということでお話しを伺いました。
今回ご紹介するのは、粂原圭太郎準名人です。

粂原圭太郎選手紹介

段位:八段
所属会:京都小倉かるた会
名人戦では奪還を目指し、川瀬名人を追い詰めるも最後の1枚が出ず、惜敗。常識にとらわれず、相手の戦い方を分析して、試合中に様々な作戦を立てる彼のかるたはまだまだ進化中である。これまでちはやふる小倉山杯では2度の決勝進出があるものの、どちらも山下八段に敗れている。第1回から出場している経験を存分に活かし、今年こそは優勝したい。

所属かるた会について教えてください。会でどのように練習していますか?練習相手についても可能なら聞かせてください。

「京都大学かるた会」から「京都小倉かるた会」に去年の6月に移籍をして、そこで練習しています。ただ、これまでも京都小倉かるた会の荒川さん(荒川裕理・あらかわゆうりさん 八段 京都小倉かるた会)、山添クイーンとは練習させていただくことが非常に多かったので、練習環境が大きく変わってはいないですね。いまは小倉会の皆さんと、あとは、京大の後輩が自宅に来て練習をするという形です。
京都小倉かるた会は初心者から上級者まで幅広い選手の方がいます。強い選手ばかりでもないですし、上級者が初心者に指導に当たっています。僕はまだ全然力になれていないんですけれども。

かるたの師匠と呼べる人はいますか?エピソード等あれば。

師匠は二人います。
お一人目は地元群馬県の前橋かるた会の猪熊静枝会長(いのくましずえさん 六段)です。猪熊先生は大人になってから、かるたを真剣に始められた方で。今よりもA級になるのが格段に難しい時代に、各地の大会、それこそ九州だったりとか西の方の大会にも行き、大学生の練習会なども精力的に参加してA級になったという。すごく尊敬しています。先生がいなかったら多分かるたを始めてすらいないですし、続けているかというとかなり怪しいですね。
先生が熱心にお誘いくださったので、続けることができた。僕がB級で苦しんでいた、なかなかA級に上がれないっていう時期に先生がお手紙くださったりとか、そのおかげで頑張ることができて、なんとかA級になったんです。
その後は大学に入ってから、1個上に山添さんが、そこは師匠というよりはライバルという形で一緒に練習して、大会に各地に行って、強くなりましたけれども、山添さんが大学卒業されてなんとなく停滞していたんです。そこで出会ったのが荒川元クイーンです。荒川さんが一緒に練習しませんかと声かけてくださって、そこからたくさん、本当にいろんなことをご指導いただいて。名人になることができたっていうのは、本当に荒川さんのご指導のおかげなので、もう1人は荒川さんですね。
タイトル戦の心構えから、気持ちの持っていき方。タイトル戦当日の戦い方だったりだとか、間の取り方。空札が出た時の動き方だったりとか、たくさんのことを学ばせていただきましたし、今でも学ばせていただいてますね。

これからかるたをやってみたい人や初心者に声をかけるとしたら?

やれば楽しいのでやってほしいですね。かるたにしかない魅力っていうのが確実にあって、そこに魅了されています。ただ、もしかしたら最初、全然とれなかったりすると楽しくないかもしれないんですけど。ちゃんとした指導とか受けられないとかノウハウがないということもあるかもしれないけど、いまはいろんな方がかるたの強くなる方法を情報発信されていますし、Twitterとかでも、質問したらアドバイスをもらえたりするので、そういうのをきっかけにしてみても良いかもしれないですね。
あとは、続けていると飽きがくる時期もあると思うんですが、かるたで出会った方とコミュニケーションとったり、ご飯を食べに行くとか、そういうこともかるたの楽しみ。
強くなきゃとか、こうでなくちゃとかはあんまり思わなくていいんじゃないかなと。辛くなっちゃう時もあると思うので。もう別に楽しくなかったら、別に他の楽しいことやればいいですし、またそしたらやりたくなるかもしれないので、それこそ50歳なってまたやりたいって思ったらやればいいですし。
かるたはいろんな接し方をする方がいて、和歌としての百人一首に興味をもっている方もいますし。百人いたら百通りのかるたとの繋がり方とか楽しみ方があるので、それは絶対に人生を豊かにしてくれると思うので、かるたの楽しみを見出してほしいなと思います。


和装での戦い方で工夫していることはありますか。

それがないんですよね。ちょっと短めに切るぐらいですね。去年までは短めにすら切ってなかったので。
僕は和装で練習しないんです。みなさん和装で練習すると思うんですけど着物上手にたためないので。たためないし、練習の度ぐちゃぐちゃになってクリーニングに出すのも大変なので。和装で戦うのはタイトル戦の時くらいです。
和装は気持ちが引き締まると言いますか。練習は本番のように、本番は練習のようにっていう言葉があって、いい言葉だなとは思うんですけど、僕はそうじゃないんですよ。本番は本番なんですよね。テンション上げていきたいんです。いつも通りやったら全然弱いので、本番は本番としてやるというつもりです。


名人戦を振り返ってみて今のお気持ちを聞かせてください。

正直、負けた瞬間は引退の文字がちらつきました。
試合後、自分のやるべきことは名人をとることではないのかもしれない。仕事や生活や、かるたに関わることでも教えるとか、ほかのところに力を注ぐべきところがあるのかもとも考えました。しかも、去年、今年と、運命戦で4回連続出なかったんですね。
ただ、翌日の高松宮杯で京都大学かるた会の後輩の田渕陽太君という子がいるんですが、その子が頑張っていて、A級で優勝したんですよ。しかも運命戦で、勝ったんです。それを聞いて、ああ、やっぱりかるた続けようと思いました。
それに、年末くらいから、もう一歩先があるのが見えかけているんですね。もっと強くなれるんじゃないかと感じていて。なので頑張りたいなと。

お話を伺って

インタビューではまず名人戦後のお気持ちを伺いました。第一声の引退がちらついたという言葉で真っ青になって、でも、まだまだ続けていただけると聞いて心からほっとしました。
名人戦後の講評で西郷永世名人が、粂原さんは次に何をやってくれるんだろうと、見ている人を楽しませる、かるた界になくてはならない人だと思うと仰っていたのですが、私も心からそう思っています。
ちはやふる小倉山杯で試合を拝見するのが本当に楽しみです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?