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ちはやふる小倉山杯出場選手インタビュー 山下恵令選手

競技かるた会のトップ選手が集う ちはやふる小倉山杯
出場選手のこと、もっと知りたい!ということでお話しを伺いました。
今回ご紹介するのは、東京明静会の会長でもある山下恵令選手です。

山下恵令選手紹介

段位:八段
所属会:東京明静会
前回大会は山添クイーンに敗れ、3連覇ならずも、全日本選手権では6度目の優勝を飾り、再びこの場へ戻ってきた。ちはやふる小倉山杯では第1回大会、第2回大会ともにどの試合も危なげなく勝利し、連覇達成。ゆったりとした構えから繰り出される右手は、見るものを引き付ける。今大会も圧巻のパフォーマンスで前人未到の3度目の優勝なるか。

所属かるた会について教えてください。会でどのように練習していますか?練習相手についても可能なら聞かせてください。

所属は東京明静会です。会長なので、普段は自分の練習は会ではそんなにしていなくて、主に指導をしています。ただ大会前は会に選手を呼んで練習することも。自分が練習する姿を若い子たちにも見せたいので。

(会でどんな指導をしていますか?)
まずは、こう、口で教えるよりも、やらせてあげたほうが楽しいかなと思います。あと、全員に同じ指導をするわけではなくて、その子にあった楽しいって思えることを。
まずはもう、かるたって苦しいなとか思っちゃったら続かないので。ペースとか個人差があるので、その子が楽しんでできるようにっていう言葉を選んでかけてはいますね。またここに行きたいって思えるような環境づくりは心がけています。まずは楽しいって思えるようにというのは1番大事にしてます。

自分の練習に来ていただくのは年上の方が多くて、現役は離れて大会には出てらっしゃらないんですけれども、ご活躍されていた先輩方に知恵を分けていただくという感じです。かけてくださる言葉とかが、さっき私の言った子供たちの指導じゃないですけど、 私に今必要な言葉をかけてくださるので、メンタル的に安定させていただいたり、技術もそうですけど、あの、本当に知恵を分けていただいて、それを自分の成長に繋げているなっていう風に感じますね。スピード感とかは現役の選手とは違うんですけど、学びが多いです。

かるたの師匠と呼べる人はいますか?エピソード等あれば。

まずは父から、競技かるたのいろはを教えてもらいました。それから田口忠夫元名人です。

ちょっと今は師匠と呼べる師匠はいないんですけれども、西郷永世名人は、よくお相手していただいて、同じ師匠から学んだ先輩と研鑽を積ませていただいているという感じです。いい先輩ですね。

弱さとの向き合い方について

なんか私、取ってる姿とかみるとすごい心も強そうって言われるんですけど、全然そんなことなくて。自分の中で頑張って、ようやくあの畳の上に、こう、座ってられるっていう感じなんです。
試合が始まっちゃえば、試合の中に入り込んでるので、あまり弱ってる暇がないんですけど。

(どうやって切り替えていますか?)
目を閉じて、好きなもの、猫とか、今ちいかわちゃんが好きだから、ちいかわ思い浮かべたりすると、割と前向きになったりとか。あと、なんかいつも緊張していた大会の後とかに、結構綺麗な景色とかを見たりすると、悩みすぎてたな、もう少し大きく構えたらよかったのにとか、いつでもいつも思うんで。そういう、なんかこう自分が切り替わるきっかけみたいなものがね、自分の中で持ってると、多分ね、その試合の前とかに、気持ちが整うんだなっていうのは思いました。

これからかるたをやってみたい人や初心者に声をかけるとしたら?

そうですね。人とね、比べないのがいいと思いますね。あのこがやっぱ強いからとか。かるたに限らずね。どんな時間にも、どんな人生にも、あの、やっぱり比べたくなるような人っていると思うんです。そうなってくるとね、ちょっとなんか、違うところで、かるたじゃなくて、別の心の競争みたいになってしまうので。やっぱり人と比べず、マイペースは大事だと思います。

(負けが続いている子がいたらなんと声を掛けますか?)
たまたまちょっと負けちゃっただけで、次は勝てるとか、なんか割とそういう風に。ちょっと負けちゃったの、たまたまな気がするって。 きっと頑張ればまたね、勝てると思うって。
これ、自分に結構言い聞かせてる時期もあったし、実際そう思ってます。勝負事なので、時の運っていうのも結構あるので。負けちゃったのたまたまだから、また頑張ろうっていう。結局かるた好きで、負けた時、やっぱ当然落ち込むことも大きなタイトルだとあるんですけど、また、どうせタイトル取るために頑張んなきゃいけないから。そのためには、1秒でも早く元気になることがタイトル奪取に繋がるんで。早く元気になる。そういう日もあるよって、モチベーションを上げるのが大事なんじゃないですかね。

あと、人から言われた言葉とか、やっぱりどうしても気にしちゃう子もいるので、あんまり周りの方がね、余計なことを言わないのも大事だし、言われたとしても気にしないのも大事。

和装での戦い方で工夫していることはありますか。

私わりと競技かるた用に着物を改造するのが大好きで。今日もちくちく縫ってたんです。あ、でも大きいあの着物のベースっていうのはまあ一緒で。丈は短く切ってっていう感じなんですけど。帯とかは自分でちょっと作ってみたりとか。肌襦袢とかもこだわって。正式ではないものですけど、着物着てる風みたいな感じで。
どうしてもかるたって動くじゃないですか。お着物は運動する前提で作られていない。どうしても着崩れが起きてしまったりとか。あの帯をぐるぐる巻いていると、相手の下段とかはなかなか踏み込んで取れないので、その工夫はしていますね。
私はわりとお着物だと姿勢は整うんで、パフォーマンスは良くなるんです。なんか稀なケースらしいんですけど。師匠の田口さんからも、着物の方がパフォーマンスいいなっていう風には言われましたね。着物可愛いですから。

お話を伺って

これまでの選手インタビューを読んでいただいた方はお気づきかと思いますが、ちょっと質問の内容が変則的です。
他の選手のみなさんともいろいろお話ししていて、長くなりすぎるので結構削っているんですけど、ここにある山下選手のお話しはどうしても削れなくて。
インタビューさせていただくまで、私も山下選手はすごく強い方だって思っていたんです。でもお話しを伺っていたらとっても繊細でかわいいものがお好きで、優しくて優しくて…、一周回ってやっぱりとっても強い方だ!って。その考え方や向き合う姿勢になんだかとっても励まされました。

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