見出し画像

「牛乳石鹸」がかるたを志す高校生を支援する理由 | 協賛企業インタビュー

みなさまこんばんは。
小倉百人一首競技かるた 第45回全国高等学校選手権大会の開催まで、いよいよ一週間を切り、参加選手も、保護者も、運営スタッフも日に日にドキドキが増しているかと思います。

今日は、本大会のオフィシャルパートナーとして頑張る高校生を応援してくれている牛乳石鹸共進社さまの声をご紹介いたします。

信頼を守りながら新しさに挑み続ける
「牛乳石鹸」が、かるたを志す高校生を支援する理由

「カウブランド赤箱」などのロングセラー商品を持つ牛乳石鹸共進社(以下 牛乳石鹸)は、今月21〜23日にかけて滋賀県で開催される、全国高等学校かるた選手権大会のオフィシャルパートナーです。

今回私たち、ちはやふる基金は、大阪市鶴見区にある牛乳石鹸安田工場にて、創業114周年を迎えた牛乳石鹸がなぜ今、かるたを志す若者をサポートするのか、その背景にある想いを伺ってきました。

「ずっと変わらぬ やさしさを。」活動支援で人に寄り添う牛乳石鹸

新大阪駅から電車で約50分。大阪市鶴見区にある牛乳石鹸安田工場では、人気商品「カウブランド 赤箱」をはじめとした牛乳石鹸の固形石鹸が、なんと1日約50万個、年間にして約1億2千万個も製造されています。

牛乳石鹸安田工場

敷地内の一角にある歴史資料館で、私たちを快く出迎えてくださったのは、牛乳石鹸コーポレートコミュニケーション室蜷川真吾さんと、田原有紀さんです。

コーポレートコミュニケーション室・蜷川真吾さん

―今日はよろしくお願いします。早速ですが今回、どういった背景で競技かるた高校選手権に協賛してくださったのでしょうか?

蜷川:牛乳石鹸では「ずっと変わらぬ やさしさを。」をコーポレートメッセージに掲げています。良き企業市民でありたいと考え、人にやさしく、社会にやさしく、環境にやさしくを軸に活動に取り組んでいます。この理念のもと、今回、高校選手権に協賛することになりました。

実は私たちはこれまでにも、単にお客様に良質な製品をお届けするだけには留まらない、さまざまな分野での活動支援を行なってきました。
COW SPORTSと名付けたプロジェクトでは、スポーツクライミングやスノーボード、卓球などの大会や選手を公式にサポートしています。また私たちの製品とも深い繋がりのある、町の銭湯文化を応援する取り組みにも長く力を入れてきました。

田原:特に今回のように、高校生へ向けた活動支援は、私たちにとっても嬉しい機会なんです。一定の年齢以上の方には“牛乳石鹸 良い石鹸”という、あの「牛乳石鹸のうた」で、私たちを知っていただいていますが、今後も長くこの企業ブランドが続いていくためには、より若い世代の方々にも知っていただく必要があります。だからといって、広告を打つだけでは一方通行で終わってしまいます。若いみなさんの熱心な活動を支援することによって、次の世代の方々とのより強力な接点が生まれると思うんです。

コーポレートコミュニケーション室・田原有紀さん

「赤箱」再生プロジェクトで出した結論と、いただいた口コミ

―とはいえ「赤箱」は既に、洗顔料としても、箱のデザインが可愛いことでも、若者に十分人気のあるイメージがあります。

蜷川:ありがたいことに、最近はそう仰っていただくことが増えましたね。

田原:でも少し前まではそうじゃなかったんですよ。実はある時期まで、青箱の方が圧倒的に売れていたんです。社内ではコーポレートカラーを赤から青に変えるべきじゃないか、といった話が冗談混じりに交わされるほどでした。
さらに調べてみると、赤箱のメインユーザーの大半が60代以上の方々だということがわかって。このままでは赤箱が危ない、ということになり、2011年に社内で「赤箱再生プロジェクト」を立ち上げました。ここでは製品そのものをリニューアルするべきか、という案も出たていたのですが……。

田原:やはり製品そのものを変えてしまうと、これまで赤箱を好んで使い続けてくださった方への裏切りになると考えました。
だから、それはしないでおこう、と。
その代わり、パッケージの見せ方を少しずつ変えたり、製品を若い人に知っていただく施策を増やしたりすることで、徐々に状況が変わってきました。そんな中、2015年には、化粧品口コミサイトの洗顔料部門で、赤箱が年間ベストコスメとして選出され、身体を洗うだけでなく、スキンケアの入口である洗顔の機能を認めていただけて・・・新しいコミュニケーションと新しいユーザー様との出会いのきっかけをいただきました。

歴史資料館には歴代のカウブランド赤箱のパッケージが勢揃い

「不易流行」変えるべきもの、変えるべきでないもの

―赤箱にそんな経緯があったんですね! 伝統あるブランドを末長く存続させるためにどうするべきかというのは、実は私たちにとっても重要なテーマなんです。
ご存じのとおり、競技かるたもまた長い歴史を持つ伝統文化の一つですが、漫画『ちはやふる』(末次由紀著/講談社刊)の刊行以降は競技人口が急増したこともあり、かるた界をとりまく環境は大きく変化しています。そんな中で、これまでの選手・ファンの皆さんと、これからの選手・ファンの皆さんを、ともに大切にしていけるような環境作りのサポートが、私たちの最大の課題なんです。

蜷川:通じるところがありますね。時代も変わっていく中で、何を変えるべきか、変えないべきかを考えるとき、私たちが最終的に重視するのは、やっぱり牛乳石鹸“らしさ”だと思います。

蜷川:弊社社長は「不易流行」という言葉をよく使います。変わらないことが格好悪いわけでもない、新しいものだけが良いわけでもない。ブランドを次の世代に繋いでいくためにこそ、変えてはいけない本質、“牛乳石鹸らしさ”はしっかりと守りながら、取り入れるべき新しいものをきちんと取り入れていく、それが私たちの考え方なのです。

歴史資料館の中には牛乳石鹸と深い繋がりのある銭湯の番台を模したスペースも。左から、蜷川さん、ちはやふる基金代表理事・本保、田原さん。

―牛乳石鹸さんは今回の高校生選手権だけでなく、名人・クイーン戦にも協賛していただくなど、かるた界全体を応援してくださっていますね。こういった取り組みについて、社内ではどんな反応がありましたか?

蜷川:当初から「また面白い話を持ってきたな!」と(笑)。評判でした。従業員の中にも一人、特技が百人一首の人がいたんですよ。

ー蜷川さん、田原さんは、かるたを体験されたことは?

蜷川:残念ながらまだありません(笑)。実は私自身は、協賛のご縁をきっかけに初めて競技かるたの試合を観たんですが、「かるた」に「競技」がつくだけでこんなことになるのかと驚きました。まさに心・技・体、全てが必要なのだ、と。

田原:本当にストイックな競技ですよね。観戦するだけでも十分面白い。

蜷川:そういえば今年、名人・クイーン戦のYouTubeでのライブ配信を見ていたんですが、コメント欄にかるたファンの方から「協賛ありがとうございます!」とか「製品買います!」と、熱いコメントをいただいて。嬉しかったですね。あんなにダイレクトに伝えていただくことはなかなかないですから。

田原:配信されたり、記事になったりすると、やっぱり私たちも嬉しいですね。応援が形になって見えることで、従業員も自分の会社に誇りを持てるようになるので。本社の入り口には弊社で協賛している団体のポスターや記事を掲示していることもあるのです。

ーおそらくそれは選手たちも同じだと思います。ファンの皆さんが熱心に見てくださることや、牛乳石鹸さんのような老舗企業が協賛してくださることで、自分の打ち込んでいることにもっと自信が持てるのではないでしょうか。

田原:かるたは日本だけでなく、海外の人に向けても誇りを持って紹介できる文化ですから、これからももっともっと発展してほしいなと思います。高校選手権も、楽しみにしています。

研究所の寺崎さんから石けんができるまでのレクチャーを受けている様子

おわりに

この日私たちは、取材に先立って安田工場の中を案内していただきました。牛脂やヤシ油など、天然の保湿成分が含まれる原料が巨大な釜の中で釜炊きされ、ゆっくりと熟成されたのち、型打ち、梱包されます。一つの石けんが完成するまでにかかる時間は、なんと約1週間とのこと。

およそ100年以上前から続く手間のかかる「釜だき製法(けん化塩析法)を大切に守り続けながら、若い世代に寄り添う活動支援で、老舗の企業ブランドを次の世代へと繋いでいく。牛乳石鹸さんの姿勢からは、私たちがかるたの未来のためにできること、やるべきことの、大きなヒントをいただいたような気がしました。

小倉百人一首競技かるた 第45回全国高等学校選手権大会 概要

【日程】
2023年7月21日(金) 開会式 16:40〜/団体戦組合せ抽選会
2023年7月22日(土) 団体戦 9:00〜 決勝 18:10~(予定)
2023年7月23日(日) 個人戦 9:00〜
※競技が終了次第表彰式を行います。競技の進行によりスケジュールは前後します。
【会場】
近江勧学館(大津市神宮町1-1 近江神宮内)
びわこ大津館(大津市柳ケ崎5-35)/大津市民会館(大津市御陵町2⁻3) 他大津市内11会場
団体戦の準決勝・決勝の模様を全日本かるた協会のYouTubeチャンネルで配信予定です。

全日本かるた協会のHPにて、牛乳石鹸共進社様はじめオフィシャルパートナー様から寄せられたコメントをご紹介しています。そちらもぜひご覧ください。


いいなと思ったら応援しよう!