【特別企画】選手インタビュー 山添百合編|第5回ちはやふる小倉山杯
はじめに
こんにちは。
ちはやふる基金スタッフです。
「第5回ちはやふる小倉山杯」も迫ってきましたね。
より大会を盛り上げるため、基金noteでは特別企画として出場選手インタビューを実施。
全8回に渡ってお届けします。
トップバッター山添元クイーン!
学校の先生でもあり、競技かるた部の顧問もされています。
先日の京都大会では引率のかたわら、審判長も務められたのだとか。
「お手本のようなかるた」で真面目なイメージがありますが、実は意外な一面が…?!
他にも気になる情報がたっぷり。ぜひ最後までお読みください。
❶山添元クイーンにとっての「ちはやふる小倉山杯」
いいかるたで過ごせたら
—これまでも小倉山杯に出ていて、優勝もされている山添さん。普段のタイトル戦とは違いますか?
そうですね、小倉山杯は見られるのが大前提の大会。クイーン戦ももちろん見られてるんですけど、「タイトル(クイーン位)を取りに行く」みたいな感じ。
小倉山杯は(タイトルを)取りに行くというよりは「1試合1試合、とにかく "いいかるた" で過ごせたら」みたいな。
—素敵です!過去の出場を振り返ってみて、小倉山杯だからこそ意識されたことはありますか?
1回目はほんとに初めてだったので、「とにかく取る」みたいな感じだったんですけど、2回目で三笘さんに1回戦で負けちゃったんです。
その時にダブとかセミダブとか、お手をいっぱいしちゃって。
見てる人にとっては、ようわからないまま私の札が増えて…という感じになっちゃって、ただ負けたというよりは、要らんことして負けてしまったなと反省。
3回目は、そういう「 "慌てる" というのは要らないはず」と落ち着いて、取られたとしても「焦らない」「バタバタしない」と思っていました。
そしたら第3回はそれがすごいよくできて、お手つきもトータルで1回くらいしかしなくて、結果も良かった。
去年はちょっと疲れていて。
クイーン戦で疲れたまま小倉山杯に来て、(小倉山杯1週間前には)各会対抗団体戦※もあったので…。
言い訳なんですけどね(笑)
—この時期は大会が目白押しですものね。そんな中、小倉山杯にも出ていただき感謝です。
❷今の練習環境・練習相手は?
やはり、あの方。そして…
—今、誰と練習することが多いですか?
一番多いのはたぶん粂原くん。
粂原くんは小倉会の練習というよりは、平日に部活をしている時に来てもらって、部員は横に練習してもらいながら、私と粂原くんで取ることが多いです。
—贅沢な時間ですね。部員にとってもいい刺激になりますね。
そうですね。粂原くんはすごい人気で、「あ!粂原さんこんにちは!」と、部員みんなが言っています。
あとは現役の京大生で、田渕陽太くんという子がいて。
すごい熱心な子でわざわざ「練習お願いします」と言って練習に来てくれるので、粂原くんの次に練習してるのは田渕くんかな。
—よく大会の結果速報でお名前を拝見します。お二人にとっても、いい練習ですよね。
よく負けるので、私の方が相手になってるのかな…みたいな(笑)
—そうなんですか?
はい、結構負けます。強い、いいかるたです。
❸ポジティブスイッチは?
意外とネガティブ?!
—ポジティブにとか、前向きに、とか、気持ちを切り替えるルーティンはありますか?
私、試合に出るまではあんまりポジティブじゃなくて、大体ちょっとネガティブで。
心配してたりとかが多いんです。
でも、試合が始まったら、どれだけお手つきしても、出札がやけに自陣ばかり出ても、あんまりネガティブにならなくって。
「今はちょっと悪いけど、今悪い分、もうちょっと頑張ったら最後よくなるかもしれない」。そういうふうに試合中は思ってる。
試合中はずっとポジティブです。
一般の大会でも、「1回戦は誰と当たるやろ」みたいな。
A級も選手が増えたので、初めてやる人と当たることがあるんですけど、どういう選手かわからないから、どんな取り方かもわからないし、すごい早いかもしれないし…とか思ってしまって。
—それは座るまでですか?
座って暗記して、1枚目、自分が何か取るか取られるかするまではずっと緊張してます。
勝ったことがある人でも、次は相手の方がリベンジの気持ちがあって、前より強いかもしれないと思うし、(自分が)負けた人だと、この人強かったしな…みたいな。
基本、誰とやる時も自分が何か取るまではずっと心配してます。
—意外です!試合が動き出したら前向きになれますか?
そうですね。何か1枚取って、そこからは心配な気持ちは全部なくなって、試合に集中して入っていく感じかなあと思います。
—昔からですか?
多分そうですね。ずっと。
—これまでの積み重ねや経験もありますよね。
それはあると思います。すごい大逆転して勝ったこととかも何回かはあって。
そういう記憶があるから、今はちょっと厳しくても「ここから勝ったこともあるから、まだいける」「相手が失敗する、ミスするかも」。
そう思えたりはします。
—ちなみに、かるた以外のところではどうですか?
仕事で嫌なことあったら、仲良い人に喋ったりして、楽しい気持ちにしてもらっています。私、よく笑うゲラなので。
「勝つなら今日!」
—教え子さんや生徒に声をかけるとしたら、どんな声かけをしますか?
結構聞かれます。「ここ最近1回戦で絶対負けてしまいます」と言われたことがありますね。
でも、練習してたらそんなに悪いかるたじゃないので、自分で「1回戦が勝てない」って思い込んで力が入っているというか、必要以上にプレッシャーを感じすぎてるような気がして。
それは、1回突破するしかないかなと思います。
ボロ負けしちゃうような試合だったら別なんですけど、競ってるとかちょっと負けているくらいだったら、「今日はここ着いていって、ミスせずに最後…」みたいに、「今日はこの試合はまだ頑張れる」と思って、「1回突破できたらあとはどんどんいけると思うで!」と伝えます。
私もA級になってから入賞は全然最初できなくて。
中学2年でA級に上がったので、周りは大人も多くて全然入賞しなくて。
入賞戦に行っても運命戦で負けるとか。
高校生になってから「今日はこの感じで進めていったら頑張れそうだから、今日は焦ったりせずに!」みたいに思ったら初めて入賞して…という記憶があったり。
と思ったら、今度は入賞戦で三好さんにばっかりに当たって。
どうしても勝てない人に当たった時に、絶対負けてしまうことが続いた時もあったんですけど、「今日だけはまだそんなに差が開いてないから頑張ろう」と思ってたら、三好さんが最後にお手つきしはって。
なんかもう「勝つなら今日!」みたいに思って初めて勝って。
(勝てずに悩んでいる子には)「勝つなら今日!」と試合中に思って、そこから気持ちを強く持ってほしいな、と言いたいです。
あとはタイミング。1回勝ったらポンポンって堰を切ったように勝っていったりとかもあります。
—指導をしてる人が逆になんて声かけしてあげたらいいかわからないんだっていう悩みみたいなのも聞くので参考になります。ありがとうございます。
実は〇〇が大好き!
—気分転換には何をしますか?趣味とかありますか?
YouTubeで芸人も見ますし、かるたも何もやらない時は家に引きこもって漫画とかずっと読んでいます。
—ベスト3漫画をあげるとしたら?
完結してるんですけど、ハガレン…『鋼の錬金術師』がめっちゃ好きです(笑)
—いいですよね。私も大好きです!
あとは、『よつばと!』という日常系のゆるい漫画も好きです。
今やと『ゴールデンカムイ』も好きです。
—映画は行きましたか?
初日に行きました。
—すごい!イメージとギャップがありますね。
ベスト3に入れたいくらいなんですけど、少女漫画だと『暁のヨナ』を読んでいます。
—おすすめ漫画の話、基金スタッフは漫画大好きな人ばかりなので、また聞かせてください!
❹小倉山杯、どんな戦いをしたい?
私は私の王道を
—次の小倉山杯、どんな試合をしたいですか?
1回戦が山下恵令さんとの試合。とてもお強い方なので、みんなも恵令さんの方を見ちゃう。
これに飲まれないように、私のペースで行ける部分も作れたらと思っています。
—恵令さんとは対戦経験がありますが、どうですか?
恵令さんは、相手の力もすごい引き出したうえで勝ってきはるみたいなかるたなので、取りにくいとかは全くなくて。
むしろ、私もいい感じに取らせてもらって。いい感じに攻めれて、3字決まりもピッタリ払えて、引き出してもらってそれでも凌駕されるみたいな。
お手つきしちゃうと飲まれて何にもできなくなるんですけど。
お手つきもせずに、いい感じにのびのび取らせてもらって、それでも強いです。
私は相手によって変えることは全然しない、できないので、恵令さんもそれを受け入れて、それで(私に)取らせながら大事な札は恵令さんがパシッて取って、流れをどんどん掴んでいってしまわれるみたいな。
そういう感じかなと思います。
—自分のかるたを言葉にしたらどんなかるただと思いますか?
言葉にしたら…かるたに王道があるかわからないんですけど、私の王道のかるたをしていると思ってます。
❺誰と対戦したい?
小倉会対決ができたら
—恵令さんとは1回戦で当たりますが、他に対戦したい方はいますか?
みんな取ったことはあるので…去年は京都小倉かるた会の中で、粂原くんと3位決定戦で当たって。「それが決勝だったら良かったな」って言っていました。
—同会同士の戦いが…!場合によって見れますね。練習でもよく取られていますもんね。
めちゃめちゃ取っています(笑)
—お互いのかるたをよく知ってる人と、知らない人では、どっちが戦いやすいですか?
お互いに知ってる方が、この札はここに置くとか、自陣でも早いとかがわかるのでいいんですけど、粂原くんはわかってるうえで変なこともしてくるんで。それでやっぱりメンタル惑わされます。
去年も3位決定戦で、送り札が明らかにおかしくて。
自陣が常に左右対称になるように、ポコって出てるところから送るみたいな。明らかにそんな送りをしてるなって思っちゃって。
私が送った札も、対称になるように定位置じゃないところに置いたりしてて。
そうするってわかっちゃったら、「じゃあこの札送ったらここに置くんかな」みたいに普段考えないことを考えさせられて、こっちはペースをつかめず、踊らされて。
(相手を)知っていても変なことしてくる人もいるので、どちらが戦いやすいかはわからないです(笑)
—小倉会には今回解説を務める荒川さんもいらっしゃいますね。やはり山添さんの力になっていますか?
そうですね。荒川さんと上野玲さんも。いつも応援してくださって。
上野玲さん、誰よりも小倉会の練習に来られて練習をやられていて。玲さんは「練習だったら絶対行く!」って感じですし、名人戦・クイーン戦に出るとなったらすごい応援もしてくださるし。若者に指導もされるし、ほんとにすごい人です。
荒川さんとか玲さんとか、そういうすごい人が身近にいてくださるのが、小倉会のいいところだと思います。
—ありがとうございました!
おわりに
いかがでしたか?
インタビューを通して、改めて山添さんの謙虚さを感じた一方で、漫画が好きという意外な一面も知れて、楽しい時間でした。
さて、次回のインタビューはどの選手…?
記事の更新は基金のSNS(X・Instagram・Facebook)でお知らせします。
お楽しみに。