いろいろな施設 3
こんにちは! いつも読んで下さりありがとうございます🌟
さて、前2回に引き続き、今回は残り2つの施設について紹介していきますね。 今回お話する2施設は、児童養護施設よりもさらに専門的な支援が必要な子どもたちが生活している施設になります。
児童自立支援施設
前回の「自立援助ホーム」と名前が似ていて混同してしまうこの「児童自立支援施設」では、不良行為をする(もしくはする恐れのある)子どもや、家庭環境上の理由などによって、「生活指導をする必要のある子どもたち」が生活しています。(要因としては、家出・浮浪・徘徊、窃盗、暴行非行、性非行など。少年院に送致されるよりも軽い内容。)
児童自立支援施設に入所する子どもは生活が乱れていることが多く、規則正しい生活習慣を身につけることが必要となるため、児童養護施設などよりもルールや生活の枠組みはかっちりしています。小・中学校も施設内にあるため、基本的には施設内で生活しますが、少年院などとは違って開放されているので、正月帰省などはできます。
こういうと、抑えつけられているように感じるかもしれませんが、子どもの成長発達のために長所や個性を引き出して伸ばしたり、(人との関係性に躓きのある子が多いため)コミュニケーション能力や自己肯定感を上げる支援や、家庭環境との調整、社会で生きていくためのスキルを身につける技能訓練等、様々な支援を行っています。
2019年度末で、全国58箇所、定員は3,609人です。 職員は児童自立支援専門員や児童生活支援員等です。(双方とも、社会福祉士などの有資格者や、専門の教育をうけた人などがなれる認定資格)
児童心理治療施設
最後にお話する「児童心理治療施設」は、心理(情緒)に問題を抱え、様々な日常生活に支障をきたしている子どもたちが、落ち着いた環境の中で治療を受けながら生活している施設です。主に、環境の静かな郊外にあることが多いため、2019年度末で、全国50箇所、定員1,958人と最も少ない数になります。
年齢は小・中学生が中心で、具体的には緘黙(かんもく:口を閉じて何もいわず、押しだまる)や不登校・反抗・乱暴・窃盗・授業の妨害などの問題行動や、チックや爪かみ・夜尿・拒食などの神経性習癖などのある子どもが対象となります。
施設の敷地内には小・中学校や診療所などがあり、施設内で主な生活は完結します。日課は一般の子供と変わりませんが、規則正しい生活習慣は治療上でもかかせません。学校生活もこどもの状態に合わせてかなり配慮されています。また、心理士と週1回程度カウンセリングなどが設けられています。内服治療などを受けている子どもも多数います。
心理治療施設は、施設全体が治療の場であり、施設内で行っている全ての活動が治療であるという「総合環境療法」の立場をとっています。具体的には、①医学・心理治療、②生活指導、③学校教育、④家族との治療協力、⑤地域の関係機関との連携を治療の柱として、医師・セラピスト(心理療法士)・児童指導員や保育士・教員など子どもに関わる職員全員が協力して一人ひとりの子どもの治療目標を達成できるよう、本人と家族を援助しています。
施設養護のこれから
さて、今回で「施設養護」に該当する施設は以上になります。子どもたちの生活の場として実に様々な環境があることがおわかり頂けましたでしょうか。
以前にもお話しました通り、「新しい養育ビジョン」に則って、「社会的養護」は今後「施設養護」から里親やファミリーホームなどの「家庭養護」へ移行していきます。それに伴って、「施設養護」はより専門的なケアのできる体制に変わっていくことになります。つまり、里親委託などが難しい、対応の複雑な子どもたちが多くなっていくことになります。
実は、昔の児童養護施設は戦争孤児や貧困などの原因で入所する児童が多かったですが、近年は虐待などが絡むケースが増えていますので、それに伴って今の状態でも、トラウマ障害や、発達障害、愛着障害、精神障害など対応の難しいケースは増えてきています。社会の変化に伴って子育ての仕方も変わっていきますので、社会的養護も常にどんどん進化を遂げていく必要があるのです。
最後までありがとうございました🌟