「間違っている」と言える自分で在りたい。
幼い頃から母の影響でブラックカルチャーが好きで、HIPHOPやR&Bを聴きまくったり、「天使にラブ・ソングを2」のローリン・ヒルを見てブレイズヘアーにしたり、ダボダボのデニムとTシャツにニューエラを被って踊ったりもした。ゴスペルクワイヤーに入って歌うことの楽しさに魅了されたし、ビヨンセやメアリー・J.ブライジのコンサートを見て「私も人前で歌ったり踊ったりしたい!」と思ったりもした。
19歳の時、初めてニューヨークへ行き、憧れだった本場のゴスペルを教会で見たり、ステーキのサイズがありえないくらい大きかったり、初めて乗った地下鉄の行き先がなぜか急に変更になって焦ったり・・・そんな一つ一つの体験にとてもワクワクした。
そんなニューヨークでの滞在中、スタバの店員さんに「ああ、アジア人か。」と鼻で笑われたことがある。英語は全然喋れなかったけど、「私、今馬鹿にされたんだ。」とすぐにわかった。この時初めて自分の国籍や人種を意識し、アジア人は差別の対象であることを知った。
それまでは日本に生まれ、日本で育ち、恥ずかしながら自分の国籍や人種についてちゃんと考えたことがなかった。(無知だった自分が本当に恥ずかしい・・・)
この数日間、毎日色んな情報が入ってきて、頭の中で色んなものがぐるぐると渦巻いている。世界中で色んなムーブメントも起きている。
それに対して発信する側も受け取る側も色んな意見があると思うが、SNSが BLACK LIVES MATTER で溢れているのを見て、これだけたくさんの人たちが私と同じようにブラックカルチャーに恩恵を受けてきたんだと思った。
人種差別の問題には色んな角度からの意見があって色んな正義があるので、私は自分の意見を強く押し付けて誰かを悲しませるようなことはしたくないけど、正しいことは「正しい」と、間違っていることは「間違っている」と常にちゃんと言える自分で在りたい。
肌の色、性別、生まれる場所を選んで生まれてきた人はこの世に一人もいなくて、それを理由に無意味に誰かが傷付けられるのは間違っている。
人種や国籍だけじゃない。LGBTQや障害の有無、民族、宗教など、マイノリティであるがゆえにマジョリティにとっての"当たり前"を押し付けられ、差別を経験したり、生き辛さを感じている人はたくさんいる。
日本人として生まれて、日本にずっと暮らしていると、正直「差別」を意識したり感じる機会は少ない人の方がきっと多いし、情報や学ぶ場があまりにも少ない。(学校教育でこういうことをもっと学びたかったって心底思う。だから今全力で学ぶ。)
昨日、Instagramに溢れていた黒い画像と #blackouttuesday のハッシュタグ。
みんな、関心を持って、変わるべきだと感じて、協力したい!って思ったわけで、中には見様見真似で投稿した人もいるかもしれないけど、それでもきっと誰かの学ぶきっかけになって、知るきっかけになっていくはず。知るきっかけがなければ関心は持てないし、考えることもできない。学ぶこともできない。
もちろんSNSで発信することが全てではないと思う。背景にある歴史や今起きている現状を知り、一歩進んで学ぶ姿勢を持つことが大切だから、一人で考える時間だけじゃなく、家族や友達と話すことももっと実践していこうと思う。
この問題に対して、何かを発言したり自分の立場を示すのには勇気がいる。
今書いているこの文章も、自分の素直な気持ちが間違った伝わり方をしてしまわないように、意図せず誰かを傷付けてしまわないように何度も何度も書いては消してを繰り返している。
私もまだまだ学びながら言葉を綴っていて、もしかしたら間違っていることがあるかもしれない。
もし私の言葉や意見は「間違ってる!」と思った方がいたら、ぜひ愛のある優しい言葉で教えて欲しい。優しくね。
私も人間なので強い言葉を投げかけられるのは苦手です。人間なので失敗してしまうことは誰にだってある。でもその失敗にばかりフォーカスして、強い言葉で誰かを傷付けたり傷付けられたりするのは避けたい。
この問題に限らず、色んなことを色んな人と対話して、色んな意見を聞いて、もし自分が失敗してしまったらその都度軌道修正をして学べばいい。みんなで進んでいけばいい。
誰もがもっと相手の気持ちを想像するべきだし、愛を持つべきだし、歴史は繰り返されてはいけない。
私一人がこうして発信したところで何かが変わるのか?とちっぽけな自分に無力さを感じてしまうこともあるけど、「差別は反対だし、国籍や肌の色を理由に無意味に人が殺されるなんて絶対にあってはならない!人として誰に対してももっと愛を持って相手を思いやるべき!」と思った気持ちに偽りはない。
このことについて、ずっと自分の気持ちを書こうとしていたけど、どうしても他人の目や評価を気にしてしまい、なかなか一歩踏み出す勇気が持てなかった。
でも、誰かの目を恐れて声を上げられない世の中じゃ、きっとこの問題はなくならないと思ったし、フラットにみんなが自分の意見を(対立するのではなく思いやりを持って)自由に話していいんだ!失敗してもいいんだ!と思ってもらうきっかけなら、もしかしたら私にも作れるのかもしれない・・・とそんなことを思って言葉にした。
自分の人生に大きな影響を与えてくれた音楽やカルチャーを日々楽しめることに感謝して、愛を持って、私にできることを常に意識して、学び、考えていきたい。
武藤千春
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