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菊池病になった話し。


新型コロナウイルスの影響でステイホームな毎日が続いている中、ふと菊池病になったときのことを思い出したので、記憶を辿りながら文章を書いてみようと思う。

2年前の冬、長引く発熱とリンパの腫れ、倦怠感に襲われていた私は、近所の病院で何度も検査を行った。

38度前後の発熱が3週間以上続き、首から脇にかけての右側のリンパには7つのしこりが現れた。しこりは常に痛み、なんなら上半身全体に痛みが広がっていた。ご飯を食べる時も、お風呂場で髪の毛を洗う時も、普段と同じスピードで動くことはできない。
なかなか原因がわからず、とりあえず処方された抗生物質と解熱剤を飲み続けていたが一向に回復しない。

3週間が経ったある日、あまりにも回復せず不安になり、紹介状を書いてもらい大きな病院に訪れた。

「これは多分、菊池病ですね。」

そう診断され、ようやく診断名がついたことへの安堵と、聞きなれない病名に頭の中はハテナでいっぱいだった。


菊池病って?

・原因不明の良性なリンパ節炎。
・若年の女性や子供に多い。
・症状は発熱、頸部リンパ節腫脹、倦怠感、皮疹、体重減少など。
・別名:組織球性壊死性リンパ節炎
・有効な予防法や治療法は確立されておらず、特効薬もない。
・症状が治るまで、無治療でも1〜6ヶ月ほどかかることが多い。
・1972年、菊池さんによって報告された為、菊池病と名付けられた。

血液検査だけでは診断をすることはできないが、患者さんの症状や血液検査の特徴をみて、かつ他の病気が否定的であることを確認してから推測を行うそうだ。なので、病院の先生は「多分」と言っていた。説明を聞いてもよくわからない病気だったが、とにもかくにも命の危険はなさそうで安心した。

ただ、先にも書いた通り、悪性ではないものの原因不明で特効薬はない。診断されたからといって、熱が下がるわけでも痛みや腫れがなくなるわけでもない。対症療法のみなので、ひたすら大量の解熱剤と痛み止めで耐える毎日。相変わらず薬は効かない。(ステロイドを使用した治療はあるものの、自然治療を勧められた。)


ステイホームな毎日

「とりあえず安静に、しっかり食事をとって、たくさん寝てください。」とよくあるフレーズを病院から言われ、それから仕事はほとんどしなかった。仕事は週1回のラジオの生放送(1時間)だけ。
友達とも会えなければ、外食にも行けない。動こうと思えば身体は動いたし、人に感染する病気でもないので外に行こうと思えば行くことはできたが、無理に外出をして疲れがたまるとすぐに熱は上がった。(39度くらいまで上がったこともあった。)

1日でも早く治す為にも、不要な外出は諦めた。まるで今のコロナ禍の私たちのように、ステイホームな毎日を過ごしたのだ。


身体のSOSを無視しまくった1年間

菊池病になった2018年、私がプロデュースしているアパレルブランド「BLIXZY」では原宿に直営店を出店したり、SHIBUYA109にも期間限定店舗を半年間出店した。毎月のように全国でPOP UP STOREも開催したし、友達とトークイベントなども開催していた。私の会社は超極小企業なのでスタッフも少なく業務のほとんどを自分でやっていた為(当時社員はたった1人)、やりたいことが増えれば増えるほど私の休息時間は奪われた。

その当時は毎日やりたいことに挑戦しまくって、とっても心が満たされていたし毎日が楽しくて仕方がなかった。

ただ、睡眠時間も少なければ、不健康な食生活を送っていた私は風邪を引いてしまうこともしばしば。というか毎日当たり前のように頭痛や身体のだるさを感じていた。今考えてみれば、そんな身体のSOSを無視し続けてきた結果が、菊池病だったんじゃないかと思っている。


菊池病からの完全復活

症状が出てから2ヶ月ほど経った頃、若干の倦怠感や首と脇のしこりは残っているものの、発熱はおさまった。
仕事も少しずつではあるが元に戻し、4ヶ月が経った頃、気がつけば倦怠感や首と脇のしこりは無くなっていた。

菊池病から無事に復活してから、以前のようにやりたいことをやりまくって寝る間もなくなるようなハードな毎日は辞めた。

これまでは自分にとっての楽しい「働き方」をずっと模索してきたが、菊池病を経験して、私の価値観は大きく変わり、自分にフィットする「生き方」や「暮らし方」を模索して、心身ともに心地よいと感じられる毎日を送りたいと思うようになった。自分の心だけでなく、身体とも向き合うことが、自分自身と向き合うことなんだと気付くことができた。

そんな心の変化のおかげで、今こうして長野と東京での二拠点生活をしたり、好きなことを自分のペースで取り組むことが出来ている。


菊池病は未だ不明な点が多い病気で、菊池病を発症したという話しもあまり聞くことはない。
ネットで「菊池病」と調べても情報はかなり少なく、私も原因不明の症状に不安だらけな4ヶ月間を過ごした。

だからこそ、こうして自分の体験や感じたことを知ってもらうことで、私と同じく菊池病を発症した人が少しでも安心してもらえたら嬉しいし、頑張りすぎてしまっている人は、一度立ち止まって自分の心と身体としっかり向き合えているかどうか、感じてみてほしい。

1日でも早く菊池病の治療法や予防法が見つかることを願うばかりです。


武藤千春

instagram : @iamchiharumuto
Twitter : @iamchiharumuto



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