誰かが届けてくれる音楽と出会う瞬間が好き。
帰り道、沈みかける夕日を窓から眺める。
サブスクが解禁された山口百恵さんのプレイリストを聴いていたら、「いい日 旅立ち」が流れた。
目の前に写る景色と曲がいい感じに重なり合っていて、心が少し揺れた気がした。これがいわゆる「エモい」ってやつなんだろうな。たぶん。
人はいろんな場面で音楽と出会う。
街を歩いていたり、ラジオを聴いたりしていると、リリースされたばかりの最新の曲と出会うことが多いが、ふいに誰かが私の元へ"私が生まれる前に生まれた音楽"との出会いを運んでくることがある。
その瞬間が私は好きだ。
新しい音楽と出会うと同時に、その曲を教えてくれた相手の感性にも触れることができる。
私が担当しているJ-WAVEのラジオ番組「SHIBUYA DESIGN」では、一緒にナビゲートしているアートディレクターの千原徹也さんと私が、アナログレコードを持参してそれぞれ紹介するコーナーがある。
世代や辿ってきた音楽のルーツも違うふたりの選曲は見事に毎週バラバラだ。
千原さんが紹介する曲は、どれも私にとって新たな出会いで、ワクワクする瞬間のひとつ。
いつどこで出会ったかはわからないが、なぜか知っているし、なんなら歌えてしまう音楽がたまにあったりする。
帰り道に聴いていた山口百恵さんはまさにそんな音楽で、出会ったきっかけは全く覚えていないのになぜか歌える曲が多い。
知らぬ間に私の中にスッと入ってきて、いつの間にか体に染み込んで、そんな音楽は最強だと思う。
世界には色んな"音楽を届ける人"がいるが、その音楽を受け取った人の数だけ、色んな出会いの形やストーリー、思い描く情景、揺れ動く感情があると思うと面白い。
何が言いたいかっていうと、音楽っていいよね。
布団に入り、うとうとしながらシャッフルボタンを押す。心地よいギターの音色が聴こえる。これは誰の曲だろう。
窓からは月が見える。もうすぐ今日が終わる。
武藤千春
instagram : @iamchiharumuto
Twitter : @iamchiharumuto