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空き家と私の間に

少し時間が空いてしまいましたが、THEDDO./スッドでは今年度の活動に向けて、昨年に引き続き山村テラスの岩下さんにもアドバイスをいただきながら、私たちが「すべきこと・やりたいこと・やれそうなこと」を、整理しながら時間をかけて進めているところです。その中でも、すべきことは本当に、目も眩むほどたくさんあります。笑

本家末裔のひとり娘として築120年の古民家を遠隔継承。ゼロどころではなく、マイナスもマイナスの状態の空き家からのスタート。

自分が日常的に住む家であれば、コストも手間も時間も、最大限投資できるのですが、なんせ私と家族はいま東京の賃貸に住んでいて毎月東京の家に高い家賃を払い続けている(笑)そして鹿児島に帰れば、住める状況ではないけれど、ゼロ円で住める広大な土地や家屋を所有している。この格差や理不尽こそが、私が地域の活動を始めてからずっと少しでも解消したいと考えているもののひとつでもあります。解消はむずかしくても、何かしら「より心地よい暮らしのあり方」を模索できるのではないか。そんな問いと実験に近い感覚です。

今年度のスッドの活動計画を作るにあたって、いま私がぶち当たっている問題、そしてスッドの存在意義を再びぐるぐると考え始めていて、自分たちの整理のためにも今回記事を書きたいと思いました。

空き家と私の間に

昨年度、国交省の空き家対策モデル事業に採択いただき、「THEDDO./スッド」の活動はおかげさまで多くの方々にご協力いただきながら、一年間の活動を無事終えることができました。半分仮説で、半分実験で、実はほんとうに誰も空き家になんて興味がなくて、誰も来なかったらどうしよう。。という不安は一瞬で吹っ飛びました。蓋を開けてびっくり!全国各地からインスタグラムをフォローしてくださった方々、まだ空き家の当事者ではないのに興味を持って2日間の講演とクラフトワークショップに参加してくださった方々など。当初から「一緒にやろう」と言って一緒に走ってくれたスッドのメンバーなべちゃんと天野さん、山村テラスの岩下大悟さん、クリエイター田中淳一さんはじめPOPSの皆さん、そして全国各地の有識者の方々。まだこれからが始まりですが、本当にありがとうございます。

正解がなく、ひた走り続けているうちに(いまも正解はないですが笑)、私はあることに気づきました。これまで「空き家↔︎私」という、どこまでいってもこの一直線の関係性だったところに、「空き家↔︎スッド↔︎私」という、空き家と私の間に、誰でも参加できるスッドが生まれてくれたこと。それによって、主語が変わり、程よい距離感が生まれ、あらゆる判断や決断ができるようになりました。例えば、ご先祖のモノをどこまで処分して良いのだろうか、から始まり、屋根は改修すべきかとか、どの程度の使用内容や頻度や年数を見据えて、いまどこまで手を入れるべきか。空き家改修はズブの素人の私にはとても難しい課題が山積みで、判断できないことばかりでした。けれど、スッドが介在してくれたことで、「とりあえず向こう3年間で計画してみようか」とか、「全体像や先は見えないけれど、とりあえずここから直してみようかな」とか、考えられるようになったのです。これって、本当にすごい。そしていま、もしくは近い将来、「ひとり1空き家時代」を迎える私たちには、確実に必要になる視点ではないでしょうか。

誰かと空き家の間に

先月、私たちの活動拠点である鹿児島県・大隅半島が、「放置空き家率」全国ワースト1位」となってしまいました。おそらく私の実家も、見た目にはもうすでに「放置空き家」なのでしょう。実際に先日、登記手続きに訪れてくれた家屋調査士の方が、「この家だと思うんですが・・本当に登記しますか?」と確認の電話をくださったほど(笑)(この辺りの登記手続きのお話はまた今度)

空き家と空き家を取り巻く地域課題は、想像以上に待ったなしです。

スッドでは今年度、新たな関係拠点との連携を築きながら、「誰かと空き家の間の存在」になれたらと考えています。そしてスッドがつくりたいのは、伝えたいのは、セルフビルドの手法やノウハウだけではなく、もっとその先にある、「地域の暮らしの継承」。そして、空き家改修のズブの素人である私が、ゼロどころかマイナスから取り組み、そのプロセスを開示していくことで、今後救われる方々が必ずいるはず。そんな気持ちで取り組んでいます。

正解はないし、担い手も足りなさすぎるのですが、多様な方々と連携して、楽しみながら取り組んでいけたらと考えています。

また空き家改修に向けたこまごまについて、記事を書いていきたいと思います。

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