ミッションやビジョンが、組織に必要な理由
こんにちは。株式会社MAKING THE ROADの吉村千春です。
人事アドベントカレンダーという企画に参加して、この記事を書いています。この1年で、仲間と最も語り合ったことについてお話しします。
■個人と組織の関係
個人の時代である言われて久しいですが、私の感覚としては、ここ数年で急激に個人の発言力が強まり、個人の発言の価値が認められるようになったと感じています。SNSの発達が、これに大きく寄与したことは言うまでもないでしょう。
個人は尊重されるべきであり、個人の可能性を追求すべきだと考えています。しかしながら、大きなことを成し遂げるためには、個人だけでは難しく、組織やチームでなければならないことも多々あります。それは個人の可能性の限界といった、寂しい話ではありません。言葉を使い、表情を確かめ合い、他者とコミュニケーションを取りながら生きている、人間の力が結集した形が組織やチームであり、それは誇るべき様であると私は考えています。
働き方改革の機運やテクノロジーの発達、フリーランス・副業・兼業の増加等により、これまでに比べて「柔軟な働き方」が増えていくことでしょう。健康的で満足度の高い働き方が増えていくと考えられる一方で、組織やチームにとってはいくつかの懸念も生まれるのではないでしょうか。
その一つが、規範の希薄化に対する懸念です。どういうことかと言うと、仕事の考え方や進め方をに関する共通の規範が薄れることにより、これまで組織で維持されてきた秩序が乱れてしまうのではないか、ということです。ここでの「共通の規範」とは、就業規則のようなワークルールではなく、「共通の意識」や「良識的な企業の雰囲気」のようなものを指します。「柔軟な働き方」を個人が自分の捉え方により運用してしまっては、確かに組織としての方向性が定まらなくなり、組織運営が難しくなるでしょう。
■私たちを繋ぐもの
では、これからの時代に必要な共通の規範とはなんでしょうか。
それは、「思い」ではないかと私は考えています。
変化し続け多様化する社会の中で、私たちはそれぞれの思いを伝え合うべきなのではないでしょうか。なぜこの事業が生まれ、何を目的に活動するのか。
組織にとっての思いが、ミッションやビジョンなのだと私は思います。
私は組織にも人格があると考えています。
なぜそう思うに至ったかについては後述しますが、組織にも人格があると考えるならば、ミッションやビジョンは組織の信条・信念であり、それは人格の根幹をなすものです。
個人と個人、個人と組織を繋ぐものとして、よりフォーカスされるものが、今後はミッションやビジョンになっていくと私は考えています。
最近、様々な場面において、ミッションやビジョンが大切であると耳にするようになりました。
では人事の現場における状況はどうでしょうか。先日私たちが行ったセミナーの参加企業にひとつの質問をしました。「採用活動の中で、自社のミッションやビジョンについて求職者に説明されている方はいらっしゃいますか?」。手を挙げられた採用担当者はゼロでした。
残念ながら、ミッションやビジョンを採用活動の現場で実務レベルに落とし込んでいる企業は、まだまだ少ないのだと感じた次第です。
私たちは、ミッションやビジョンの重要性を伝え、人事や採用の現場にもこれを根付かせたいと考えています。
■私たちのミッションステートメントを作る過程と、その間に考えたこと
かくいう私たちのミッションステートメントについても、触れておく必要があるでしょう。
私たちは現在、3名で活動しています。
もしかしたらお気づきになった方もいるかもしれませんが、会社名は私の好きなバンド「Hi-STANDARD」のアルバムタイトルからつけました。私の中では捨て曲のないアルバムです。Hi-STANDARDのように開拓者でありたいという思いと、アルバム「MAKING THE ROAD」のように捨て曲なし、コンテンツの全てが面白い会社にしたいという思いから名付けました。
共に仕事をしてくれている仲間と、ミッションステートメントを作ろうということになったとき、上記のエピソードから、ミッションステートメントを一枚のアルバムのように表現してはどうだろうというアイデアが出て、それを採用することにしました。
自分たちはバンドのメンバーであり、ファーストアルバムを制作中であるという気持ちで取り組みました。
代表者である私だけの思いで作ることはしませんでした。自分と共に歩むメンバーとして信頼している他の2人の思いを一つにまとめることが重要だと私は考えました。
3人それぞれが、仕事をする上で、生きていく上で大切にしていることを出し合い、何度も議論を重ねました。言葉の定義を確認することはもちろんですが、助詞の使い方、送り仮名や句読点などの細かな一文字にも注意を払いました。どこにでもあるような標語のようにならないように、自分たちらしさが表現できるように、言葉を紡ぎました。
そうやってミッションステートメントを作っている時にふと思ったのが、「組織にも人格があるのではないか」ということでした。
何を大切にしているか
どんな思いで仕事をしているのか
何が好きで、何が嫌いか
どのように在りたいと思っているか
年齢も性別も育った環境も違う3人の、それぞれの思いを集めて、共通した部分を抜き出して並べているだけではなく、3人の誰とも違う、新たな人格がそこにあるのだと感じました。誰か一人の思いからできたのではなく、新しい個別のパーソナリティであるからこそ、それを尊重すべきであると思いました。
そうやってできあがったのが、このミッションステートメントです。
http://workquest.jp/archives/508
■ミッションステートメントを作ってみて、感じたこと
ミッションステートメントの制作によって、これまでにない達成感と充実感を感じたのと同時に、今後の活動における大きな指針を得たと感じています。ミッション・ビジョン・バリューはいずれも自分たちの中から紡ぎ出したものでありながら、これまでになかった新しい視点をもたらしてくれました。私たちは、これまでいくつかのサービスを発案し、既に提供を開始しています。ミッションステートメントより先にサービスが存在していたのですが、これまでのサービスの在り方を見直すべきではないかと思った程でした。それほど、ミッションステートメントは組織のコアなのだと気づかされました。
今後、新たに仲間が増える際には、私たちのミッションを示し、共感してくれる人たちに仲間になってもらいたいと思っています。
改めて、このような企画に参加させていただきましたことに感謝いたします。私にとっては思いで深い、良いクリスマスとなりました。
皆さんが、素敵な時間を過ごしていらっしゃいますように。
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