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ケアマネが通院に同席したら報酬はいくら?

おはようございます、ちはるです。

介護保険では、訪問介護(いわゆるヘルパー)が利用できます。
食事、トイレ、着替え、入浴といった身の回りの介助(身体介護)と、料理、掃除といった家事の支援(生活援助)があり、生活援助を利用する際は一定の条件が必要です。
(身体介護であっても、ケアマネのアセスメントやケアプランでその必要性が明確になっていることが求められます。)


今日は、病院へ通院する場合の話をしたいと思います。

介護保険を利用している方というのは、体が不自由だったり、認知機能が低下したりしていて、お一人で通院できる方は少ないです。

病院へ行くには、病院までの移動、病院内の移動、そこでのトイレ、先生へ日頃の様子を説明する、先生の話が理解できる、会計ができる、薬の受け取りができる、などそれなりの能力が必要です。

病院へ行くことが理解できる、行き先の病院がどこか分かる、通院日がいつなのか分かる、というようなことも必要ですね。
(当たり前だと思われるかもしれませんが、認知機能が低下していてそもそもこの部分ができない方も多いです。)


というわけで、病院へ通院するということは、ある程度の身体機能や認知機能が保たれていることが条件になるわけですが、難しい方も多く、何らかの支援が必要な場合が多いです。


ただ、病院へ通院する際の、病院内での付き添いというのは、介護保険が利用できません。

介護保険というのは原則として医療保険と併用して利用することができないことになっています。
病院内での支援は、医療保険で賄われるべき=病院のスタッフが支援をするべき、ということになっているからです。

とは言っても、現実的に、高齢者一人ひとりに病院のスタッフが付き添って、院内の移動などを手伝うということは無理な話。
(小さい病院であれば、スタッフが移動を手伝ってくれることはありますし、大きい病院だとお手伝いのボランティアがいることはありますが。)


通院に支援が必要だとしても、介護保険は適用できない、かといって病院のスタッフが全て手を貸してくれるわけではない。
そのため、家族等の支援が得られない方については、自費で(介護保険を使わず)訪問介護を利用するケースが多いです。


担当のケアマネが診察に同席するということもあります。

利用者の病状について、担当の医師とやり取りをするために同席したり、医師から求めがあって同席したりすることがあるんです。
以前は特に報酬もなく、対応していたのですが、2021年の介護報酬改正から「通院時情報連携加算」というものが導入され、報酬が入ることになりました。


ただ、ケアマネが診察に同席するというのは、あくまでも、
①日頃の心身の状況や生活環境等の必要な情報を医療機関へ提供する
②医師等から、生活上の注意点等、利用者に関する必要な情報の提供を受ける

というのが目的。

病院までの移動、病院内の移動、トイレの介助などを行うのはケアマネの仕事ではありません。
(家族や自費のヘルパーに代わって、そこまでやっているケアマネもいますけれど…。)


さて、今日の本題はここから。

このように専門職であるケアマネが、利用者の通院に同席して、医師等と必要な情報のやり取りを行い、必要に応じてそれをケアプランに組み込んで、関係機関と共有し、医師の指示に基づいて生活が送れるよう支援していく。

では、これに対する報酬っていくらだと思いますか?


ちなみに自費の訪問介護(ヘルパー)は、1時間あたり3,000~4,000円くらいかかることが多いです(もちろん地域差がありますし、自費なので会社によって金額は違います)。

通院となると、小さい病院でも1時間くらい、大学病院のような大きい病院は、待ち時間が3~4時間ということもザラなので、トータル5時間以上かかることもありますね。
3時間かかったとすると、自費の訪問介護の料金は9,000~12,000円くらいでしょうか。
(実際に付き添ったヘルパーに対して、その料金の何割が報酬として支払われるかは会社によります。)


では、ケアマネが診察に同席した場合は?









ケアマネが診察に同席した場合の報酬は、1回およそ500円。

(小学生の小遣い並みです…。)


しかもこれ、1時間当たりではなく、1回当たりの報酬
ケアマネの役割ではない、診察の前後の移動、薬の受け取りなどを含まなくても、診察までの待ち時間は拘束時間となるので、3~4時間の待ち時間に付き合うこともあるのですが、それでも入る報酬は500円

そして、この500円の報酬は事業所に入るだけで、実際に同席したケアマネに支払われるわけではありません(他の加算等と同じで、給料に含まれているわけですね)。

今までは、ケアマネが診察に同席する労力・時間が何も評価されていなかったので、加算ができただけいいのかもしれませんが、それにしても評価が低すぎます(これに限らず全体的に低いのですが…)。


ケアマネが診察に同席するというのは、①どうしても必要性が高い、②医師からの求めがあり、その内容が妥当である、など、よく吟味する必要があると思います。
(病院や医師との関係構築や、そこからの新規利用者獲得などの目的がある場合もありますが…。)

「診察の同席に半日以上取られて、結局残業する」となると、加算が入ったとしても、残業代を支払う会社が赤字です。

病院内の移動支援など、ケアマネの業務外のことまで行っているのは論外。
ボランティアとしてやるとしても、それなら会社の勤務時間を使ってやるのはどうかと思いますし、利用者側は「ケアマネが毎回通院に付き添ってくれる」とケアマネの業務内容を勘違いしてしまいます(そのケアマネが交代したときに、後任のケアマネが困るパターンですね)。


ヘルパーが支援する病院付き添いと、ケアマネが診察に同席する支援というのは内容が異なりますが、ケアマネもそれなりの専門性をもって同席するのに、500円って…。

ケアマネとしては、「この通院付き添いにどのくらいの時間をとられるのか」「それに対する報酬は500円しか入らない」ということを意識した上で、効率よく本来の業務をしたいですよね。


(そして医療機関の皆さん。
ケアマネは、病院から呼び出され、何時間も拘束されたとしても、500円しか報酬が入りません。
本来のケアマネ業務以外のことや、電話・書面のやり取りで済むことで呼び出すのは控えていただけると助かります…)


ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


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