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「諦める」の語源、知っていますか?を見て
生方さんの脚本の作品を見たいなと思って、視聴。
生方さんの、日本語への愛情が全面に感じられる脚本だった。
どんな人でも、夢の一つや二つ、諦めたことがある。
それを逃げるとか、辞めるとか、そういうネガティブな形ではなく、本来の「諦める」とはどういうことなのか。夢や目標に対する向き合い方を楽にする方法を一つ教えてもらえた。
この作品を今見れて、良かった〜。
あらすじ
夢を諦めた主人公が出会うのは、夢を諦めようか迷っている3人の生徒。
夢は人それぞれで、恋愛や進路、部活動など様々。
着任してすぐの生徒名簿には、自身の名前を書けないくらい、納得できない道であったはずの教師が、
生徒や家族、自身との会話を通して、最終的は、自信を持って「先生」と名乗れるようになっていく物語。
題名に対する問い合わせができる。
印象に残っているシーン
1 ギターケースを背負った男子生徒との出会い
先生)「佐藤くんは、軽音学部?」
佐藤くん)「ギター背負ってるから、軽音部だと思った、そういうことですか?、、、軽音部じゃないです。」
「藤井聡太くんは、将棋部だと思いますか?」
。。。
先生)「部活には所属してないんじゃないかな、知らないけど」
一番好きな花のゆくえさんを思い出すような、表現の意図を細かくチェックし、つっかかる感じが面白い。例えも秀逸で、藤井聡太と羽生善治さんの表現は度々登場し、視聴者を楽しませてくれる。
佐藤くんは、感情と行動がごっちゃになっている感じが、
思春期特有で納得感と、なんだかふっと笑ってしまうような可愛げのあるキャラクターだった。
2 恋愛の叶った夢と叶わなかった夢を語るシーン
母)「今までで一番好きな人の話を聞くと、大抵は実らなかった恋の相手がおもいうかぶんだって」
ー中略ー
母)実らなかったから好きに踏ん切りがつかないのよ。だから一番好きな気がしちゃうのよ。
ー中略ー
娘)実った相手は好きじゃなくなっちゃうってこと?
母)消しゴムで消されちゃうってこと
母)でもね、大丈夫なの。
消しゴムだから、ちゃんと消しかすが残るから、
筆圧が強ければ、ちゃんと鉛筆のあとも紙に残るから
なくなっちゃうわけじゃないの、、、見えづらくなるだけなの
恋愛も一つの夢(願望)として、母はこの話で叶った夢と叶わなかった夢を語っている。
好きという気持ちを消すのではなく、「消しゴム」みたいなものだと答える、感情を消してしまっても、消しかすや筆跡などの事実は残ると。
「努力の過程は残る」とか、聞き馴染みのある表現ではなく、
もの(たとえ)を通して教えてくれる。すごいな、羨ましいなこんなふうに言葉で表現できたら楽しいだろうな。
3 主人公の卒業文集が突然出てきて、お母さんが朗読をするシーン
娘)「バレリーナになりたいって、書いてると思った」
お母さん)「叶えた夢ってほら、見えづらくなるのよ、見えづらくなるだけ、(笑)」
3のシーンでの恋愛ので夢のように、
なりたい職業、仕事での夢も同じように、叶った夢は見えづらくなる。
卒業文集を書いた時の私は、素直に学校の先生になりたいと思っていたはずだったのに、、、いつの間にか長年の夢がバレリーナだったのではと錯覚してしまう。
主人公がそうだったように、私にもきっと当たり前の日々の仕事は、強く願って就活した末に得たものであること、入社当初のワクワク感を、忘れてしまうことはあるよなと感じた。
4 生徒に「諦める」の語源を知っていますか?と尋ねるシーン
諦めるは、明らかと同じ語源です
つまびらかにするはっきりさせるっていう意味です
辞めるとか放棄するとかそんな意味は元々はありません。
諦めるっていうのは、ポジティブな言葉だと思います。
もう叶わないって、自分の実力が明らかになった、だから辞める
それが諦めるです。
何もネガティブなことなんかないと思うんです。
私はバレエを諦めたから教師に戻ってこれました。
とても前向きな決断です。
諦めが肝心、その通りです。
夢は必ず叶う、諦めなければ実現できる
(笑)嘘です、残念だけど全然嘘です
目標とか抱負とか無理矢理でも決めて、生きていかなきゃいけない。
ただね、夢を追ったことのある人間だけの特権っているのもあって、
夢を追いかけたという事実です。挑戦したことだけは褒めてあげられます。
次に何か、新しい何かをやろうと思った時、
過去の自分がほんのちょっとだけ、肩を抱いてくれます、、、肩にぽんって手を置いてくれます
それで生きていけるってこともあるから。
だから、大丈夫
夢が叶わないなって明らかになった時は、どんどん諦めてこ
諦めて、次に進んでこ
主題の問いに対するメッセージ。
この長台詞を通して、悩める生徒の3人は夢に向かう覚悟を決める。明らかにするために。これからも忘れたくない言葉たちだった。